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第6話:メイドさんと騎士さん。ついでにちょっと知る昔のこと。

場所は、召喚された場所から移動してお城の一室。


瑠衣の周りには神官の人達が、白夜の周りには騎士の人達が。

そして、ボクの傍には……



「あなた様付きのメイドとなります、カオンです。」

「王よりあなたのサポートを任された近衛騎士のタスク・ナイです。以後お見知りおきを。」

「カオン……さんと、タスクさん……?……ボクは華谷深咲、です。」


メイドのカオンさんは少しオレンジぽい茶色い髪の毛をポニーテールにしてて、テンプレのメイド服だったけどそのスカートの丈は少し長めだった。

タスクさんは紺色の髪の後ろの一部分だけ長くて縛ってて、すごく身長が高かった。

ただ、2人ともあまり表情が変わらないタイプなのかな……

そう密かに思ったのは内緒。


それからボクがカオンさんとタスクさんとお話をしてる間、瑠衣も白夜もお城の人達に歓迎されていたらしい。


まぁ、ボクには関係ないことだけど……2人が楽しいならいいや。

そう、思っていた。

それが彼らにとって都合がいいということも知らずに……



いつしかボク達はバラバラになっていて

カオンさんが言うには部屋に案内してくれるらしい。


どんな部屋かなんて期待してないけど。


そして案内された部屋は、少し小さめで、中央に大きなベッドがある以外にはあんまり物が入らなそうなタンスと小さいテーブルがベッドの側に一つずつあるくらいだった。


ちなみに窓は一応出入りが出来るくらいで外にはベランダが付いていた。


「こちらが勇者様のお部屋になります。」

「うん、ありがとカオンさん」



ボクがお礼を言った瞬間、カオンさんは驚いたような表情をしてたけど…

何か言われると思ってたのかなぁ……

寝るとこあるなら充分なのに。



「そ、それでは時間も御座いますのでこの城内を少し案内いたします。勇者様」

「……カオンさん、勇者呼びやだ。」



確かにボクは勇者として召喚されたのかもしれない。

でも、ボクはただのボクでしかないんだから


そういう風に言えばカオンさんは少し困ったようにタスクさんを見て…


「わかりました。では、ミサキ様と……」


ホントは、様付けもやだけど多分さらに困らせちゃうから

妥協も必要だよね……


「うん。」



それからカオンさんに案内されたのはお風呂場や、食堂みたいなとこ、それから中庭に大きな書庫を巡った。

カオンさんが言うには、案内が許されているのはボクが使うだろう最低限だけ、ということらしい。


まぁ、そういうものか。

だってボクは瑠衣達と比べたらいらないものだろうし。



「以上ですが、何かご質問はありますか?」

「じゃあ1こだけ。この書庫って勝手に使ってもいいの?」

「はい。そちらの方は王様より許可が出ておりますのでご自由に閲覧できるようになっております。」

「ん、わかった。ありがと。」



とりあえずボクはこの世界の文字が読めるかわからなかったから一番近くにあった本棚から適当に1冊取り出して開いてみた。

これで読めなかったら使える意味ないし……


でも、ボクの心配は無用だったみたいで、どの本も読めないは読めないけど意識としては脳内が勝手に変換してくれている感じがした。


そしてこの適当に開いた本が実は昔の王様のポエム日記だったということは言わない方がいいのかな……


それからボクは、日が暮れるまで時々カオンさんが淹れてくれるお茶を飲みながらこの世界の歴史とかが書かれてる本を見つけてずっと読んでいた。

ボクの斜め後ろにはずっと2人共待機してたけど、正直言ってあまり気にならなかったから時々2人がいることに驚いたりしちゃったのは内緒なんだ……


結果として言えば、ずーっと昔にも勇者という存在は召喚されていたらしい。

ただ、その時の勇者は魔王と戦う前にいなくなってしまったらしいけど。

その代わりに一緒に召喚されていた神子と守護者が魔王を封じた、という史実が残っていた。


……だから、あの人達は瑠衣と白夜に期待してるんだと思う。

ボクもまたその時の勇者みたいに戦う前にいなくなるかもしれないと思ってるから。


「……あの2人に任せることの方があぶないって知らないもんなぁ……」


結局ボクの読書タイムはボクのお腹が空腹だと自己主張を始めたことによって終了したのだった。

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