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第49話:帰り着いた世界

――チカチカする視界の先に微かに見えるのはどこか、見覚えのある景色で……

その景色がどこのものだったか思い出した瞬間、そのチカチカしていた視界もどこかぼんやりとしていた意識もはっきりした気がした


「……へ?」


だからこそ、一瞬呆然としたのは仕方ないことだとボクは言い張りたい。

だって、今ボクの視界に広がる景色は前まで当たり前だったのに、あの世界に召喚されてまた見るのはきっと難しいだろうと思っていた風景で


「あれ、元の世界……?」

「あ、私達の鞄!……ねぇ深咲携帯のこの時間って……」

「ん?」


瑠衣が落ちてた自分の鞄から取り出した携帯を見ればそこに表示されていたのは間違いなくボク達があの世界に言った日付で……まぁ時間はいつもの下校時間よりもちょっと遅いくらいを表示してたけど

ついでに瑠衣の携帯の着信履歴にはとりあえず画面から見える範囲は瑠衣のお母さんの番号が表示されていた


……そういや瑠衣って帰り遅くなるときはいつも連絡入れてたもんなぁ……


にしても……ボク達はホントにあの世界に行ってたのかな……

そんなことを考えてる時だった、ボクのポケットに何かが入っているのに気づいた


【あなた達がこちらの世界に来た日付は同じにできたと思うのだけど……おそらく時間は少しずれてると思うわ。それから再びあなた達をこちらに呼ぶということはないと断言できるわ。そしてあなたがこれを読み終わるとこの手紙は消えてしまうけど……どうか健やかな日々をミサキ様】


あなたの知人、ソウディルより……とそこまで読んでしまうとその手紙に書かれた文字は分解されていくように消えて行った

でも、あの人のおかげでボクは確かにあの世界に行ってたんだと理解できた気がした


「……ありがとう、ソウディルさん……」


とりあえずもうあっちに行けることはないってことでいいんだろうなぁ……


「ほら、2人共かえろ」

「おう、そうだな」

「あー……お母さん怒ってそう……」


落ちてたボク達の荷物の中身はとりあえず盗られているものもないみたいだし、いつものように鞄を持って

またボク達はいつもの日常に戻る……


「なぁなぁ、深咲。俺達絶対強くニューゲーム感ありそうじゃね?」

「白夜って子供だよね。絶対木刀持って剣道部に突撃しても負けて勝手に怒るタイプでしょ」

「んだと?」

「……だからいちいちボクを挟んでケンカしないで」


やっぱりこの2人は基本的に変わらないんだろうな……

そんなことを考えながらボクは2人をいつもの縄で縛り、引きずっていくのだった。

次で終わりかな感です。

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