第48話:別に帰る帰る詐欺ではない
――約束の日の朝、ボクの寝てたベッドには今日もまた白夜と瑠衣達が来てたけど……それはいいか
「おはようございますミサキ様」
「おはよカオンさん」
カオンさんはいつものようにボクに声をかけてくれた。
でもそれも今日までだと考えるとなんとなく残念な気もしたけど……まぁ、帰れることはいいことだし
「ミサキ様、約束の時間は日が落ちた頃、と言付かっております」
「あ、そうか。今日は新月の日だからこそ月が昇ったらにならないのか……」
「しんげつ?」
……どうやらこの世界では月齢とか認識されてないらしい。
カオンさんに月齢とかのことを聞いてみたら知らないって言ってたし……
ただし、新月の日のことを月が隠れた夜、満月は月が見下ろす夜なんだって。
「それでも時間があるのかぁ……」
「こういう時間はあっという間と言いますし、少しゆっくりとしてはいかがですか?」
「ん、そうだね。ご飯食べたらのんびりしよ」
それからボクは1人でカオンさんに連れられて食堂まで移動した。
寝てる瑠衣と白夜は放置だよ、もちろん
「おはようございます勇者様……おや、巫女様と守護者様は……?」
「キラキラ王子おはよ、瑠衣と白夜なら置いてきたよ。今日くらいはいいかなって」
「あぁ、それで……お二方の朝食はのちほど代わりになるものを作らせておきましょう」
「ありがとございます」
ボクはそのままご飯を食べるけど……量はすっかり慣れたようにちょっと多めになってたりする
その辺は瑠衣達のおかげと言えばおかげだけどなんとなく素直に認めるのは癪なんだよなぁ……
なお、瑠衣達が起きてきたのはそれから数時間後……むしろもうお昼ってくらいの時間に起きてきたのはある意味しょうがないことだと思うことにした
そして、辺りが闇に染まり始めた頃、ボク達はここに来た時の格好であの召喚された場所にいた。
「それじゃあよろしくお願いします、ソウディルさん」
「お願いしまーす」
「はい、お任せください御三方」
それぞれひとつずつ蛍石を持ったボク達は魔法陣の真ん中に立つとソウディルさんはキラキラ王子に明かりを落とすように指示していた。
そうすると明かりはボク達が持つ蛍石からのものだけで……
「では、はじめます」
ソウディルさんがそう宣言して、それから小さく呪文のようなものを呟きはじめた
それはボクの耳にはよく聞こえないけど……多分わからなくていいことだよね
そんなことを考えている間もボク達が持っている蛍石の明かりはほのかなものから少しずつ強くなっていき……
――瞬間、稲光のようなものが天井からボク達の元に走ったような気がした……
まだ終わらぬ。




