第46話:帰るまでの準備段階
――とりあえずへこんでたキラキラ王子に蛍石のことをお願いするかたちでなんとか思考をそらさせて、ボクはボクで瑠衣と白夜に3日後のことを伝えた。
そのときの反応はと言えば……
「え、帰れるの?」
「帰る?……あー……忘れてた」
まぁ、そんな感じだったけど。
「勇者様お待たせしました。父の方に確認を取ったところ蛍石の提供を了承いただきました」
「ありがとございます」
……今はいつも通りみたいだけどソウディルさんのことを出したらまたへこみそうだよなぁ……
そんなことを考えながら時間とかも含めた情報のすり合わせをして、それから
「あぁ、勇者様。蛍石なのですが、実は使う本人が取りに行かなければならないんですよ」
「ん?じゃあこの場合は3人で取りに行かなきゃいけないってこと?」
「いえ、多人数で使用する場合はそのうちの誰か1人でもいいんですよ」
そんな感じでボクはお昼を食べたら蛍石が管理されてる場所に行くことが決定された。
ちなみにと蛍石のある場所はどの辺なのかと聞いてみればとりあえず地下だということだけ教えてもらえた。
……その言い方って多分王様達が管理するくらいだから盗まれたりしたら大変なんだろうなってことくらいボクでもすぐにわかった。
でもあんまり複雑な通路じゃないとこがいいなぁ……
お昼御飯もしっかりと食べて。
キラキラ王子に連れられてボクは蛍石があるという場所に案内された。
……なんというか、ホントにただ岩を掘っただけの場所に見えるんだよなぁ……
「勇者様、こちらですよ」
「あ、はーい」
足元がごつごつとしててちょっと歩きにくいけどキラキラ王子が持つランタンと通路の壁にかかっている明かりのおかげで王子を見失うことがないのはまだいいことだよね。
しばらく歩き続けて、キラキラ王子が足をとめたのは少しだけ大きな扉の前で、王子は懐から袋を取り出すと部屋に入ってからの説明をしてくれた
「いいですか、勇者様。ここから先、まず光は厳禁です。それからあまり素手で触れるのもよくないのでこちらをつけてください」
王子から手袋を渡されたからそれを素直につけて、説明の先を待つ
「次に石の方は私が選びますことをご了承ください」
「それは別にいいけどなんで?」
「あなたならわかるでしょう?見えているものがすべてではないことを」
要には小さい石だと思ってひっぱったら実はすごく大きい石だった。っていうことがよくあるからってことらしい。
「確か手のひらサイズだっけ」
「そう言ってましたね。では、行きますよ」
「あ、はい」
ギィっと重い音と共に開かれた扉の先は少しだけ大きな空間になってることがなんとなくわかった。
それから王子はランタンの明かりを消すと躊躇いもなくその空間へ足を進め……
ってもちろんボクもその後を追いかけていったけど……光のないはずの空間は思っていたよりも明るかった
きっとそれが蛍石なんだろう。
「それでは勇者様、まずそちらの石ですね」
「ん、これ?」
王子が指差した手のひらサイズの石をボクが持ち上げると王子はさっき出した袋に入れるように指示をしていた。
それをあと2回続ければここでやらなきゃいけないことは終わった。
王子は慣れた様子で袋の口をしっかりと閉め、その上にさらに別の袋をかぶせると言う徹底をみせたのだった
……とりあえずこれで石の方もばっちりで、あとは時間が経過するだけだなぁ……




