第43話:それは、いろいろと秘密だったこと。
――ボクが影とひとつになって、その影が持っていた記憶を全て見て。
とりあえずボクは……
「アインさん、聞きたいことがあるんですけどいい?」
「どうしました?構いませんが」
影の記憶を見ていて今更だけど気になることがあったから、それを当人に聞くのがやっぱり一番手っ取り早いということでボクはお城にあるいつもの教会部分で神官長であるアインさんのところに来てた。
まぁ、影がボクの中に戻ったって言うことはまだ誰にも言ってないけど。
「アインさんってツヴァイさんだよね?」
「……ずいぶんと直球ですね、勇者様」
アインさんはボクの質問には答えず、ただ静かに苦笑いを浮かべていた。
普通なら何を言ってるんだとかそんな感じの返しがきそうな質問だったのに。
そもそも返しが直球ですねっていうのも普通ならおかしいんだけどね
「で、どうなの?まぁ、どっちでもいいけどさ」
「言っておきますけど、我々はどちらかが本体とかはありませんからね?」
「そういう返しがくるとは思わなかったなぁ……」
アインさんが言うには、教会本国にいる教皇のツヴァイさんも今ここにいる神官長であるアインさんもかつてに存在していた例の教会本国ができるきっかけになった人から造られた存在になるらしい。
「ていうかその辺のことをボクに言ってよかったの?」
「あなたは公言しないでしょ?」
「まぁしないけどさ……ならアインさんが見通す方なんだろうなぁ……」
ボクが何気なしに呟いていたその独り言にアインさんは少しだけ目を見開かせていて……
ボクの予想はあながち間違いではないということがわかった。
「ていうか教会本国にあったステンドグラスの人さ、ツヴァイさんにそっくりすぎなんだよ」
「あぁ、零館のですか……それでもそのことに気づくのはほんの一部に過ぎないんですけどね……」
「気づいてても指摘できないっていうのも多そうな気もするけど」
とりあえず確認したかったことも確認したしもういいかなぁ……
そう思ったボクはアインさんに手を振ってそこをあとにしようと背を向けた時
ボクは確かにそれを聞いた気がした……
――『やはり勇者と甘くみていてはいけませんね……ソウディルもどこまで気づいてるか……』
魔王の奥さんの名前がアインさんの口から出てきたとき、ボクはなんとなく不思議な感じがしたけどその見通す目のことを考えれば特に隠す気のなさそうだった彼女を思い出せばさほど不思議でもないと気付いた
「あ、深咲!城下にある深咲がお気に入りのご飯屋さんにいこっ!」
「さすがにボクは覚えてないよ?」
アインさんのとこからいろいろと考え事をしながらお城の中を歩いてる時だった
前の方から駆けてくるのは瑠衣だった。
ていうかあそこに行くならタスクさんにも付き添いしてもらわなきゃなぁ……
そう思ったボクは瑠衣を引きずりながらタスクさんを探してるとようやく見つけることができた。
ただ、その場所が騎士達が特訓をするところだったのはよかったのか、悪かったのか……
とりあえずボクはそのままタスクさんのいる方へと近づいていくのだった。
よくありそうなパターンかなと思いつつでした。




