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第42話:かつての自分と今の影と

――ボクがボクを受け入れる、それができるのかボク自身にもわからなくて……

そのことを考えていた時にふと、ボクを引き取ってくれたときの爺ちゃんと婆ちゃんのことを思い出した



引き取られてすぐの時のボクの思考は復讐するということだけに捕われていてきっと扱いにくい子供だったと思う。

それでも爺ちゃんも婆ちゃんもボクに話しかける時はとても優しい笑みを浮かべていて

自分達も息子を亡くしたのにそれを感じさせなくて……


『深咲ちゃん、大丈夫大丈夫よ』


ボクがあの日を夢に見て飛び起きた時も爺ちゃんと婆ちゃんはボクの手を握り、背中をゆっくりと擦りながらその言葉を何度も繰り返してボクを寝かしつけてくれていた。

それからボクが夢を見なくなると爺ちゃんと婆ちゃんはお父さん達の思い出話を寝物語のように話してくれた。

小さい時のお父さんの話、お付き合いしたお父さんとお母さんの話、ボクが生まれた頃の話。

ボクが話の途中で寝てしまうといつも小さく何かを呟いていた


『おやすみ、あの子の宝物。今日も悪い夢を見ませんように……』


それが祈りか願いかわからないけど、その言葉は眠りに落ちていても何故か記憶の中に残っていた

あぁ、そうか。

ボクはそこでようやく受け入れ方がわかった気がした


爺ちゃん婆ちゃんみたいな包容力はないけど、ボクには抱きしめる腕もある……なら、やることはひとつだ

そうと決まればボクは……寝た。



翌日、ボクは起きてすぐに影を呼び出した。


『覚悟、決めた?』

「それは微妙だけど。まぁ、爺ちゃんと婆ちゃんがね、復讐に燃えてたボクでもお父さんの宝物って言ってくれてたの思い出してね……」


ボクと影の距離は手を伸ばしてギリギリ届かないくらいで、影はどこかボクを不思議そうに見ていた

1歩だけ、その1歩だけ足を進めればボクは影へと手が届く


「……ごめんね、君だけにその心を持たせちゃって……」


その時、初めて触れた影は思ってたよりも小さくて、やっぱりこの子はあの時の自分自身なのだとわかった気がしてボクは……


「影、もう頑張らなくていいよ」


そう呟いた時、腕の中にいた影はボクを驚いたように見上げ、そして、どこか幼さの残るけど少し失敗したような笑みを浮かべていた


『ボクも、おじいちゃんとおばあちゃんとお話してみたかったなぁ……』


ボクはその小さな呟きに何も返すことができなかった

でも、ほんの少し影は甘えるように懐いてボクの内へ溶けていくように影は消えていった……

その瞬間、ボクの内心にわずかに浮かんだのはあの頃持っていた気持ちと、影が行った事柄の記憶が流れて……


「あぁそうか、だからあの子は……」

どうも更新がギリギリになっちゃうなぁ・・・・

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