第24話:帰還とちょっとだけ真実。
――少し日が傾きだした頃、ボクはお城に戻ってくることができた。
「おつかれ、夜走馬」
ぽむぽむ、とそのダークブルーの毛並みの首元を軽く撫でると夜走馬は一鳴きをしてボクを乗せたまま厩舎のある方にのんびりと歩き出していた。
そこまで行ったら誰かいるかなぁ……そんなことをぼんやり思いながら夜走馬の背で揺られながら身を任せてたら厩舎の前に見慣れた姿を見た。
「戻られましたか、ミサキ様。」
「ただいまータスクさん」
夜走馬の上からだからちょっとだけタスクさんを見下ろす形になっていてボクはちょっとだけ優越感というものに浸れた気がした。
それからボク達……もといボクとタスクさんは厩舎に夜走馬を戻してから歩いてお城の食堂に向かった。
そこにはキラキラ王子と王様、あと瑠衣と白夜とかがいた。
まぁ、魔王のとこに行った時の話をさせられることになるのはわかってたけど。
はっきり言えば、魔王のとこに行った時の話はご飯を食べながらした。
だってお腹すいてたし。
「倒せない……ですか?」
「うん。物理的な意味であの魔王を倒すのって無理だと思うよ。」
ここの騎士の人達が寄り集まったって意味ないだろうし。
ていうかダメージがダメージにならない時点でアレだけど。
――ただなんとなく、魔王にダメージを与える方法は思いつけてるけど。
そしてボクはそれをキラキラ王子達に言うつもりないけどね。
ていうか言ったからといって、実行できるもんでもないだろうし。
「そもそもあの魔王は倒す必要ないと思うんだけどなぁ……」
むしろあの魔王だから平和な気がするんだけどな……
まぁ、そんなこと言ったらボクが召喚された意味なくなっちゃうけど。
「とりあえずキラキラ王子、無理にあの魔王を倒そうとしたら厄介な魔王のお嫁さんが出てくる覚悟しといたほうがいいよ。」
「そう、ですか……そんな魔王もいるんですね。」
「そもそもさ、なんでボク達を召喚したの?あの魔王が人に危害を加えようとするなんて思えないけど」
ここに召喚されてからずっと思ってた。
話を聞いた感じ、初代の時もだけどどうして害意のない魔王に対して異世界から勇者なんてものを召喚したんだろうと……
「それ、は……」
「勇者殿、やはりあなたは敏いな。」
王様は苦笑混じりにそう言い
そして、王様はボク達の召喚理由を話してくれた。
「全ては神官達の要請だったのだよ。勇者殿」
「神官達?……つまりアインさん以外って認識で間違いは?」
「あぁ、ないな。あの者達は結局は己の保身にしか興味がないからな……」
「そんな人達の面倒を見なきゃいけないなんて王様も大変だね」
ていうかやっぱり神官達って老害じゃないか。
そう考えたら王様も大変だけどアインさんも大変だよなぁ……




