第14話:お散歩と出会う夜走馬
ご飯が終わってタスクさんと合流したボクは今日はお城の外にある施設を案内してもらうことになった。
ていうかまだ食堂にいた王様に聞いたらあっさりと許可してくれただけだけど。
まぁ、カオンさんはお城の中の仕事でいないけどね。
「それではミサキ様、準備の方はよろしいですか?」
「うん。」
お城の外もまた、中みたいにやっぱり広くて
改めてお城には沢山働いてる人がいることを改めて認識した気がした。
昨日も来た騎士が寝泊まりしてるとこに戦闘訓練をするとこ。
そこには白夜がいたけどいつもより真剣な気がして、ボクは声をかけることをしなかった。
……白夜が本気を出したとこは見たことないけど……
瑠衣とふざけてる時とはやっぱり違うんだなぁ……
次に向かったのは厩舎というところで、タスクさんの馬もここにいるらしい。
「へぇ、騎士ってやっぱり馬乗るんだ。」
「そうですね、まぁ……ここには」
タスクさんが何かを言いかけた時、厩舎の中から何かが暴れてる音が聞こえてきた。
それに気付いたタスクさんは僅かに表情を変え、ボクの方をちらりと見て走り出した。
ボクはその背を追って走れば厩舎の中では綺麗なダークブルー色の毛並みをした馬が柵や周りの人を蹴散らすように暴れていた。
「またこいつか……」
「あ、副隊長!夜走馬が!」
夜走馬……?
あの子は、そういう名前なのか……
そんなことを聞きながらボクはそのダークブルーの毛並みがとても綺麗で目が離せなくなっていた。
そして、その暴れていた馬はまるでそのことを忘れたかのようにいつの間にか静かにボクの方を見つめていた。
その瞳は、暗がりに浮かぶ満月のようで……
「タスクさん、この子綺麗な子だね。」
「そう、ですね。夜走馬という種類の馬で“夜を駆ける”という意味を持っています」
タスクさんが言うにはこの夜走馬という種類の子以外にも陽光馬や飛翔馬という子達が珍しくて強い子達らしい。
「ただ、この夜走馬は他の2種と違い人に懐くことがない種族……だった、はずなんですが……」
タスクさんは戸惑いを浮かべながらボクを見た。
というのも、タスクさんの説明を聞いてるあいだに夜走馬が気付けばボクに擦り寄るように顔を寄せてきていたから。
……もしかしてこの子がいたら……
ボクはふと1つの想定を思い浮かべてそれを内心に押しとどめることにした。
もしボクの考えてることがタスクさんとかにバレたら多分めんどくさいことになるだろうしね。
「そういえばタスクさんって副隊長なんだね。」
「あぁはい、そうですよ。1番隊の副隊長をしています。」
「すごい人だったんだね。タスクさん」
騎士の人達が訓練してるとこを案内してもらってるときに教えてもらったことがある。
要には騎士団は上から1番隊、2番隊と分隊してて、団長が属する分隊が1番隊……つまりその1番隊の副隊長はイコールで副団長とも言えるらしい。
「そういえば団長さんって見たことないけど」
「あぁ、あの人は巫女付きですよ。王様達からは信頼されてますから」
「瑠衣のあれについて行ける人なのかなぁ……」
瑠衣が時々する暴走っておじさん達も止めるのが大変だったんだけどなぁ……
そんなことを思いながらボクは擦り寄ってくる夜走馬の顔を撫でていた。
――思いついたあのことを実行するならやっぱりカオンさんも離れた夜がいいだろうな。
……白夜達が来るかもしれないけど。




