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プロローグ〈00〉
少年は、探し物をしていた。
とてもとても、大切な失くしもの。
-失くしものは、必ず見つかるわ-
遠くから声が聞こえてくる。
懐かしい、どこか温かい声。
-ほら、あったでしょう?-
ああ、本当だ。ここにあったんだ。
-貴方の失くした、大切な○○-
「...おはよう。」
ボサボサの寝癖のついた髪と、整った顔をもつ少年が、切れ長の目で少女をじっと見つめながら、そう一言口にした。
「わわっ!お、おはよう...」
少女は少年が居たことに気がつかなかったらしい。イスから転げ落ちそうな勢いで驚いた。
「朝食できたけど...食べて行くの?」
「いや、いい。世話になったな。」
少年はフードを深くかぶり、ドアを開ける。
「きっとまた何処かで会おう。」
目の前の空には、白い雲がぽつんぽつんと浮かんでいた。