09
勝手で馬鹿な自分だからこそ、
今度は直ぐに投げ出さず、
死ぬまで永遠に続けられる趣味や
仕事を見つけたい。
そして、
結婚して、
幸せな家庭を築いて―
別に大きすぎる夢や願いなんて僕にはないから、
僕は普通に生きて、
普通に暮らし、
普通に人生を全うして、
普通に死にたい。
何をしていてもやっぱり、
『普通が一番』だ。
だってそういう人生を送っていれば、
後悔することも、
簡単に手放すことも、
しなくて済むのだから。
大変な苦労をしなくても、
報われてしまう。
「だから僕は、『一般人』になろう」
僕にとっては
普通の人=一般人
だと思うから。
(人間を止めることは出来ない)
死なない限り、
人間以外の何になることも、
成り代わることですら、
出来ない。
人間に産まれてきたことを
悔やんでるつもりはない。
だって自分が人間以外の生物に産まれたら、
何て想像しても
全然何も思い浮かばないし、
考えられないのだから。
それと同じで、
死にたいとは思わない―
いや、思えないだけだ。
誰だって、
死ぬ時はあっという間なのに、
死の直前まで、
気がつかないのと一緒で。
(だからどうと言うことも、ないけれど)
「うーん!そろそろ行くか!」
時間は朝の九時過ぎ―
くだらなく難しい自分の人生論なんて頭の中で語っていても、
実際行動に移さなければ、
何も変わらない。
ただずっと同じ位置で立ち止まって、
動かないだけだ。
永遠に。
だから今日こそは、
大学に行こう。
今から行けば丁度、
僕が今日最初に聞く予定の
講義には間に合うから。
クヨクヨ考えず、
迷って立ち止まるよりかは、
いくらかましなはずだ。
(他人に背中を押されないと進めないような、弱い人間じゃないんだから)
進もうとすれば、
進めるのだ。
この場合の僕が進む為の第一の関門は、
家のドアを開けること。
ドアノブに手をかけること。
「フゥ―」
ちょっとここで深呼吸。
自分を落ち着かせなければ。
こういっただらしない生活をしている時に、
一人暮らしで本当に、
良かったと思える。
(こんな所母さんに見られたら、泣かれるよ...)
苦笑いと共に、
扉を開ける。
大丈夫、
何の心配もない。
しっかりと空も晴れているのだから。