03
帰り道―
いつもは通らない道を使って帰る。
「...明日から、どうしようかな」
これまでは、
漫画を連載する
とゆう仕事をしていたから、
暇な日なんて
一切なかった。
(でも、明日からは何にもすることないから、僕暇なんだ)
もう一度、
信じられない事実を思い出して
「はぁー」
嘆息してしまう。
こんな人生どうでも良いと、
思っているときに限って、
知らない人間の厄介事に
ちょっかいを出したくなるもので、
僕も―
まぁそんな場面に、
出くわしてしまう訳で。
「ちょっと!離しなさいよ!」
トボトボと、
宛もなく歩いていると、
女性の―いや、少女か。
声がする。
しかもすぐ近くで。
かなりうるさかったので、
呆れ顔で
声の方を見る。
「良いじゃん、お嬢ちゃん達。ちょっと俺らと遊んで行こうぜ?」
数人の男性が、
二人組の少女を取り囲んでいた。
(あーあ、ガラの悪い)
男達の姿を見て、
少女達が困っているのは、
ハッキリ分かる。
でも―
(僕には関係ないし...第一無用心なのが、悪いんだから)
自分の知らんぷりをする、
正統な理由を思い付き、
その横を通ろうとした―
「...」
「...」
威勢の良い女の子の背中に、
隠れるように立っていた少女と、
目が合った。
僕達は黙ったまま
見つめ合う。
見た目は何処にでも居るような
普通の高校の制服を身に纏い、
黒くて長い髪を
1つにまとめている。
ただどこら辺が違うのかと言うと―
目だ。
(綺麗な目してるな...)
他の人間よりも澄んでいて、
けれど今は、
怯えたように
僕に助けをこうように、
強い瞳で訴えかけてくる。
「ほらほら、行こうよ〜」
そうこうしている内に、
男達が二人の腕を掴む。
(ヤバイよなぁー助けないと、あんな目されちゃったし)
「キャー!?触んないでよ!」
気が強そうな子が、
甲高い悲鳴をあげた。
―ここまでだ。
そろそろ僕も、
腹を決めないと。
「もしもし、男達が女子高生が嫌がってるのに、無理矢理連れ去ろうとしてます―場所は渋谷区の×××の×××です。はい、直ぐにお願いします」
僕は携帯を片手に、
大きな声で言った。
奴等にも聞こえるように。