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連続殺人事件にわくわくどきどき!

 ―――――ビアンカ・チェスチャー殺害後、犯人は五人を手掛けた。

 ――――――2人目の被害者は幼い子供、3人目の被害者は老人、4人目の被害者は冒険者、5人目の被害者は女性。












 新聞にはそんな事が書かれている。この町に潜む、連続殺人鬼。怯えた表情を見せる住人達、危険人物を捕らえようとする警備兵達。大切な人が殺され嘆き苦しむ人々。

 活気溢れる街の中に漂う、どんよりとした空気。

 沢山の人で溢れ返っていた道路には、今は出かける人も少ないのかあまり数多くの人は見られない。恐怖に彩った瞳が私のバイトする食堂でも多くみられた。

 緊迫感の漂う街で、私は元気にバイト中であった。

 いや、もちろん、恐怖に苦しむ少女的な態度はしているよ? いつもより元気ないですよーってアピールはばっちりだよ。本心? 怯えてるわけないじゃん。そりゃあ、確かに自分が殺されるかと思うとぞっとするし嫌だけどそれよりも私はニヤニヤを隠すので必死だよ! もう本当いいね、いいね、最高だよって感じ。もうこのいつもと違う緊迫した雰囲気を漂わせる街の中で私と殺人鬼本人さんだけ元気な気がするよねー!

 というか新聞見てはじめてビアンカの家名しったよ! 魔法使いの名家の出だったんだね、ビアンカって。ま、眷属になるなら人間だった時の実家なんてどうでもいいと思ったし聞いてなかったんだよね。そう考えると今度は眷属にしたら周りがどっと驚きそうな人物を眷属にしたいかなーって思ったよ。やっぱり意外性って大事だと思うんだよねー。私も楽しいしさー。

 ま、新しい眷属についてはひとまずおいとくとして、私は連続殺人事件の事にそれはもうわくわくのどきどきなんだよ! もう何なのこの世界最高。私を興奮させてならない。もー、こっちきてすぐにこんなわくわくどきどきイベントが起こるとか私運いいよ、絶対! 神様ありがとうっていうより連続殺人なんて面白いもの起こしてくれてる殺人鬼さんありがとーって本心から思っちゃうよ!

 連続殺人事件がなければ私の『はじめてのさつじん』の機会は大分後になっただろうし。

 それにしても殺人鬼の人って凄いよねー。冒険者も殺せちゃうなんて。いいなー、私も冒険者殺してみたい! もっとレベルが上がって殺せるぐらいの実力手に入ったら『はじめてのぼうけんしゃさつじん』なる初体験やりたいなー。

 ふふっ、実はもう『はじめてのさつじん』の候補者リスト作ってるんだ。食堂で働いててよかったよ。私のバイト先の食堂は人気だからね、沢山の人が来るから観察したり話して候補を決めていったの。

 ニヤニヤしそうで仕方がないけど笑いは噛み殺すの。私は悲哀臭を漂わせる可憐な少女なの! 今は。自分でいってて何それって思うけど周りからそう見えるらしいよ? 

 ふふ、あーはは、楽しみ。

 もう高笑いしたいね。心の中で私はにこにこなんだー。

 ウザ男は相変わらずうざいんだけど、今の私の関心は『連続殺人事件』と『はじめてのさつじん』にあるんだから、心此処にあらずといった態度しちゃってるの。まぁ、周りは殺人鬼に脅えてるって思ってるから好都合だけど。

 こんな事考えながらひたすら接客中の私。

 殺人鬼何かより恐ろしいはずの魔人な私が潜んでるのに気付かないんだもんねー。あー、面白いよねー。

 《ポイズンハニー》達に調べさせた情報によると死体はボロボロなんだよねー。はは、狂ってる殺人鬼に異世界来てすぐに遭遇とか私へのご褒美? って感じ。あれだね、愛憎劇の末に殺人とかも見てたら楽しそうだけどさー。こういうのも最高だと思うんだ。

 よーし、いつか愛憎劇を経験するんだもん。寧ろ私が積極的に起こしても楽しそうだよね。

 私の求めていた地球じゃ中々経験できない事なんだし。

 あーでも失敗した時の逃げる算段もしておくべきだよね。私が殺人する危ない子だって露見したとしても、魔人だっては流石にばれないだろうし。それならしばらくダンジョンにひきこもって何食わぬ顔で十年後とかに出てくれば多分ばれないしね。

 ふふ、魔人って不老な感じだから便利だよね! 私若い外見のままずっと生きられるわけだし。

 まぁ、老婆とかの状態で連れてこられた人がいればそれはそれで何か残念だよね。どうせ不老なんて面白いものになれるなら若いままがいいよ。

 私若くして神様に誘われちゃってラッキーみたいな。本当この世界に私を連れてきてくれた神様には感謝以外感じないよねー。

 わっくわっくするなぁ。

 どっきどっきするなぁ。

 あー、はやく『はじめてのさつじん』やりたいよー。

 連続殺人事件が終わる前にやらなきゃ、別に犯人が居るぞ的な事になるし? 決意が固まったならすぐに有言実行やる方がいいよね。私判断力がはやくて有言実行な人とか結構好きなんだよねー。

 地球では出来なかった事ができるってのが、もういいね。それにスリル満点だよ?

 誰かにばれちゃう事に緊張感を漂いながらの『はじめてのさつじん』。こんなにスリル地球で味わえないよ!!

 ビアンカが死んだ日から、もしかしたら『はじめてのさつじん』出来るかなーって思いながら毎日刃物の手入れしてるんだよ? この世界に来てから動物を狩るためにポイント消費して手に入れた刃物。もう大分手になじんでるっていうか、馴染み深いものになってんだよねー。もうこの愛用的なものでぐさっとやれるなんて! あー、はやくやりたい。やりたいよー!!

 「アイちゃん、今日はもう上がっていいよ」

 「はい…」

 ミカヅキさんの声に私は頷いた。

 ミカヅキさんって超いい人だよね! 何だか結構本当お気に入りかもー。心ん中でミカヅキさんの大切な人殺しちゃったらごめんねーと謝っておこう。『はじめてのさつじん』を決行する事をやめる気は全くないんだけどねー。







 そうして私は『はじめてのさつじん』の機会をようやく得たのはそれから二週間後。連続殺人事件の犯人が六人目の被害者を出した三日後の事だった。






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