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ビアンカ。

 はじめてのお友達であるビアンカとバイトの休みの日にはよく会うようになった。

 私もビアンカも様々な事を知りたいっていう思いがあったからこそ、気があったのだ。

 それにビアンカはある程度距離をおいてくれるから楽だ。何でも互いに話せる仲になろうとかそういう雰囲気はなく、互いに互いの事を話す事もなく過ごすのんびりとした。そんな付き合いが楽で、心地よかった。

 ビアンカはその歳にしてみれば、大人びていて、互いに知識を深めるために本を読んで、読んだ内容について話し合ったりした。

 魔法も幾つか覚えたわ。ビアンカは学園の生徒で魔法を習ってるから教えてくれたしね。

 ふふ、いい子だよねー。ビアンカって。

 可愛いし、秘密主義っての守ってくれそうだし。何より知識を求めていて、向上心がある。色々な事を知りたいって目をしていて、強くなろうって必死なの。

 もしかしたら何か強くなりたいって思いでもあるのかもしれない。

 バイトをしながら、ビアンカと過ごす日々。

 気がつけば一ヶ月も経過していた。

 ビアンカは頭のいい少女だった。だからその頃には少なからず私が普通ではない事は結構感じとっていたみたいだった。でもそれでもビアンカは私と友達でいた。

 寧ろ私の事を知りたいって思ってるみたいで、好奇心にあふれてたみたいだった。

 そういう所、気にいったんだ。

 だから、出来たら眷属にしてみたいなって思いが私の胸に湧いてきていた。

 眷属ってのは、魔人が人族に血を与えて儀式をすることによって作れる存在だ。眷属になれば、テレパシーのようなものも出来るし、ただの人間のビアンカも寿命が長くなる。

 そしたら二人で遊んでいけるんだ。長い時間。それは楽しいと思った。

 でも眷属にしたいとは思っても、ビアンカが私についてきてくれるかはわからない。無理やり眷属にしても楽しくなさそうだし、断られたら殺さなきゃいけない。

 危険な賭けなのよね。私自身がビアンカに勝てるかどうかもわからないし。一応、駄目だった時にどう殺すかも考えてはある。

 「はじめてのおつかい」ならぬ「はじめてのさつじん」をやる相手がビアンカんあるかもしれないんだよね。一番最初が異世界でのはじめての友達か。でもそれはそれで、いいんだけどね。何れどうでもいい人間を殺す予定だったしね。最初に殺すのか他人か友人かっていう違いなだけだもの。

 ビアンカに殺されそうになった場合もどうするか考えないと。「私達友達でしょ?」という泣き落としが使えたらやってみてもいいし。

 行動しない事にはやりたいようにできないだろうし。躊躇ってどうすんのって正直思うからさー。

 「あのね、ビアンカ。大事なお話があるから二人っきりになれる所行こう?」

 話しちゃおうって結論に至った。

 「…うん」

 ビアンカは頷いてくれてね、二人で人気のない場所に行きました。

 恋人の密会ポイントとも名高い、森林です。

 「ね、ビアンカ。私ってね、魔人なの」

 「え?」

 いきなりカミングアウトしたら、凄いきょとんとした顔をされた。可愛い顔だよね。私が男だったら惚れてたかもしれないってぐらい可愛い顔だった。

 「それでねー。ビアンカは強くなりたいし、知りたい事もいっぱいあるんでしょ? 私の眷族になってほしいの。まぁ、所謂魔人の部下になる感じかなー?」

 一気にはなした。ビアンカのめを真っすぐに見て。ちなみに左手でビアンカの手をぎゅっと握って、右手で隠し持っている刃物に手を伸ばしてます。

 だってねぇ? 魔人って人族の敵だし? 襲いかかってこないとは言えないからね。

 「………」

 「ねぇ、ビアンカ。私の事殺す? もしビアンカが私を殺しに来るなら私も全力で殺しにかかるけど」

 そう問いかけながらも、私は真っすぐにビアンカを見ていた。

 でもね、ビアンカって面白いの。驚いてはいるけれども、恐怖はないもの。ふふ、面白い。こういう面白い子、私好きだよー。

 「ビアンカ。人間やめよーよ」

 にっこりと微笑んだら、一瞬悩んだような顔をしてビアンカはその後、笑ったんだ。

 「…うん、人間やめる」

 頷いたビアンカはとても晴れやかな笑顔でした。その後、ビアンカに簡単に頷いちゃっていいの? って聞いたら、「魔人の世界知るの楽しそうだからいい」って言われた。いい性格してるよね! あと殺したい人間いるから眷属になってもいいけど手伝ってって言われたよ。もちろん、頷いたよー。

 眷属にするのは今すぐではなくて、私がもうすぐこの街を出ていく時って約束したの。だって人間のままでいた方が安全だもの。魔人の眷族ってばれたら色々大変だし、そっちの方がいいかなーって。

 私のバイトももうすぐ終わる予定だからね。村に帰るって設定で! ダンジョンに役立つ知識も少なからず手に入ったし。一回戻って、色々ダンジョンの構想を練るべきだし。

 一応ね、ビアンカが今後裏切る可能性もあるから覚悟しておかなきゃなんだけどね。ビアンカが人に話さない事を祈らないとね。

 そんな事を思いながらも、ビアンカと別れてのんびり過ごしていたわけなんだけど。

 ちょっとはじめての眷族手に入るかなーってわくわくしながら。






 でもね、次の日にビアンカってば殺されてたの。私の眷族になるって言ったのに、死体で見つかったの。






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