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棄てられたエルフ

 ダンジョンにまたしばらくひきこもることにした。あまり人間の街にでてやらかしすぎても、私が『魔人』であるって悟られて色々と面倒だったから。

 それに力を蓄えて色々と何かを企む期間っていうのは重要だもの。次にどんな遊びをするかも色々と考えなければならないし。

 ダンジョンも強化して、それなりに私のダンジョンに挑みに来る冒険者も増えた。眷属のモンスターたちも冒険者たちに対する対処法を少しずつ学んできたのか、死ぬ数も減ってきている。

 学習しているのだ。彼らも。

 私が学習をするように色々と学ばせているからっていうのもあるだろうけれど。モンスターたちとはよく会話を交わしている。

 だって一人ってさびしいし、話し相手はやっぱり必要じゃない?

 それを思うとあれだね、やっぱもっと面白い事を起こして神様に会いに来てもらえるようになりたいなーって思う。

 あと眷属って欲しいなって思う。いやね、モンスターの眷属は沢山いるけどさ、人の眷属も欲しいなって。

 前に作ろうとした時、ビアンカは運悪く殺されちゃったからなー。てか、ビアンカの事思い出したの、凄く久しぶりな気がする。あれから色々とばたばたして、色々とやらかして、正直眷属を作る気分ではなかった。

 でもあれだね、次は眷属を作ってみてもいいかもしれない。私の、退屈しのぎのために。

 って、思っていた私のもとに、一人のエルフが棄てられたのは次に何をしようかなと考えた時の事だった。

 他のエルフたちに引きずられて、私のダンジョンに放り出されたというそのエルフはボロボロで。

 そのエルフを私がモンスターに私の元まで連れてくるようにいったのはただの気まぐれで、面白い事にならないかなと思ったからだった。

 思いつきで動いてしまうのは私の悪い癖なのかもしれない。面白さを優先して動きすぎるのは大変なことになるからもう少しどうにかしなきゃなーとは思う。うーん、刺激がもっとあればいいのかなー。もっとスリルと刺激があればもう少し私も考えようと思うのかもしれない。

 最近上手くいっているからなーなどと自己分析をしながらエルフの少女を見る。

 エルフ族って基本的に見目美しいものが沢山いるっていう情報が頭にある。基本情報は疑問に思えばすぐに浮かぶし、彼女を見ていてなんで彼女が棄てられたのかわかった。

 エルフって、基本的に金色の髪と瞳を持っているものらしい。でも彼女は黒だ。髪の色が金とは程遠い黒色だ。

 それが迫害に繋がったのだろう。それにしても、他と違うというのはどこの世界でも迫害対象にあったみたいだ。

 正直馬鹿らしいって思うけどねー。人は見た目じゃなくて中身だよー? って思うしね。ま、私も見た目で得しているから言っても説得力ないかもだけど。

 ボロボロの彼女は、しばらくして目を覚まして、きょろきょろとあたりを見渡した。

 「ここは……」

 「ねぇ」

 此処は何処? とでも続けようとした彼女の言葉を遮り、その首に刃物を当てる。

 「え?」

 「選んで。ここで私に殺されるか、私のモノになるか」

 笑って問いかけた言葉に、その子は呆けたように私を見た。気まぐれだった。面白かったら眷属に出来ないかなってそう思った。

 迫害されてきた子なんて闇が深そうで面白そうで、だから問いかけたの。

 「なに、それ」

 「いいから選びなさい。貴方は死にたい? 生きたい?」

 問いかけた言葉。彼女が答えない言葉が伸びれば伸びるほど、私は刃物を彼女の肉に食い込ませていく。

 「死にたくない!」

 それに慌てた彼女はそういった。そういったから私は、即座に眷属化の儀式を行使した。血と血で結ばれる契約。元々眷属ではないものを眷属にするその儀式は痛かった。

 はじめて行ったからどんな感じ化わからなかったけれども、激痛が走った。

 向こうもそれは同じだったみたいで、というか、私よりも激痛が走っていたみたいで、のた打ち回っている。

 それから何分もたって、ようやく彼女は口を開けるようになったらしい。

 「わ、私に、何を」

 「眷属化。私は『魔人』だから。貴方は私のモノになること望んだからしちゃった。ね、復讐とかしたくない?」

 混乱している彼女に問いかけた。面白くしたいから、そんな風に聞いた。

 「復讐?」

 「うん。貴方を迫害してきたエルフたちに。滅ぼしてみたりしない?」

 私は迫害されていた存在が力をつけて復讐する物語とかも好きだからそうやっていってみた。そしたら彼女は、

 「………出来るの?」

 そう問いかけた。

 その目が、生き生きとしていて。憎しみに満ちていて。復讐心に燃えていて。

 だから私は笑って、その言葉に頷いた。




 準備をしてエルフの里を一つ滅ぼしたのはそれから数か月後の事だった。





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