バイト中。
※前話少し変更しました。
「アイちゃん、6番テーブルにこれ持っていって」
「はーい」
この街にやってきて次の日にはバイト先手に入れた私です。今はバイトはじめて一週間目。この世界、平民だと家名持ってないのが常識なんで、私はアイと名乗ってます。偽名使ってもよかったんだけど、まぁ、いいかって事で本名使ってる。
此処は人気の食堂なんだって。人手が足りなくて女の子のバイト探してた所を私がやってきたってわけ。ちなみに泊りこみのバイトなの。一ヶ月此処で働く予定なの。それだけあれば色々出来るし。
むさくるしい冒険者の男とかも結構来るよ! この街は冒険者が割と来るぐらいデカイ街だからね。冒険者の情報も集めているんだ。だって明らかに強すぎる人達に来られたら私が折角作った可愛いモンスター達が死んじゃうじゃん? だからダンジョンを認識させた後に強い人が来たらさっとモンスター達にはなるべく隠れてもらおうかなーって思ってるの。無駄死にしてほしくないしねー。
でも今は駄目でもいつかはレベルの高い冒険者にだって負けないぐらいの、瞬殺出来るぐらいのダンジョンにするんだから! なんて考えながらもにこにこしながら私は接客中です。
「おまたせしました。豚肉のソテーでございます」
でね、今私が注文された料理を運んだ先に居る冒険者はレベルが60ぐらいあるんだって。私より高いのよねぇ。まぁ、それはいいんだけど。
「アイちゃん、今度一緒に遊ばない?」
ナンパされて超ウザイ。まぁ、確かに顔立ちは整っているし? 女の子にキャーキャー言われているし? 女遊びしているみたいだけどさー、私そういうの興味ないしー? 冒険者って私達魔人にとっては敵だしねぇ。
レベルが同じぐらいか私の方が上なら仲良くやってグサッと殺しちゃってもいいかなーって思うんだけど、今のままじゃ返り討ちにあうだろうし誘われても本当困っちゃう。第一恋愛よりも今の私はダンジョンを成長させて、完成させることが楽しくてたまらないからそういう事に現をぬかす気はないしね。
もし恋人とか作るとしても、私の眷属のモンスターを嫌う奴なら許せないものね!
「申し訳ないのですけれども、私やりたい事があるので…」
「そんな事いわずにさー」
ウザイよー。バイトしてると本当によく絡んでくるの! 何でもね、私が黒髪黒眼でこの世界で珍しいからってちょっかいかけてきてるみたい。そんな理由で忙しい私に絡まないでほしいよね! まぁ、地球に居た時にも告白された事あるし、私の外見が多少は異性を惹きつけるっぽいからそれもあるみたいだけど。でも恋人作った事ないけどね。そんな事よりファンタジーゲームとか、ラノベ読んだりするので忙しかったし。
「ちょっと、アイちゃんが困っているからやめてくれないかい?」
そういって注意を促すのはこの食堂『リスカーナ』の店主であるミカヅキさんだ。なんかサバサバしたおばちゃんって感じの人で、凄い料理美味しいんだよね。準備が出来たら村でも街でもモンスターに襲わせたりする予定だけどミカヅキさんの料理美味しいしなるべくこの街は襲わないようにしようかなー、ミカヅキさんが死ぬまでは。間違って殺しちゃうかもしれないけど、その時はまぁ、仕方ないって事で!
それに別に魔人としてレベルを上げたり、ダンジョンを大きくしたりはしたいけど人間滅ぼしたいわけではないからね! 何事もほどほどにやって楽しむのが良い気がする。
だってさー、滅ぼしちゃったりしたらダンジョンに誰もやってこなくなるわけだし、楽しくないしねぇ。
「えー、だってアイちゃんと仲良くしたいんですよー、俺」
「そういうのはバイト終わってからにしな」
ミカヅキさんがばっさりとそう言って、私はそのまま調理場にミカヅキさんと一緒に戻りました。
いやー、ミカヅキさんっていい人! まぁね、街で生活するわけだから、ボロ出したくないしなるべく私大人しくしてるの! 対応間違って激昂されたりしても困るし。
あいつバイト終わったら遊ぼうとか言ってくるけど、私本当に忙しいの。この世界の常識は一応脳内に組み込まれているわけだけど、実際に見てこそだと思うの。折角のファンタジー世界だし、色々経験したいってのもあるしね。
情報収集も頑張らなきゃだしー、魔法についても学ばなきゃだし。
あと美味しい物探しもするの。この世界割と甘味もあるみたいで、だから甘い物を食べ歩きするのもいいよね。魔人だから食べなくていいんだけど、私甘い物好きだし。
あと観光もしたいの。西洋風のお城とかそういうの見れるだけでいいって思わない? 私はテンションあがる。ダンジョンをちゃんと認識させたら冒険者も沢山来てしばらくは見張っておくべきだし、観光出来なくなりそうだし、しばらく観光して歩きまわってもいいかもね。
まぁ、攻略できないぐらいのダンジョンにまで出来たら喜んで観光いくけど。そんなレベルになってるなら、私のレベルも高くなってるだろうし、滅多なことじゃ死なないだろうからね。油断なんてしないの! 外に出て魔人だって気付かれたら殺されちゃうからね。
とはいっても誰も気付かないけど。判断方法明確にないらしい。私この前バイト終わって教会にいったんだけど全然問題なかった。ちなみに光の神を崇拝する宗教らしいよ? 魔人に正義の鉄拳をとかいってたけど、魔人の私ににこやかに笑って全然気づかなくて面白かった。ちなみに邪神――要するに私を連れてきた神様を崇拝するような危ない宗教も世界にあるんだって。魔人は神の使いって認識らしいよ? いやー、面白いよね! 神様を呼びだそうとかやってるらしいよ? 人を犠牲にして。だから大抵見つかると殲滅されちゃうんだって。
この世界において宗教大事なんだもんね。私とか魔人だってばれたら殺されたちゃうから怖いよねぇ。
「アイちゃん、考え事かい?」
「ええ。バイト終わったら何しようかなと思ってまして」
「そうかい。とりあえずこれを運んでもらっていいかい?」
「はい。運んできますね」
あー、この世界をどんどん知っていて、これからどうしようって考えるだけで本当楽しみ!
戦闘なんて知らない村人を殺せるぐらい強くなったら殺して、殺しにもなれたいしー、動物殺しながらも遺跡巡りとか観光もしたいしー。MP回復薬強奪のためにもっと強くもなりたいしー。
ふふ、と思わず笑みが零れる。
本当周りの人達も愉快だね。私が魔人だって気付かないだもの。魔人が基本的に外に出ないのも理由だろうけど。聖騎士なんて名乗ってる教会の魔人を倒そうとしている戦力も気付かないなんて愉快愉快。
楽しみだなぁ。初期ダンジョンだからと侮った冒険者が死んでいく図を思い浮かべる。それを現実にしたらもっと楽しいだろうなぁ。
トラップ系も設置出来たはずだから、色々考えて設置もしなきゃ。
トラップもポイント居るみたいだから、設置するのはもっとレベル上がってからだけどね。
どんなトラップがいいかなぁ。やっぱり一発で人が死んじゃうようなのがいいよね。瞬殺出来るようなの。でもじわじわと死んでいくのもいいかもねぇ。魔人って悪役だからね、悪役らしく盛大に殺してあげるのが一番いいよねー。
『人間大量☆虐殺作戦』みたいなのもいつかやってみたいなー。恐れられるダンジョンになったら攻略しようっていっぱい人来るだろうし。余裕出来たらやりたいよね! お祭りみたいな感じでやってみてもいいかもね。誰が一番モンスターの中で人を殺せるかって奴。
うんうん、いつか絶対やろう。
将来の計画を立てていたら思わずにこにこしてしまって、「何か良い事あった?」と沢山の人に聞かれた。だから、「うん。将来にやりたい事が出来たんだ」って答えておいた。
皆それがかなうといいねぇとか、言ってくれたけどやったら此処に居る人達も下手すれば死ぬよねぇ。ま、それに「絶対叶えるよ」って答えておいたけどさ。