おじさんと殺し合い(遊び)をします。
暗い闇の中。
光さえ一つも見えないようなそんな真っ暗な中で、私とおじさんは待ち合わせをしていた。
殺し合いをするための、待ち合わせをだ。
私は《ポイズンハニー》たちを連れて、その場でおじさんを待っていた。
おじさんと殺し合いをすることをどれだけ夢見ただろうか。どれだけ楽しみにしていただろうか。それを思うとどうしようもないほどわくわくする。
ああ、もう胸がドキドキするよ。
本当におじさんが私が報復をする前に亡くなっていなくてよかったって心の底から思うんだ。だっていやじゃないか。私がおじさんと遊ぶ前におじさんが死んでいるだなんて、そんなのつまらない。そんなの絶対に嫌だった。だから、笑みが零れる。
楽しくて、嬉しくて、わくわくして、あれだね、まるで大好きな人との初デートを思ってドキドキしているみたいな、そんな感覚だね。
一人でおじさんとの殺し合い(遊び)楽しみだなぁとわくわくしていたら、《ポイズンハニー》ちゃんから、危ないという念話が来た。
私はそれを聞いて、あたりの気配を探る。
次の瞬間、私を狙って長剣が振り下ろされた。
それを私は、《ボックス》から取り出した刃物ではじく。
私に前振りもなしに襲い掛かってきたのはおじさんである。
「あはは、やはり簡単には殺されてくれないか」
「あはは、不意打ちしてくるとか、流石おじさんだね」
二人して、そんな風に笑う。
おじさんは私が簡単に殺されてくれなかったころを面白がっている。
そして私はおじさんが正々堂々とではなく不意打ちしてくることが面白かった。
殺し合いってさ、不意打ちっていうなれば当たり前なんだよね。殺し合いは殺すことが目的でそのためには手段を択ばない方が断然効率が良いと思うわけ。
でも世の中にはそういうのは卑怯だとか言い出す甘ったれもいるから面白いよねー。
おじさんは死ぬつもりはないのだ。私も死ぬつもりはないけれど。
でもおじさんは私と同じ異常者で、殺し合いを楽しめるような存在だからこそ、今の状況を楽しんでいる。
私だってこうして剣で打ち合っているだけで楽しくてわくわくして仕方がなかった。
前の時は私も《魔人》になったばかりでおじさんとの殺し合いも続けられないほどに弱くて、こんな風に遊べなかった。
私はあの時だって実力があるなら、思いっきりおじさんと遊びたかった。でもできなかったから。
「あははははははっ。おじさん、また殺し合えて(遊べて)嬉しいよー。楽しいねー」
「アイちゃんは相変わらず愉快だね」
私とおじさんは、笑い合った。
互いに武器を手に。魔法を行使し。
だけど、ただ笑みを浮かべて。
夜に、目も利かない場所で。誰もその場にいないところで、私とおじさんは狂気じみた笑みを浮かべて、異常な言動をしながらも、そこにいた。
私は異常が故に、神様の誘いの元《魔人》になった。
おじさんは異常が故に、人間の世界に溶け込みながらも殺人を犯したりと遊んでいた。
おじさんを眷属にしても楽しそうだなっていう考えもないわけではないけれども、私はおじさんを殺す気だった。
生きるか死ぬかの攻防をして、死んでもいい覚悟で、殺す覚悟でして、その上で両方生きているなんて面白くないし。
おじさんは殺す。
殺して、私は満足する。
「あはははははっ!」
「くははははははっ!」
血が出ようとも、痛みを感じようとも、私もおじさんも笑っていた。笑って武器をとり、笑って相手を殺すために行動した。
おじさんは年を取ったのもって、前よりも動きにキレがないように見える。
人間は寿命には勝てない。それを思うと私は《魔人》になれて幸せだ。殺さない限り、永遠と遊んで生き続けられるだなんてっ!!
ああああああ、もう本当に神様愛している! ありがとうぅううう! って殺し合いの最中なのに叫びたくなるぐらいだった。
ああ、もう本当に、殺し合いの最中だけどさ。感謝の気持ちが溢れてたまらないよ。
私がこうして遊べるのも。私がこうして楽しめるのも。私がこうして興奮できるのも。全部全部全部、神様のおかげなんだから。
私を《魔人》にしてくれてありがとう。地球ではこんな風に殺し合いをすることなんて全然できなかったんだから。本当に本当に本当に、ありがとう!!
もっともっと、楽しむために。
神様に、私を面白いって示そう。
私をここに連れてきてくれた神様にお礼を言いたいから。
邪神なんてものに会えるなんて嬉しいから。
とりあえずは、そのために死なないように死闘を繰り広げよう。生きよう。
そんな思い出の殺し合いは、優に4時間にも及んだ。
決着がついた時には真っ暗だった暗闇が明け方になっていた。
立っていたのは、私で。
おじさんは地に倒れていた。
私だって満身創痍だった。でも結果的に生きているのは私で。
「あはあははっはっ! 勝った、勝った私!!」
狂ったように叫んでしまったのは、嬉しかったからだ。どうしようもなくわくわくしていたからだ。
そのあと私は記念におじさんの体を持ち帰って、その肉を食べた。




