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人をさらうとか悪役っぽいよね。

 《人間》を使う事を決めた私はとりあえず《人間》をさらうなりとらえるなりしてみようと思った。

 私は元《人間》だし、《人間》をどういう風に使うのが一番いいかとか思いついてはいるけれどさ、もう何年も《人間》らしい生活なんてしていない身としては《人間》についてもっと知っちゃおうと思ったわけですよ。

 っていうのは建前で、悪役なんだからどうせ《人間》を使うならさらって人質にしてとことんっていう感じがいいかなーっと思ったりしているの。あ、もちろん、いう事聞いたからって人質解放したりは絶対にしないけれど。私は善人ではない。そして《魔人》として生きるからにはとびっきりの悪人でありたい、とさえ思っている。

 悪人として楽しく生きる。

 それが今の私にはできるのだ。楽しみで、わくわくする。

 《人間》をさらうにしても私はまだ弱いから強い人たちはさらえないしなぁ。それにさらった先で抵抗されて大変な目にあっても困るし。

 だからさらうとしたら幼い子供とか、か弱い女性とかかなぁ。《人間》って自分には不幸が降りかかるわけはないって思っているものばかりだからさ、やろうと思えばさらうぐらい簡単だと思うんだよねー。

 《ポイズンハニー》に偵察させてさー、さらえそうな感じの子いたら突撃させようと《ゴブリン》たちに《人間》の町の近くにまで行かせたの。なんかねー、危機感ない平和な町の近くだとモンスターがいようともなかなか気づかないものだよ。それに私のモンスターたちはいるだけで、行動起こしてないからってのもあるんだろうけれども。

 モンスター=人を襲うものって認識がよっぽど強いんだろうね。まぁ、それも間違ってないといえば間違ってないけどさ。でもさ、人を襲わないように指示されたモンスターもいるんだよ。あははっ。危機感無いほうがさらう身としては楽だけどさー、そんなに楽観視してたらダメだよーって言いたくなっちゃうかなー。

 そんなこんなで、《ポイズンハニー》がGOサインを出したらそのままモンスターたちが人さらいを行ったんだよー。あはははは、《ポイズンハニー》から聞いたけどさらわれた《人間》たちってば、何が起こったか全然わからないって顔していたんだって。面白いねー。こういう危険な世界なのに警戒していないとか馬鹿としかいいようがないもんねー。

 地球でもさ、ニュースの中で殺人とか沢山あっているのに自分の周りでは起きるわけないって皆思ってたなって考えてみて、やっぱりどういう世界でも自分に都合よく考えちゃうのが《人間》なのかなーって思っているよ。

 そういうものなんだろうけどね。そしてそういう種族だからこそ、余計にからからかいがいがあって面白いと思うよー。

 近隣の町から適当に六人ほどさらったよ。さらえそうなのが全部子供だったんだけど面白みがないなー。もっと女性とかもさらってみたかったんだけどさ。

 女性さらえたらモンスターと子づくりさせてもよかったのになーって思いながらもとりあえず子供たちは二人ずつで隔離したよ。互いに二人しかいないって状況を作っているんだ。

 あ、あとね、私は子供たちの前には姿を現してはいないよ? そういう遊びは今する気ないからねー。それよりも互いだけしか味方がいないっていう、ほかに話相手すらいないっていう状況に陥らせて、信頼関係を築かせたうえで、遊びたいんだよ。

 「あははは。順調に仲良くなっているみたいだねー」

 さらった子供たちは二人組にしたまま、窓のない部屋で放置なんだよ。それをマスター室から除きながら私は面白くて仕方がなかった。

 だってねー、やっぱ生物って二人だけで隔離とかするとびっくりするぐらい簡単に仲良くなるんだね。監禁して、放置状態なんだけどさ、今。

 男女の子供とかだと、「俺がお前を守るよ、絶対」、「二人でここから出よう」とかいって、恋愛関係みたいになりかけているの。

 それみた瞬間、私は爆笑したよ。だってこの上ない茶番劇としか言いようがないじゃんか。こんなとらわれの身の状態でよくそんなことする暇あるよね? いや、むしろこういう場面だからこそ吊り橋効果で貴方が好きよーっ的なことになってんのかな?

 まぁ、どっちにしろ茶番なことには変わりないよね。

 モンスターたちはさらった以降接触してこないからって、さらわれた子供たちは妙に楽観的になっているみたい。さらわれて、監禁状態なのに、何もないからって安心するとか馬鹿よね。子供だからってのもあるだろうけれど。

 子供だから、大人が助けてくれると思っているのかもしれない。

 でも残念、ダンジョンの真下の地下なんて多分《人間》たちはやってこない。それに《人間》たちは人さらいとは思っても、モンスターがさらったとは多分思わないはず。だから、助けは来ないよ。

 あえてそんなこと言いにはいかないけどさ。

 そして子供たち六人がそれぞれ仲良くなったところで、私は働きかけた。



 利用するために。




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