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さてそろそろMP回復薬を強奪したい。

 あの不思議な声の正体なんて、私にはさっぱりわからない。私の幻聴なのか、本当に他人が私に向かって直接的に接触してきたということなのか、さっぱりだ。でも、それでも別にかまわない。

 あれが、どういうものであれ、私は私が楽しむために思いっきり遊ぶのだから。きっとあの声の主は私が思いっきり遊んで、楽しむだけでも満足してくれるとそんな予感がするから。

 「なにをしようかなー」

 で、現在私はマスター室に設置されているベッドでごろごろと転がりながら次に何をしようか企み中だよ! やりたいことは結構あるよ。遊びたいことも本当に沢山あるよ。だけどさ、だからといって、何も考えなしにそれを順序考えずに実行してもうまくいくわけもないってわかってるんだよね。ただ一つ頭にあることはそろそろMP回復薬略奪計画を実行できないかなってことかな。

 でもそれをやったら少なからず私の眷属のモンスターたち死ぬ可能性があるんだよね、正直あまり犠牲を出したくないって思いはある。だけど、MP回復薬があったら私はもっとレベルを上げやすくなる。

 だからこそ、やろうと思うの。

 たとえどんな犠牲を払ったとしても、私さえ生きていれば、どうにでもなる。眷属のモンスター達が死ぬって考えると嫌だけど、それでも手に入れる価値はあるものなのだ。MP回復薬というものは。

 何かを手に入れるためには、何かを失う必要がある。何も失うこともなく、ほしいものが手に入るなんてありえないって、そう地球に居た頃から知っている。

 「……じゃあ、仕方ないか」

 そうつぶやいた私は地下で繁殖したり訓練している眷属のモンスターたちのもとへ向かった。

 そして告げた言葉は以下の通りである。


 「ねえ、皆、MP回復薬を取りにいくよ。それは多分犠牲を出さずには無理。だからさ、死ぬ気で奪ってきて。死にたくないなら必死で抗って。ね、お願い」


 笑顔で行った。

 死ぬかもしれないけれども、死ぬ気で奪ってきてと。理不尽な要求だろう。でも、眷属たちは私が生んだ存在であり、私の命令に絶対的だ。

 逆らう事はまず、その思想にない。生まれながらに洗脳を受けているようなものなのだ。眷属のモンスターたちは。《魔人》とは何とも便利な能力を持っているものだと思う。

 ちょっと可哀想だなと思わない事もないし、可愛いモンスターたちが死ぬのは嫌だって私は思っているよ。凄く思っている。けどさ、私は自分の方が大事だもん。自分が生きて、自分が楽しむ事が一番だよ。

 それ以上に求めるものなんてない。ありえない。そもそもさ、自分の事が一番大事っていうのが人ってものだと思う。他人を幾ら大切に思おうとも、自分がきちんとできて居なければ他人を思いやる余裕なんて人にはないものだよ。

 まぁ、私はどんな場合だろうとも他人よりも自分を大切にすると思うけれど。

 MP回復薬をうまく奪ってこれればいいんだけどな、奪えないと後々困る。そして奪う際に私のダンジョンのモンスターだって悟られていても困る。

 ただ奪うだけでは駄目なのよね。器用に一切証拠を残す事がないように、いえ、寧ろ別のダンジョンのモンスターがやったと誤認識させるようにしたいのよね。となると、まずすべきことはMP回復薬の移動ルートと、その周辺に存在するダンジョン。

 それを調べて、上手くいきそうな場所を見つけて行動に移すのが一番よね。そういう調べる情報は《ポイズンハニー》と私でやるのが一番かしらね?

 それにしても《魔人》って基本的に元人間だからもあるんだろうけど、モンスターを戦わせる事にしか使っていない印象があるんだよねー。もっと別の事にも使えると思うんだけどなー。まぁ、それは《魔人》が基本的にモンスターと会話を交わしたりとかしていないからも理由なんだろうけれど。

 眷属のモンスターは《魔人》に絶対服従であるし、もっと会話や交流をしてモンスターたちが成長できるようにしたいなーとかも思ったり。

 そのためにももっとモンスターたちが成長できる環境も作りたいなーなんて考えながら足をぶらぶらさせる。

 「私が私のために精一杯楽しくしたいんだよねー。だからさ、そのために、全力を尽くしてね?」

 眷属のモンスターたちは、私がそういう事をいっても素直に頷く。マスターである私を楽しませなければいけないと寧ろやる気を出している。そういうモンスターたちだからこそ、可愛いなーって思う。

 「まずは下調べから。実行に移せるタイミングを見計らって、犠牲を最小限に抑えながらやるのがベストね」

 モンスター達に向かってまず第一の行動を示しながら、私は笑う。

 想像するだけでなんて楽しいんだろう。何てわくわくするのだろう。MP回復薬は移動中は護衛がついているときく。MP回復薬は高価なものであり、何も《魔人》だけではなく盗賊とかだって狙っている。盗賊の手に渡ったら割と悲惨だと思う。そういうのもあるから護衛を雇っているんだろうけど。

 どうにか護衛を出し抜くか、倒すかもしなきゃだしね。結局《魔人》となってすぐにやりたかったのに、色々遊んでたら先延ばしになってたからそろそろしたいんだよねー。



 ってわけで、次はMP回復薬を強奪します!



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