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ポルノの悲劇、それは愛にとっての喜劇(準備編)

 「撲殺、虐殺、刺殺~、全て楽しい人殺し~♪」

 なんとなくそんな適当な歌を歌いながらも私はポルノで遊ぶための、準備の真っ最中だよ!! てか、私撲殺はしたことないな。今度したいけれど、私って結構か弱いからそれ厳しいんだよねー。力が弱いし。魔法とかで強化してから思いっきりぶん殴ってそれ、やってみたいよね。とか、最近思うよ。

 ちなみにね、私が歌を歌ったら、なんだか歌を歌う事が出来るモンスター達も真似してなんか歌ってて可愛いんだよー。

 今度人殺しソングでもフルでちゃんと作って、それを実行しながら歌ったら楽しそうだなーとか、ちょっとやりたいことを増やしてみたり。

 ポルノはこれまで入ったダンジョンを全て攻略してるらしいよ。わーすごいパチパチとか、そんな気分だね。私の植え付けたトラウマのおかげでポルノってば超進化しているんだけど、何それウケル。

 殺さないように、生きたままトラウマを植え付ける。

 それがポルノに対する遊びなのだから、ただ殺すだけと違っていろいろと準備が居る。ポルノはこのダンジョンを攻略するまでここから出ていく気は今のところないだろう。

 いくら人が多く死んでいるとはいえ、私のダンジョンはまだまだ発展途上の出来立ての、気を抜けば冒険者に攻略されてしまいそうな場所なのだ。

 幾ら今までうまくいっているからといって、慢心してはいけない。絶対にポルノで遊ぶのはうまくいくなんてそういう思いこみをしていれば、私は逆にポルノによってダンジョンを攻略されてしまう恐れがある。でも、そういう可能性があろうとも私はポルノで遊びたい。

 異世界にやってきて、自分のやりたいことが誰に咎められる事がなくやることが出来るっていうのに我慢何てしたくない。

 殺すのではなく、私もポルノも死なずに遊ぶための準備。それでいて、私の大事な配下のモンスターたちも死ぬ事がないようにしなければならない。

 難しい。でも難しいからこそ、達成し甲斐がある。

 「そのためにも、魔法をうまく使えるようにしなければ」

 レベルも少しずつ上がっているし、魔法を色々覚えてはいるけれども、最近覚えたばかりの魔法(冒険者が持っていた本に書いてあったもの)は正直まだうまく使えない。

 ポルノで遊ぶために使いたいのだから、もっと練習して上手く使えるようにしなければいけない。魔法って難しいけれど、使えるようになったら本当に便利なの。

 地球ではなかった未知の力であるし、できればもっと使いこなして遊びたいんだけど、正直私は天才ってわけでもないみたいで使うのにはそれなりの努力が必要なのよね。まぁ、私は《魔人》で、これから殺されたりダンジョンを攻略されたりしない限り時間は沢山あるんだからどうにでもするけど。

 あとトラップも作らなきゃ。もっともっと私が楽しめるように。私が楽しむためだけに。

 でもポルノって実は才能あったみたいなんだよね、戦いの。『初恋少女さらわれ事件(笑)』によって覚醒して、バリバリ活躍してるなんて才能なければ無理でしょ。

 いやー、私ってば純情少年ポルノに目をつけてよかった! こんなに面白いことになってくれるとはね! 復讐に燃えて冒険者になったって知った時も本当に超爆笑したけど、私が《魔人》なんて疑いもせずに意気揚々と魔物を狩っているとか面白すぎでしょ。

 異世界にやってきてから意図的に演技することも増えて、私の演技力は高まっている気がするわ。でも私みたいな小娘に騙されてばかりってなんかつまらないよね。気づく人とかいないかな。最も気づいても《魔人》は本来ダンジョンから出てこないって認識が根付いているから私が《魔人》だってまでは気づく人いないかもしれないけれども。

 「純情少年は復讐者に代わり~それは全部、私の掌の上~ってね」

 口にしていたらとっても楽しくて仕方がなくなってきた。

 私という存在の遊びによって、人が狂うだなんて楽しい。面白い。もう、わくわくする。

 「もっともっと、私の掌で転がしてあげる」

 ニヤリッと笑う。楽しい事を思い浮かべて、本当一人でニヤニヤしてしまうのは私の悪い癖かもしれない。だけれども、本当に楽しみで仕方がない。

 ああ、どんな反応をするだろう?

 ああ、どれだけくるってくれるだろ?

 ああ、もっと面白くなってくれるかな?

 ああ、もっと私を楽しませて。

 性悪で根性の曲がっている私を好きになったポルノは本当見る目がないと思う。ついでに地球で私の事が好きとか、外面しか見てなかったこそにいっていた奴らも。

 私の内面を知ったら、地球の人たちは私を否定しただろう。おかしいって。異常者だって。いや、地球の人たちだけじゃない。この異世界の人々だって。きっと、そう。

 でも仕方がないじゃないか。これが私なんだから。

 誰がどんなふうに否定しようとも、これが私で、私って人間の本質なんだから。

 私の本性を知ってなお、私を好きなんて言ってくれる人なんていないんだろうなーって考えてちょっと気分が沈んだ。

 だけど、折角目の前に楽しい玩具がいて、その準備をしているんだからそういう気持ちをふり払うために私は首を振った。


 そしてそのまま、準備を続けるのであった。





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