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ポルノの悲劇、それは愛にとっての喜劇(企み編)

 「なにこれ、おもしろい」

 アイはマスター室の中からダンジョンの様子を見据え、おもしろそうに声を上げる。

 視線の先には自身が以前誑かしてトラウマを植え付けた存在が居る。

 成長したポルノはこれまでアイをさらった魔物に対する憎しみから様々な修羅場を潜ってきたのだろう。その顔は昔見た時よりもどこか凛々しい。

 面白いね。たった数年でこれだけの変化を遂げるなんて。まぁ、その変化を与えたのはほかならぬ私なんだけどねー。あははっ、私のせいでそんな風になるなんて面白すぎるよね。

 まぁ、最近アルシアで思いっきり遊んでてポルノの事なんて頭から全く除外されていたんだけどねー。私って目先の楽しい出来事にばかり目がいっちゃうんだよねー。私の悪い癖だなっては思うよ。複数の楽しい事を楽しめるくらいの上級者の愉快犯になれたらもっと楽しいかなーとか思ったり。でも全力で一つの事を楽しむからこその楽しさもあるかなとか思ったりもするんだよー。

 現在の私の心境はただひとーつ! 何かって、ポルノにもっと、もっと深い絶望を刻み込む事だよ。きっと楽しいよね。きっとわくわくするよね。私の心がハイテンションになるぐらい面白くなると思うんだよね。

 どうしようかなー。どうしたら、ポルノに絶望を与えられるかな? 折角殺さず、トラウマを植え付けて遊んでるんだからさ、殺さずにじわじわと遊ぶ方が私的にも楽しいと思うんだよね。てか、そっちの方が絶対に最高に面白くなるでしょう?

 てか、どうせ殺すなら遊んでからがいい。それか私が手を下さずに絶望だけ感じさせてじわじわと苦しませるとかがいいと思うんだよね。アルシアはばっさりと殺したからさー、まぁ、時間はかかったけれど。ポルノはじっくりと殺さず苦しめたいなーとか思ってたりするわけ。

 「ふふふ、おもしろーい」

 ダンジョンの中から見ているポルノはね、《ゴブリン》と《コボルト》見ると凄い形相しているの。ほら、私をさらったのって《ゴブリン》と《コボルト》じゃんか。てか、私を抱えた張本人あの中居るよ。まぁ、モンスターの区別なんてポルノにはわからないだろうから、本気で私をさらったモンスターとは思っていないんだろうけれど。

 というかね、ポルノって時々私の名前呼んでるんだけど。重いよ、愛情が重いよ。私さっきまで忘れてたのにって爆笑しそう。

 まぁね、それだけのトラウマを植え付けようと私は『好きな女の子と思いが通じた瞬間、その女の子がさらわれる』ってシーンを演出したわけだけどさ。いまだに引きずってるとか、笑えるよね。てか、私とポルノが一緒に居た期間とか短いのに、よくこれだけ引きずれるよねって、あれだね、ひと夏の思い出的な感じかな。

 短い時間だったからこそ、鮮明に忘れられないとかそんな感じなのかもねーとか、他人事のように思っていたり。だって私当事者だけど正直ポルノの淡い気持ちとか興味ないし。

 私が興味あるのは、如何にポルノが壊れるか。

 どれだけ私を面白がらせてくれるか。

 それだけだもの。そう、それが一番重要で、一番大切な事。

 じーっと、ポルノを見つめながら思う事。どうせならもっとポルノが大好きでたまらない『アイ』っていう純粋で、優しい女の子をもっとポルノの心に刻んであげたいよね。

 そう、それこそ一生私っていう存在が死ぬまで心に刻まれるような、そんな感じがいいかなー。

 今でも十分重いほどの愛情をポルノは私に持っているみたいだけどさ、どうせならどうあがいても吹っ切れないほど私って存在を刻んで、そうした方が絶対に私が楽しい。

 もっと、もっと楽しく。もっと、もっと面白く。

 そういう感情を感じたい。そうやって楽しく、おもしろく生きていきたい。地球では決してかなわなかった事がここではかなう。私が好き勝手に楽しく生きられる。

 やっぱり、あの怪しさ全開の誘いに頷いてよかったって私は思うよ。

 いつか、私をここに連れてきた神様に会いたいなとかそうも思う。だってね、この世界に連れてこられた人間って嫌な思いした人の方が多いもん。私みたいに喜んで連れてこられた人とかいないよ。あんまり。

 私が例外なだけ。

 きっと私みたいに思いっきり《魔人》生活を楽しんでいる人もほとんどいないと思う。だって突然の変化にそんな簡単に皆対応できないもの。

 そうだね、きっとアルシアみたいに穏やかで幸せな日常を生きていたならば、きっと余計にこの世界って絶望しかないと思う。幸せだった記憶がある分、人間を殺さなければならないどうしようもない現状が耐えられない。

 そうしたら逃げるか、壊れるかが多いんじゃないかな。アルシアは逃げてたね、自分にはどうしようもない、どうしようもないって現状を打破するなんて考えにいってなかった。

 壊れた人にもあってみたいよね。《人間》を殺して壊れて、くるってしまう《魔人》もいると思うんだ。

 この世界に私たちを連れてきて《魔人》とした存在は、良い性格していると思うよ。そういう様になることをしっていながら幸せな人たちもこの世界に連れてきているんだから。

 きっと良いお友達になれると思うんだけどなーとか、考えたりしちゃうんだよねー、本当に。

 まぁ、人間に世界を渡らせ、《人間》って存在を《魔人》にできちゃう存在になんて自分からは会いに行けないだろうからポルノで遊ぶ算段でも立てようかなー。

 ちょっと面白そうだなって事は思い浮かんでいるんだけど、本当どうやって遊ぼうかなー。




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