☆アルシア・サーベント
※アルシア視点。
私はどうしてここにいるんだろう。どうしてこんな場所にいなければならないのだろう。どうして地球で普通に暮らしていたはずの私がこうして異世界なんて場所にやってきて、しかも《人間》の敵である種族にならなければならなかったのだろうか。疑問がわいてくる。
どうしようもないほど、悲しみに満ちる。
どうしたらいいかわからなかった。《魔人》なんていう《人間》の敵になってしまったことに絶望した。
ダンジョンを作って、モンスターを創造して配置する。ずっとびくびくしてた。すぐにダンジョンを攻略されてしまうのではないかって。だってそれは恐ろしい事だった。ダンジョンを攻略されれば《魔人》は死ぬ。殺されても《魔人》は死ぬ。怖かった。
お母さんに会いたい。お父さんに会いたい。
こんなの夢だって思いたかった。だけど、これは決して夢ではなくて。一人ぼっちだった。人と会話をすることもなかった。人のぬくもりを求めて、何度も何度もマスター室で泣いた。時々やってくる冒険者をどうにか追い返して、モンスター達が時にはその人を殺して――。その様子が目を閉じて、耳をふさいで、怖くて仕方 なかった。
モンスターが怖かった。
自分が作った存在だとしても、恐ろしくて仕方がなかった。味方なんて誰もいないこの状況に怖くて怖くて仕方がなかった。
そんな時に出会ったのは、一人の《魔人》の少女だった。
その子は花本愛と名乗った。日本人の女の子の、アイちゃん。
アイちゃんは日本人のイメージの大和撫子といえるようなそんな見た目の女の子。艶のある黒髪を腰まで伸ばして、柔らかな優しい目をしていて、肌は驚くほどに白くて。とっても綺麗な女の子だった。
「わ、私は……は、花本愛です」
私の自己紹介に、アイちゃんは不安そうに瞳を揺らしながらそう言った。
自分と同じ”無理やり異世界に連れてこられ”、《魔人》にさせられた存在に私は安心して、嬉しくてたまらなかった。ああ、仲間がいる。私は一人ではないんだって。
「……もう、何が、何だか。突然、『異世界にいってダンジョンを作ってもらう』って言葉と共に…っ、此処に、此処に、連れてこられて……っ」
私が弱音を吐いたら、アイちゃんは自分も異世界に無理やり連れてこられて《魔人》になったことが悲しくて、苦しいはずなのに私を抱きしめてくれた。大丈夫だよって、私を安心させるような表情で、背中をぽんぽんって軽くたたいてくれた。話を沢山聞いてくれた。初対面なのに泣いてしまった私を疎んじもせずに、受け入れてくれた。
アイちゃんはその見た目通り、優しい子だった。
私とアイちゃんは友達になった。
それからの数年は、夢のようだった。異世界にやってきて、アイちゃんに出会うまで私は一人ぼっちで、これからも一人ぼっちなのかなって漠然と思っていた。誰とも会話を交わすこともせず、冒険者に殺されるまで、孤独に一人で生きて、死んでいくのかなって。それを考えるだけでどうしようもないほど胸が痛くて、だけどどうすることもできなくて私はただ泣いていた。
だからこそ、アイちゃんが隣にいてくれることが。アイちゃんと話をできることが。アイちゃんと笑いあえることがとても嬉しかった。
「あのね、アイちゃん」
私は話す事に飢えていたのだと思う。誰とも会話をすることもせずに、この異世界に存在していて、誰かと会話を交わしたくて仕方がなかったのだ。だからアイちゃんに沢山話しかけた。
「うん。そうですね」
アイちゃんはどんなにつまらない話でもどうしようもないほど穏やかな笑みを浮かべて、一つ一つの話をちゃんと聞いてくれた。返事をしてくれた。そのアイちゃんの笑みを見ているとみているこっちもうれしくなった。アイちゃんの浮かべる笑みってのは、見ているものを幸せな気持ちにさせるような優しい笑みなのだ。
アイちゃんは優しい。私が言った些細な事を覚えていてくれて、いつも笑っている。
それにアイちゃんは私とは違う。《魔人》になった事を嘆いてばかりの私とは違う。モンスターが怖くても、《魔人》として生きることと向き合っている。私は《人間》でなくなったのに、《魔人》として生きる事なんて受け入れられない。……でも、アイちゃんと一緒なら、いつかは《魔人》として生きることが受け入れられるかもしれない。そして《人間》を殺さずに《魔人》として生きる道をアイちゃんと一緒に探せるんじゃないかってそんな淡い期待を抱いてしまう。最もそれは無理だって思うけれど。でもいいよ。無理なら無理で。私は優しい友達のアイちゃんと一緒に居れればそれでいい。
「アイちゃんって料理上手なんだね。こういう料理食べるの久しぶり……」
アイちゃんは《魔人》になってからちゃんとした食事をとってないっていった私に料理を作ってくれた。
私は地球にいた頃料理なんてしたことがなくて、異世界にきてから何かを作りたくても作ることができなかった。作ろうとはした。だけど無理だった。だから異世界にやってきてはじめてのちゃんとした料理だった。
ほかほかの、作り立ての料理。
おいしそうなお肉の料理。
今まで食べたことのないような不思議な味だったけれど、ここが異世界だから地球とは味も違うんだろうなってそう思った。おいしかった。アイちゃんは、異世界に来た私がもう二度と経験することもないと思っていた事を沢山くれた。
人と笑いあう事、人と一緒に食事をすること。地球では当たり前のように家族や友人と過ごしていた大切な日々。もう失われてしまった”当たり前”をアイちゃんはくれた。
そうやってアイちゃんと平和に過ごしていた。けれど三年目のある日、アイちゃんが血だらけで私の前に現れた。
「……ア、アルシアさん」
私の名前を呼んで、ボロボロの身体をさらけ出したアイちゃん。沢山の血を流して倒れたアイちゃんに私はパニックに陥った。
真っ先に感じたのは、アイちゃんを失うかもしれないという恐怖心だった。
アイちゃん、私の大切な友達のアイちゃん。いなくならないで。アイちゃんがいなくなったら私――。考えただけで、どうしようもないほど恐ろしかった。怖かった。
アイちゃんをどうにか運んで、手当をする。中々目が覚めないアイちゃんに私は不安で仕方がなかった。
「アイちゃん…。アイちゃんアイちゃん」
何度も何度もアイちゃんの名を呼んで、私は不安で押しつぶされる心に耐え切れず、涙を流す。異世界にやってきてから何度も何度も泣いた。だけれどもこんな風に誰かを失う事を思って泣いたのは異世界にきてから初めての事だった。
だって異世界に来てから私は誰とも交流をせずに、おびえてマスター室に引きこもっていた。異世界で私が会話を交わせる人はアイちゃんだけだ。
優しいアイちゃんがどうして怪我をさせられなければならなかったのだろうか。アイちゃんのつけられた傷は刃物による切り傷。それが痛ましかった。今まで私はアイちゃんを失うかもなんて考えた事はなかった。
アイちゃんがこんな風に怪我をした事もなかった。だからバカみたいに安心しきってた。アイちゃんとずっと一緒にいられるんだって。だけど、私もアイちゃんも《魔人》なんていう《人間》の敵で、その事実を又実感してどうしようもなく絶望した。
目が覚めたアイちゃんは、以前少しだけ聞いたことがある《偽人》に狙われているといった。
「はい。《偽人》たちは何故か私を殺そうとしているんです。ついこの前に……、目をつけられたみたいで……」
消え入りそうな声。どこまでも弱弱しく、庇護欲を誘うようなはかない声がアイちゃんの口から発せられる。
泣き出しそうな顔。いつも笑っているアイちゃんの顔が、痛々しいまでに悲痛に歪んでいた。
震える体。恐ろしくて仕方がないとでもいう風にその華奢な体は恐怖に震えていた。
「……わ、たし、私どうしよう……。どうしたら、どうしたらいいんだろう……。こ、このままじゃ、私……《偽人》に殺されちゃう……」
そう言ったアイちゃんは、とうとう涙を流した。その漆黒の瞳から、大粒の滴があふれだす。こんなに弱っているアイちゃんを見るのははじめてだった。
「わた、し……死にたくない。死にたく、ない。嫌だ。嫌…なの。でも私だけじゃ――」
顔を真っ青にして、今にも倒れそうなほどアイちゃんはふらふらだ。俯いて、どうしたらいいかわからないという”絶望”を背負っているのが見て取れた。
私はそんなアちゃんに、なんといったら良いかわからなかった。今まで散々アイちゃんに助けられて、アイちゃんに救われて、アイちゃんの事大好きなのに。なのに、肝心な時に、アイちゃんがこんなに弱っている時に何もできない自分に情けなかった。
アイちゃんは急に上を向く。
そして私に向かっていった。
「ねぇ、アルシアさん……。わ、私と一緒に戦って。私はアルシアさんをおいて死にたくないよぉお」
私の肩をつかんで、涙を流しながら、アイちゃんはいう。
私を置いて死にたくないとアイちゃんは泣く。
「……お願い。私だけ、私だけでは、駄目なんです。私……、アルシアさんしか頼りに出来る人がいなくて……」
私だけしか頼る人がいないと、悲痛そうに顔をゆがめて。その美しい顔を、どうしようもないほど悲しみに染めて。
「《偽人》は集落を作っていて……私だけでは……」
その言葉に私はどうしたらいいかわからなかった。生物を殺すのは怖い。だからためらった。だけど、アイちゃんは私にとって大切な友達だった。失いたくない大事な人だった。
だから、私は頷いた。
そして、《偽人》の村を襲撃した。私とアイちゃんと私たちの支配下にあるモンスターで《偽人》の村を壊滅させた。《人間》を騙すという《偽人》はあまりにも《人間》に似すぎていた。
殺さないでくれ、と懇願された。
やめてぇええ、と叫ばれた。
お、お母さんを殺さないで、と子供が言った。
それに、思わず手を緩めたくなった。だけど、だけれども、アイちゃんは言った。《偽人》は《人間》のふりをしているのだと。だから、気をぬいたらこちらが殺されると。油断させようと《人間》のフリをすると。
私はこれは《人間》ではないと何度も何度も心に言い聞かせて、私はその命を奪った。
「ア、アイちゃん」
すべてが終わって、私はアイちゃんに近づき、そしてそのまま意識を失ってしまった。
次に目が覚めた時、アイちゃんいて、とても安心した。
「アイちゃん、アイちゃんだ……よかった。アイちゃんがいる」
私はアイちゃんが傍にいるっていうその事実が嬉しくて仕方がなくて、真っ先に出た言葉がそれだった。だってアイちゃんがいるんだ。アイちゃんが生きているんだ。
《偽人》の《人間》のフリがあまりにもリアルすぎたから脳裏に残って、思い出されて、怖くなる。だけど、アイちゃんがいる。アイちゃんが、大事な友達が生きていて、私を見て笑いかけてくれる。それだけで私はアイちゃんのために最善を尽くしたんだって、私が《偽人》を殺したからこそアイちゃんがいるんだって、そう思えた。
アイちゃんは、これで私とまだ一緒に居られるっていってくれて。ありがとうって、心からの言葉を私にくれた。
曇りのない優しい笑顔。
本心からだとわかるような暖かい感謝の言葉。
そして死ななくてよかったという安堵。
私とずっと一緒に居れる事を喜んでいる態度。
それを見ているだけでどこか心が救われた。
その三週間後、私の誕生日が来た。
毎年、アイちゃんは私の誕生日を祝ってくれる。
「わぁ」
今年はいつもよりも盛大だった。だから私は思わず声を上げてしまった。飾り付けも、料理も凄かった。
アイちゃんは凄い。料理がうまくて、手先が器用で。並べられている料理のすべてが見ているだけで涎れが出てきそうなほどだった。こんなに綺麗で、優しくて、料理もうまいだなんてアイちゃんは地球にいた頃からモテたんだろうなって思う。
「なんかいつもより凄いね」
「ええ。今日は特別な日ですもの」
「特別な日?」
「はい」
アイちゃんは特別な日だといった。その意味は私にはわからなかったけれど、アイちゃんがこんなにも優しく、嬉しそうに微笑んでいるから良い特別な日なのだろうと思った。
だってそうでなければ、こんな見たこともないような何かを待ち望んでいる子供のように楽しそうな顔をアイちゃんは浮かべないだろう。
「アイちゃん、誕生日を祝ってくれてありがとう。毎年、こんなに祝ってくれて。この世界で私の誕生日を祝ってくれているのなんてアイちゃんだけだよ」
アイちゃんの作ってくれた料理を食べながら、私は思わず口にする。
そう口にしながら泣き出しそうになったのは、あまりにもアイちゃんが暖かかったからだ。悲しい心にさす一筋の光のように、どこまでも包み込むような優しさがあったからだ。
誕生日を祝ってくれる人がいるなんていうそんな地球にいた頃の”当たり前”が今はこんなに嬉しくてたまらない。
「当たり前です。アルシアさんは私にとって特別な人ですから」
アイちゃんはそういってくれた。その言葉がうれしくて、アイちゃんが私を大切にしてくれている事がわかって、また泣きそうになった。
食事が終わって、アイちゃんが言った。
「アルシアさん、誕生日プレゼントを渡したいのですが」
笑っている。アイちゃんは、私に誕生日プレゼントを渡すのが心から楽しみだとでもいうように、どこまでも楽しそうに微笑んでいた。
「ここでは渡せないものなので、私のダンジョンの方へいきましょう」
ダンジョンで渡すものってなんだろうと思いながらも、私はアイちゃんに何をもらえるのだろうとわくわくした。だって優しいアイちゃんがこんなに反応を楽しんでいるように笑っているものなんだ。きっと素晴らしいものだろう。そう思ったからだ。
ダンジョンへと向かう最中のアイちゃんはどこまでもご機嫌だった。
「アルシアさん、止まって」
アイちゃんは、アイちゃんのダンジョンの中央付近に立ち止まるとそういった。周りには何もない。アイちゃんは何をくれるのだろうか。
「ねぇ、アルシアさん」
アイちゃんは私と向き合って笑う。優しい笑みを浮かべる。その笑みに私は酷く7安心していた。
アイちゃんは私に近づく。
「アルシア、私の誕生日プレゼントうけとって」
アイちゃんは満面の笑みを浮かべている。そして、そういったかと思えば私を切りつけた。
「え?」
何が起こったかわからなかった。アイちゃんがいつもとは違う呼び方をしたことも、私に向かって刃物を下したことも、大事な友達のアイちゃんが私を切りつけて、そして笑っている事も――――。
お腹からあふれ出す血液に意識はいかなかった。私の意識は、目の前で相変わらず笑っているアイちゃんだけを見つめていた。
いつもと同じ笑い。いや、いつもとは少し違う。優しい笑みではない。楽しそうに、どこまでも笑っている笑み。私を切りつけておいて、楽しそうにアイちゃんが笑っている。その事実に戦慄した。
唖然としている間に私は背後から現れた《コボルト》というモンスターに身体を押さえつけられ、そして、何かに顔を突っ込まされた。
どうしてと口にしたかった言葉が、放てなかった。苦しかった。色が濁った水の中に顔をいれられる。口からそれが入って、のどが焼けるように痛かった。これは、毒? 毒沼?
そんな中で、アイちゃんが笑っているのが視界に移る。
痛い。痛いけれども、目が離せない。
「誕生日プレゼント、あげる」
アイちゃんはいう。
「―――私が楽しむために、思いっきりの絶望をね?」
そんな残酷すぎる言葉を。
悪い事なんて何もしてないとでもいうように、ただ玩具を見つけた子供のように、無邪気に笑っている。
アイちゃんが、私に絶望を上げるといった。
嘘だ。アイちゃんが、そんなことをいうなんて。優しいアイちゃんが。私の友達で、私の傍にいてくれたアイちゃんが。アイちゃんは優しい子なのに。アイちゃんはアイちゃんはこんなことするはずが―――信じたくない頭が必死に考えている。
「私は楽しいことが好き。地球ではできなかった事をするのが好き。―――人を殺す事も好き」
無邪気に笑うアイちゃんは、そう告げた。どこまでも残忍な言葉を、どこまでも楽しそうに。私を見据えて、笑う。
悪い夢だと思いたかった。身体も、心も苦しかった。どうしてどうして。どうして。
アイちゃんは私のたった一人の友達。たった一人、この世界でずっと一緒に笑いあえると思った人。
私はアイちゃんとずっと一緒にいたくて、だからアイちゃんのためなら何でもしたのに。アイちゃんがずっとずっと傍に、傍にいてくれるって、アイちゃんは。アイちゃんは。
でも現実は変わらない。
私が友達だと思っていたアイちゃんは、ただの”悪魔”だった。
「アルシアの事は最初から殺すつもりで仲良くしてたんだよー? 私が同じ地球人だからって安心しきちゃってさぁー、何度爆笑しようかと思ったんだよねー。あっはは」
アイちゃんは笑う。どこか狂喜に満ちた、だけど楽しげな微笑みで。
「こーんな、性悪な私を信じ切って。本当に愚かだねぇ。あはっはっ。あのね、アルシア。貴方に食べさせてたの、モンスターと人間の肉なんだよ?」
あえてかは知らない。だけど、いつも私に向けていたような優しい笑みを浮かべて、アイちゃんはそんなことをいった。声にならない声が口から洩れた。だけど、どうしようもなかった。
「《人間》の肉だよ。ニ・ン・ゲ・ンの肉! いつの間にかアルシアは人間を食べちゃってたんだよー? あはっ、絶望した?」
叫びたかった。私が《人間》の肉を食べてたなんて、そんなこと信じたくなかった。だってそれはしてはいけない事なのに。
それを、笑顔でいってのけた目の前の”化け物”が怖かった。
「あとね、《偽人》って存在実はいないのー。私が勝手にでっち上げた存在だよ? だから、アルシアは人肉を食べた殺人鬼ってことになるかなー」
続けられる言葉の一つ一つが、私を絶望に追いやる。苦しい、苦しい、耳に入ってくる言葉も、身体に入ってくる毒も。
「ねぇ、アルシア」
呼びかける、慈愛に満ちた声で。
「貴方は特別。特別な玩具。私がこの世界にやってきてはじめてあった地球人」
叫びたい悲鳴は口から出なくて、げほげほと咳き込む。
「だから、食べてあげるねー」
さらっと言われた言葉は、私の心を壊すには十分だった。
そして”化け物”は私の肉をそいだ。そして焼いて、私の目の前で食べた。私は生かされたまま、食われていた。
「ふふ、味わって食べてあげるねー? アルシアもうれしいでしょー? 大好きな親友の私の一部になれるんだよー?」
そんなことをいって、私が死なないような場所からその”化け物”は私を食べた。私は食べられながら、毒に苦しみながら、意識を失った。
最期に見たのは、どうしようもないほど嬉しそうに笑う”化け物”の顔だった。




