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魔人・アルシア

 「私は…、アルシア・サーベント」

 私に接触をしてきた魔人の女の子は、とても綺麗な子だった。金色に近い茶色の髪を腰まで靡かせた青色の瞳を持つ少女。モデルか何かだって言われたら簡単に信じられそうなほどに美しい子。

 ダンジョンの中で、これからどんな風な鬼畜ダンジョンをつくろうかなと試行錯誤していたら話しかけてきたの。恐る恐る話しかけてきたアルシアは可愛くて、是非ともその表情を絶望に染めてあげたくなったんだー。

 「わ、私は……は、花本愛です」

 ふふ、弱々しい女の子を演じて私は自己紹介をしたんだ。

 「貴方は、日本人?」

 「は、はい。あ、アルシアさんは?」

 「私はアメリカ」

 アルシアの言葉に私はおぉ、私を異世界に誘った怪しい神様らしき存在は日本からだけではなく色んな国から魔人を作ったのかと何だか面白くなった。ふふ、日本人は大人しい性格っていうのが、海外からした印象でしょう? 

 だから大人しくて可愛らしい少女を演じる私だよ! 幸い私の見た目はそういう感じの少女だもんねー。

 「私…、此処にきて一人ぼっちで寂しかったの……。ダンジョンなんて作りたくないのに作らなきゃいけなくて」

 ……うーん、絶対にダンジョンを作らなきゃいけないなんて定義はないんだけどな。実際に私はダンジョンを作成するのは大分あとだったし。っていうか、あれだね、ダンジョンを絶対に作らなきゃいけないって思い込んで貴方が作っただけだよねー。あはは、面白い。

 本当にね、ダンジョンを作りたくないならさ。本当にね、人を一人も殺したくないっていうならさ。ダンジョンなんて何も作らずに一人大人しく引きこもってれば良かったんだよ。そうしたら誰も傷つける事なく、過ごせたのに。

 まぁね、ダンジョンの主はどうやって魔人になり得たかは部外者には話せないようになっているけどさー。うん、殺したくないなら殺されてあげればいいのにね?

 そんな思いを抱えながらでも私はそれを口にはしない。

 「わ、私も……。怖くても、やらなきゃで」

 寧ろ乗ってあげた。だってそっちのほうがきっと後々楽しくなるもの。

 私も同じ気持ちだよーって言ってあげたらアルシアは私に心を許すでしょう? 仲間意識ってのは人を安心させる一種の要因なんだよ。話を合わせて「私も同じだよー」って笑いかけてあげれば前世でもすぐにクラスメイトとかも心を許してくれたしね。内心はたったこれだけのことで心許すとかちょろいなーってそんな事を考えていたわけだけど。

 「……もう、何が、何だか。突然、『異世界にいってダンジョンを作ってもらう』って言葉と共に…っ、此処に、此処に、連れてこられて……っ」

 アルシアがそういってなくから、演技を続行して抱きしめてあげました。二人で抱き合いながら泣いてる図だよ! あはは、アルシアの柔らかい肉に触れてこの肉削ぎたいなぁとか物騒な事考えているけど周りから見たら美少女が抱き合って泣いてる光景なんだよ。

 というか、アルシアの場合そういう強制系の言葉と共に連れていかれたのかー。

 私の場合はね、高校から帰宅する途中の事だったかな。何か面白い事起きないかなー、目の前でテロとか、なんて考えながら歩いていたら突然頭の中に声が響いたの。

 『異世界で魔人としてダンジョンを作り、好き勝手に生きてみないか』と。

 私はその言葉に即座に『喜んでー』と答えたよ。脳内で。

 頭に響く声とか非現実的だけどさー。ちなみに私が応えたあと、しばらく不思議な声の主とは会話をしたよ! 異世界の神様の一人らしいよ? それでね、魔人って存在を異世界住人を攫って作る仕事をしてるんだって。あはは、大量誘拐犯だよね。あの声の主の神様、異世界の人の心とかまで読めるらしいんだ。だから、あれだね、異世界につれていかれるのが嫌だっていう人間には強制系で連れてきたんだよね。

 あはは、外道だねー、神様。良い神様じゃないのかもねー。邪神とか悪神とかそういうのが似合いそうな神様だ。嫌がる人間を大量に異世界に連れてきて魔人として覚醒させて、ダンジョンを作らせようとしている神様かー。あはっは、私神様とお友達になりたいかもー。だって凄い素敵な事してるじゃない。

 神様本当鬼畜だよね! いい性格してる。

 というか、魔人のためにそういう鬼畜な人いないのかなー。いたらお友達になって共同戦線はって好き勝手したいよねー。

 「おかあ、さんに会いたい」

 ちなみに私が神様について考えている間、私と抱き合ったままのアルシアは静かに泣いてるの。

 なんか家族に会いたいみたいだよー。よしよし、と安心させるように撫でてあげる私優しい! 赤の他人に優しくするとか、私優しいよねー。まぁ、後に私が楽しい思いをするための獲物なんだから仲良くするのにこした事はないもんねー。

 あれだね、アルシアって人の事信じきってるオーラが出ているからこの子を絶望に落としたら凄く楽しそうだと思うの。というか、楽しくないわけないよね。あとあれだよ。同じ魔人だから私も無理やり連れてこられたに決まってるって態度が凄く面白いと思うの。喜んできて、喜んで虐殺してるとは思わないみたいだねー、面白いよね。

 「アイちゃん……、これからも、時々、きていい?」

 「うん、もちろんだよ」

 同じ魔人のお友達という名の獲物がゲットだよー。さてさて、どうやって遊ぼうかなー?




※モンスター文庫大賞に応募することにしました。11月30日までに10万字いかせなきゃなので、更新はやまります。

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