第二章、思い出4
卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル
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良子と春菜は卸本町に足を運んだ。
路上に車を止めて、そこからくまなく歩く事にした。
良子、「寂れたわね、この町も..」。
春菜、「43年前の活気は何処へやら..」。
テナント募集だらけのこの街は、今は閑散としていたのであった。
自分が居た会社の前を通り過ぎると、二人は色々な思いが込み上げた。
何も言わずに、二人は俯いて通り過ぎた。
良子は何気なく、「でも不思議な感覚ね、この町は..」。
春菜、「私が幼い時から、この町には寄り付かなかったの。
トラックの出入りも激しかったし、何となくここだけ、異次元の様な気がしてたの」。
実はこの町は、昭和も40年代位から、様相が変わっていない町なのである。
昔は中心街に在った町だが、中心街の開発整備が進み、
田んぼの真ん中に追いやられた格好で、卸町地区と言う一角なのである。
昔の個人経営の卸問屋が立ち並ぶ故に、時代からかけ離れた様相を醸し出していた。
大型スーパーが、現代の何でも屋の一角と例えるなら、
この町は古風な、何でも屋の一角と例えるだろうか。
建物の様相も、1970年代に多かったビジネス街だった。
そして臭いである。
人々は臭いにその懐かしさを感じる事が多い。
昔のレコードや、タンスや衣服などは、ただ古いだけでは無く、
そこから香る臭いは、色褪せないのである。
従い、CDとは違いレコードなども、誤って傷付けてしまった溝に、
レコード針がトレースすると、ブツっとスクラッチノイズが走る。
実はこれこそが、当時の記憶を蘇らせる、自分だけの大事なアルバムになるのだ。
奥に仕舞い込んだ記憶を、蘇らせる切欠になる。
着物やタンスなども、染み傷などを見ると、その時の自分の記憶が蘇る、
たった一つの、オリジナルのマイディアーなのだ。
良子は急に切なくなったらしく、しくしく泣き始めた。
春菜、「ど..どうしたの?」。
良子は急に、春菜を抱きしめて、「寂しかったの!、
急に春菜が消えてから、私の心の友が居なくなって、
心から私を解ってくれる友が、居なくなってしまって」。
良子は先ほど海に浮かんだ、この町の昔の蜃気楼を見てしまったので、
辛かった記憶を思い出してしまった。
春菜、「でも賢パパと、再度同姓したのでしょ!」。
良子、「賢とは以心伝心出来ないのよ!」。
春菜、「あ~、そうだったね..」。
歩きながらしくしく、まだ泣いている良子に春菜が、「もう帰ろうよ!、
ここに居ても、あの不思議な蜃気楼の事実は、解らないよ!きっと」。
良子は涙を拭い、「そうね、もう過去の話だもんね」と、春菜に従い、
帰る事にした。
春菜、「あの蜃気楼を撮影出来ただけでも、洋子さんに金一封を与えられるよ!」。
良子、「これでいよいよ、洋子は念願叶って技術科学省から、お呼びが掛かるかもね」。
そう言いながら、街の中心部のこの町で言う、
ランドマークビルの裏を通り掛かると、なにやら怪しい若い女性が、
しゃがみながら事務服を着て、こちらを伺っていた。
二人は目を合わせない様に、そっとその女性の前を通ると、
その女性は、いきなり春菜の手を掴んだ。
春菜は、その女性を見て、「ぎゃぎゃぁ~ぁぁぁあ~!!」と、悲鳴を上げた。
驚いた良子は咄嗟に、その女性の所に行き、「な..なんなの!あんたは?」。
その女性、「ここ何処?」と、春菜の手を掴みながら答えた。
良子は焦りながら、「あ..あんた!、何処の精神病院から、
抜け出してきたのよ#!」。
その女性、「はぁ?、私は正常よ!」。
良子、「あんた#!、しゃがみながら、人の手をいきなり掴む何処が正常なのよ#」。
その女性、「たった今、私はここに来て、
ここに歩いてる人を見掛けたのは、あんた達だけだったから!」。
良子、「それよりも、その手を放しなさいよ#!」。
するとその女性は、素直に応じて春菜に掴んでいた手を放した。
良子は先ほど、この女が言った事に疑問を感じて、「たった今ここに来た?」。
春菜は、その女の髪型を見て、「良子さん!、
この人セミロングのウェーブが掛かってる!」。
良子、「へ!....」。
そして良子は、その女性の前にしゃがんで、
その女の両肩を両手で持って驚き、「ぁぁぁあああ~~!」。
その女性、「な..何よ?」。
良子、「よ..ヨコシマ直子じゃないのよぉ~#!」。
その女性、「あんた誰なの?」。
良子、「大槻よ!大槻 良子よ!」。
<作者:良子の昔の性は、大槻でした>
直子、「はぁ~?、良子はこんな、おばさんでは無いわよ!」。
するといきなり、一発乱れ打ちがパシ~ンと入った。
直子は頬を押さえて、「いてて、間違いなくこの手の感触は、良子だ!」。
解説しよう、ヨコシマ直子、本名 小島 直子(25)は、今から約43年前頃、
1969年10月の半ば、春菜が過去にタイプスリップする 一ヶ月前、
突然会社から失踪した、現代で言うお騒がせギャルであった。
男癖も悪く、会社の女性達からは、かなり嫌われ者だった。
ヨコシマ直子とは、その当時、港の女は小悪魔と言う観点からと、
ベイエリアの横浜港が、流行りだった事も有り、
横浜と『ヨコシマな奴!』と言う、意味が混じり、
ヨコジマが、ヨコシマになり、ヨコシマ直子と呼ばれていたのだった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




