表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/54

第二章、思い出2

卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515515.html





浴槽に浸かる二人は寛いでいた。



良子が何気なく、春菜の右腕を見た。



そこには黒く滲んだ、擦過傷が有った。



良子、「あの時、春菜が賢を助けなかったら、今頃どうなっていたんだろう?」。



(http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/60922560.html)



春菜は、自分の傷を見つめて、「この傷は思い出なの、整形外科に行けば直ぐ取れるけど、



あの時の思い出の、アルバムみたいなものなの..」。



良子は急に笑い出し、「あの時、春菜のスカートのポケットから、



300万の札束が出て来た時は、本当に心臓が止まるかと思ったわよ!」。



春菜、「そう言う良子さんだって、あの時スーパー銭湯の事説明したら、



笑い飛ばして、『あんたの時代は、スーパーマーケットの中に、銭湯が有るの?』と、



言った次に私が、『スパー銭湯とは、車が100台以上、駐車出来るスペースが有る、



大型の銭湯の事』だと言ったら、信じなかった癖に、



現代に私が帰って来て、初めて良子さんの家の、このお風呂見た時は、



度肝を抜かれたけどね」。



良子、「アハハハ、あの時代で信じろ!って、言われても無理よ!、



第一銭湯もそうだし、パチンコ屋もそう、



駐車場完備の店なんか、無かった時代だったのよ!」。



春菜、「それに家も車もだけど..、賢パパが乗っていた車と、昔住んでた高級マンションに、



やっかんだ癖に、現代に帰って来たら、それ以上の高級外車に乗っていて、



豪華な家に住んでた事にも、度肝を抜かれたけど」。



良子、「成り行きでそうなったのよ!、私だけでこの財産を、築いた訳では無いのよ!」。



春菜、「賢パパは何時まで経っても、派手好きだったのね~」。



良子、「あの当時から、更に拍車が掛かったのよ!」。



長い風呂を終えて、二人はバスローブを着て、頭にはタオルを巻いていた。



当然脱衣所も広く、透明のガラス張りの冷蔵庫の中には、



ビールとビンの牛乳が置かれていた。



二人は中から牛乳ビンを出して、紙のキャップを取り、腰に手を置いてゴクゴク飲んだ。



飲み終えた二人は、ビンをケースに入れて、寝室に向かった。



寝室も広く、やはり20畳は有ろうか、一つのベッドも、ダブルサイズが二つ置かれていた。



それでもまだ部屋には、相当余裕が有った。



一つは賢が寝ていたベッドであった。



二人は髪の毛をドライヤーで乾かし、寝る前の肌の手入れをして床に付いた。



良子の安らぎの 一時は、床に付いて灯りを消してからだった。



あの当時とは寝心地が違うが、当時の様に 一つ屋根の下で少し距離を置いて、



布団を敷いて、お互いの絆を確かめ合うのは、今でも変わらぬ想いだった。



良子に背を向けながら、床に付いた春菜。



良子はベッドから、背を向けて寝ている春菜を見詰め、「パパに会えなかった事、



後悔してる?」。



春菜、「何時も何処かで、見守っていてくれてる様な気がするの、



だから後悔はしていないの」。



良子、「賢は今度は本当に、春菜を守る側になったのかも、知れないわね」。



春菜、「見えない所で守られていたのは、私が生まれて直ぐだったなんて、



気が付かなかった事の方が、後悔してるの」。



良子、「普通では、考えられない事が起きたのよ、



それを知らなかった頃の、春菜に説明しても、理解は出来ないは..」。



春菜、「ずっとずっと、良子さんも賢パパも、街の何処かで私を見ていたんだね」。



良子、「お嬢様学校に通い、制服を着て自転車に乗った春菜が、



私の横を通り過ぎて行った事もあった。



何気なく派遣で働いている、春菜を見に行った事もあった。



時々庭で遊ぶ春菜を遠くから、見守っていた事もあったは..」。



春菜、「有難うお母さん、育ての親だと思ってるよ、今でも..」。



そう言うと、寝返りを打つ様に、体を良子に向けた。



春菜の表情が、天窓の月明かりに照らされてた。



すると頬に、涙が伝っていたのだった。

この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ