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第十章、結託 2

卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル

http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515515.html

その頃、春実はと言うと、



すっかり中川家の、お嬢さんに成っていた。



キッチンで久美子と夕飯を作り、テーブルには俊夫が座っていた。



から揚げから、天ぷらなど今夜の夕飯は、揚げ物づくしだった。



春実はテキパキ料理をこなして、テーブルに並べて行った。



久美子は味噌汁を作っていた。



すると春実は冷蔵庫から、ビンのビールを取り出し、



栓を抜いてグラスをガラス戸棚から出して来て、俊夫の前にグラスを置いてビールを注いだ。



俊夫、「お~有難う!」と、グッと注がれたビールを 一気に飲んで、「あ~、



長女に注がれたビールは格別だね~」と、味わっていた。



春実、「アハハハハ!、春菜程可愛くないけど、娘をチェンジで、



今日は尽くしますよ!」と、調子良く答えた。



久美子、「そんな事無いわよ!、春菜はお父さんに、ビールなんて注いだ事は無いのだから」。



すると俊夫は、「春実ちゃんもどうだい!」と、ビールビンを持った。



春実は、「あ..それでは、お言葉に甘えて」と、



先程のガラス棚から、グラスをもう一つ出して来て、グラスを俊夫に差し出した。



注がれたビールを一気に飲んで、「あ~、やっと平和な家族の娘になれた!」と、喜んだ。



久美子と俊夫は笑った。



そうして料理を終えた久美子と春実は、食卓に着いて夕飯を食べ始めた。



久美子、「迷惑掛けっ放しでごめんね」。



春実、「イヤイヤ、それはこちらが謝らないといけない事で、



まったくあの傲慢な母親のせいで、仕事の歯車狂わされていて、



春菜にもえらく被害を及ぼしてしまって、なんと謝って良いか..」。



俊夫、「それで良子さんは、落ち着いたのかい?」。



春実、「悪い意味で落ち着いていますね..。



春菜にいよいよ愛想尽かされて、放心状態です」。



久美子と俊夫は同時に、「あちゃぁ~」と、顔を下に下げた。



久美子、「そろそろ杉浦さん宅に、御挨拶行かなければねぇお父さん!」。



俊夫、「この頃、一緒に星観測にも出掛けて無いしな、



新しい望遠鏡の話を種に、杉浦さんと今後の両人の話をして来るかな!」。



春実、「まぁ、作戦開始と言う事で...」。



久美子、「良子さんの気持ちも、汲んで上げないとね..」。



春実、「いずれにしろ母親は、一人ぼっちになりますから、



これ以上母親に年取られると、更に聞き分けが無くなりますから、



いつかは話し合わないと、いけないから..」。



俊夫、「直子さんはどうなんだい?」。



春実、「あのお方は、時期に連れ去られますから」。



久美子、「連れ去られるとは?」。



春実、「何らかの理由で、あのタイムドアーを作った誰かは、春菜を現代に帰しました。



別に間違って春菜が、自ら戻って来た訳では無く、連れ戻された様ですので、



直子さんもどんな形かは解りませんが、過去に置いて来ないと、



タイムドアーの製作者は、都合が悪くなると考えられますから、



多分ここ2、3ヶ月の間に実行されると思います」。



俊夫、「春菜は戻りたくは無かったと、言っていたよ!」。



久美子、「過去では自分が必要とされていたし、何より楽しかったとかで..」。



春実、「その過去に降り立った時に、洋子叔母さんから、『あんた、このまま帰れないと、



年老いた姿を親が見たら、嘆くわよ』と、言われたそうだけど、



春菜は、『それでもいい』と、答えたそうです」。



久美子、「あの子らしいわね!」と、呆れた。



俊夫、「ん?、何となく見えて来たぞ!」。



その言葉に、久美子と春実は注目した。



俊夫、「春菜が会社から戻らなければ、我々は必ず失踪届けを、



警察に出す事になるが、失踪届けを我々が出す前に、春菜が失踪する事は我々が、



知っている事になる!」。



久美子、「あらどうして?」。



俊夫、「春菜は実名で過去に、あの会社に名前を残すと、



あの会社で働いていた人は、大勢居るから過去から、戻って来ない春菜の素性は、



春菜が生まれる前の時点で、我々に伝わるはずだ!」。



春実、「部長さんと同じ事言いますね!」。



俊夫、「そう、その犯人にとっては、タイムスリップした事実を、



春菜が過去の人に伝えてしまうと、実は困る事になるんだよ!、



それはあくまでも、春菜が三年前に実家に、帰宅しなかったらの話だが」。



久美子、「どう言う事?」。



俊夫、「春菜の持っていた、携帯電話に付いている時計だよ!」。



春実、「あ~~!!!!、そうかぁ~~~!!!」と、酷く驚いた。


俊夫、「携帯電話の暦と日付、それに現在時刻それは、



昭和44年の時と照らし合わせれば、



春菜がタイムスリップした時刻が、正確に割り出せる事になるんだよ!。



それと着信履歴、送信履歴、更にメール着信履歴も、証拠となるからより確実だよ。



それで!、春菜を過去で殺せば、過去の人は春菜が、



現代でタイムスリップした、正確な時刻を割り出せるから、警察に事情を話せば、



警察は待ち構えて三年前に、タイムドアーを調べざる負えない。



なので犯人は過去で、春菜が持っていた、携帯電話を奪ばわなければならない。



春菜が携帯を売った先の、質屋の親父さんは、



消されても誰も気に掛ける人はいないから、殺しても良いと考えた。



犯人は現代と過去に、繋げた時間を取り消したいなら、更にその前の春菜が間違って、



開けてしまったドアの時間を、取り戻さなければならない訳だから、



方法は春菜が現代であの会社に、就職させない様にするか、



現代であの会社に就職する前に殺すかの、どちらかの選択になる。



でもそうすると、今の我々のこの現状が無い事になる。



春菜が過去に行かなければ、この関係が生まれないはずだから。



犯人からすると、問題は春菜が過去から通常時間を過ごすと、



確実に春菜は自分がタイムスリップした後と、しない前がダブり、



同じ時間に同じ自分が、二人存在する事が起きる。



春菜が生まれた年から我々に姿を現し、



タイムスリップした自分の姿を見せて、



自分が路頭に迷わない様に、最初から何らかの形で告げるだろう。



それとタイムスリップした時刻は、知っているから、



会社の地下倉庫で待ち構えて、犯人を自力で見つけるだろうからね。



しかし確実に大学を出てから、春菜は就職難に遭って、



路頭に迷った事実が存在しているなら、犯人は極力自分に辿り付かない方法としては、



春菜を現代に帰すことだった!」。



久美子、「直子さんは戻れないでしょ?」。



春実、「戻さないとマズイのです。



失踪届けは出されていませんが、確実に過去に直子さんが、居た事実は消せません。



春菜と同様、あの会社に名前を登録してるし、現代ですので、



肌年齢を調べれば、確実に65歳になっていないと、いけない直子さんは、



25歳の肌でそれは、科学的検査をすれば解る事です。



大勢の人が直子さんが、失踪した事実は覚えていますし、



出生届けも、学校の卒業暦も残っているで有ろうし、



これを世間に公表してしまえば、国は調べざる負えなくなります。



すると必ず犯人は、実態を恐れて過去に直子さんを戻します」。



久美子、「ややこしい事になったのね!」。



俊夫、「そのややこしい事で、中川家と柿本家は、待望のマイホームを、



手に入れる事が出来た訳だよ!」。



春実、「そのお陰で、久美子さんと私は出会えた訳で..」。



俊夫、「その前の時点で、春菜が良子さんと出会えて、



我々に大きな土地を安く譲ってくれた訳だよ!」。



三人同時に、「春菜かぁ~!」と、言い放ったのであった。



そして夜も更けた中川家は、三人で居間で寛いでいた。



すると夜も11時を過ぎた頃、家の呼び出しベルが鳴った。



その時、春実は、「来かぁ~」と、渋い顔付になった。



久美子は、「出るわね」と、言うと春実は、「私が出ます」と、



玄関に向かった。



春実は玄関のドアの鍵を開放して、ドアを開けた。



すると良子は驚いた。



良子、「春実...」。



春実、「来ると思ったがな#!」。



良子、「は..春菜は?」。



春実、「居ない#!」。



良子、「どこ...」。



春実、「今度はママが、ストーカーになるのかい#?」。



すると久美子が遣って来て、「事情は春実ちゃんから聞きました。



お話しましょうか」。



そして居間に通される良子だった。



俊夫、「待っていましたよ、春実ちゃんが多分良子さんが、



今日ここへ来るからと言う事で」。



良子は座り、俯いていた。



良子、「携帯にメールしても、返事が返って来ないの...」。



春実、「来る訳なかろぉ#!」。



久美子、「喧嘩されたそうですね..」。



良子、「.......」。



俊夫、「まあ、先程も春実ちゃんと、お話したのですが、有り得ない事態は、



時にして無常にもなりますね」。



良子、「反省したの私..」。



春実、「だからそれを今直ぐ、春菜に伝えれば、戻って来てくれるとでも思ったんかい#!」。



良子 → → → →!、久美子に転送完了!。



久美子、「良子さんに上げたつもりでしたよ!春菜..」。



良子、「へ!」。



久美子、「でも、春実ちゃんも、春菜もあなたから、心離れてしまった様ですね」。



良子、「一文無しです..」と、俯いた。



俊夫、「あなたは風だ!春菜は太陽。



風は旅人のコートを吹き飛ばす手立ては、より強く風吹かせることだった。



春菜はサンサンと太陽輝かせ、旅人はコートを自ら脱がせる様にさせた。



違いが解りますか?」。



良子、「あの子に脅かしていたのですね、知らぬ間に私は」。



久美子、「あなたは春菜を脅かして、引き付けていた様に思っていますが、



春菜は本当に心からあなたを、愛していたのですよ!」。



良子は急に泣き出し、「あの子は全て、私の望み通りにしてくれました。



過去に繋がり現代でも、私の幸せを繋ぎました」。



久美子、「それはあの子も、同じ思いですよ」。



良子、「昔別れた男とも結ばれました。



長男長女にも恵まれました。



全てあの子のお陰でした。



でも私はあの子に溺れました」。


この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。

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