第九章、恋心ステージ2 その2
卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル
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大輔は春実の店、Dear store に居た。
そして春実と店内で話していた。
春実、「母ぎみは今、こめかみの血管が大量に切れて、
会社で暴れておらんかのぉ?」。
里美、「大輔!、当分会社に行くんじゃないよ!、
良子叔母さんに、ボコボコにされるからきっと」。
大輔、「あの様子じゃ~、どんな言い訳してでも、
春菜を死ぬまで、放しそうもないな!」。
春実、「だから困っておる!。
その内、春菜が母良子から放れ、おぬしを選ぶ時がやって来る。
するとあの母ぎみの事じゃ!、衝動で自殺し兼ねんでのぉ」。
今日子、「もぉ!凄いんだから、春菜の事になると、
やっきになって悪い虫、追い払うからね!」。
春実、「母の心を理解出来る、たった一人の可愛い娘じゃ!、
そろそろ嫁に遣らんといかんとは解っていても、
本心は 一生自分だけの存在でいて欲しいでのぉ、どうしたものか..」。
今日子、「叔母さん、あんたの名前を春実と付けたのも、
将来あんたを姉として、迎える為だった訳でしょ?」。
春実、「図星であろう!、母ぎみは」。
フロアーには、直子が赤いカーディガンを着て、
腕を袖に通さず羽織、ミニスカートを履いて、
頭の上にはサングラスを引っ掛けて、ベンチで昔の雑誌を読んでいた。
そして細かく小分けされた年代別のブースで、
春菜の母、久美子は仲間とギターで分かち合い、
フォークソングを口ずさんでいた。
春実は久美子の所に行き、「楽しんでますね!」と、答えると、
久美子は歌いながら微笑んで、「春実ちゃんのお陰で、
青春を取り戻しているわ」と、久美子の高校の時の、
男女同級生達と分かち合っていた。
歌が終わると、久美子の友人の男性が、「いや~、儲からないお客が、
長く入り浸っていて申し訳ない!、つい青春時代を思い出すと、
時間を忘れてしまうんだよ」と、後頭部をかきながら、苦笑いだった。
春実、「いえ、ここに来て楽しんでくれていれば、
その人も店のレイアウトですから、
とても助かりますよ」と、頭を下げた。
すると仲間達は一斉に、「有難う」と、頭を下げた。
この穏やかなフロアーに、突然客の悲鳴が聞こえた。
湯飲み片手にいきなり、良子が乱入して来たのである。
その後ろでは、春菜が良子の腰に腕を巻いて、必死に止めていた。
良子、「あのガキはどこだぁ#!」。
春菜、「お母さん止めてぇ~!」。
咄嗟に大輔は、近くに有った鉄兜を被った。
春実、「なんで、春菜の産みの母が居る時に、来るのかいな#!」。
里美はそれを見て、スタッフルームに入った。
春実は強制的に良子の手を引いて、
ベンチで雑誌を見ている、直子の横に座らせた。
良子、「は..春実#、あ..あのガキはどこだ#!」と、息を荒げた。
春実、「知らぬわ#!、まず落ち着け!」と、
湯飲みを取り上げ様としたが、手から放さなかった。
すると里美は、スタッフルームから、きゅうすを持って現れ、
良子の前に来て、持っていた湯飲みを強引に取り上げて、
それを前のテーブルに置き、お茶を注いだ。
里美、「まあ、これからは若い二人に任せて、
仲人は奥でお茶でも」と、注ぎながら答えた。
良子、「ふざけるんじゃないわよ#!」と、怒りは増した。
里美、「春菜も泣いてないで、ベンチに座りな!」と、支持した。
先程フォークソングを、仲間で分かち合っていた、
久美子とその仲間は、その声に驚いて、
このブース駆け付けて来て、その様子を見ていた。
そして大輔は鉄兜を外した。
それを見た良子は、「大輔ぇ~#!」と、更にデカイ声を出して、
その声が、フロアー全体に響き渡った。
ここに居た全ての客が、何事かと思い集まって来た。
春実は、「落ち着けてぇ~の#!、春菜の産みの母が、今日居るからここに#」。
大輔は良子の所に行き、「みかん美味かった?」と、言うと、
良子は、「ふざけるな#!この泥棒犬がぁ#」。
里美、「泥棒猫は聞いた事が有るが、
泥棒犬ってあんた!、例えがおかしいよ」。
良子はお茶を一口飲んで、少し自分を落ち着かせた。
今日子、「叔母さんいい加減にしなよ#!、
場も考えずに、見境無く怒り散らすのもう止めな#!。
春菜だってもう年頃だよ!、いい加減に子離れしなよ#!」。
春実、「その前にその湯のみ持って、
ここまで運転して来たんかい?」と、呆れた。
春菜はしくしく泣きながら、「手から放さないの」。
更に呆れる春実と今日子。
春実、「ど~しても、それを大輔に投げないと、気が済まないんかい?。
大人気無さ過ぎるぞ#!、ちょっと大輔にからかわれたくらいで#」。
里美、「昔から良子は、大人気ないけどね..」。
すると春実は、良子に顔を近づけ、「春菜ちゃんが隣で寝てくれないと、
眠れないでちゅか?、春菜ちゃんが隣でお話してくれないと、
寂しくて泣いちゃいまちゅか?」と、赤ん坊をあやす様な言葉で答えた。
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しっかり父賢の敵を、取られてしまった良子だった。
良子は上唇をかみ締めて、涙を流しながら、「私の春菜よぉ!」と、鼻をすすった。
これには弱ってしまった春実、人差し指で頭をかいた。
何故なら久美子の前で、自分の母親が駄々っ子の様な姿で、
涙を流してる姿を晒していたので、久美子にどう謝って良いか、困ってしまった。
しかも大事なお得意さんで有ったが為に、グズルる母の対処に悩んでしまった。
それを久美子は春実から、以心伝心されてしまったのである。
そして久美子はゆっくりと、良子と春菜が座っている、ベンチに歩いて行った。
二人の前にしゃがみ、「良子さんあなたのお陰で、春菜は立派に成長しました!。
春菜はあなたの子供でもありますよ、私も認めます。
私もあなたの過去は、決して間違っているとは思いません。
その時々の親である生活の都合で、この子を下ろした行為は、
私は決して間違いでは無い、行為だと思っています。
あなたは春菜を産みかった。
そして育みたかった。
その気持ちは、あの不動産で、赤子の春菜を抱いていた時から、
私と以心伝心で来ましたよ!。
私もこの子を甘やかして来ました。
目に入れても痛くない程にね。
可愛くてしかたが有りませんでした。
私達の資金で大きな部屋を創ったのも、
一人娘のこの子が可愛いからだった。
欲しい物は何でも買い与え、好きな道を選ばせたくて、
この子が入りたい高校や大学にも、進学させました。
あなたに週三日だけ、同じ部屋で夜を過ごす事を許すのも、
あなたに感謝しているから、それは土地を譲ってくれた事だけでは無く、
この子が産まれた頃から陰ながら、
この子を心から愛し、愛情を注いでくれましたね。
あなたの春菜に対しての、愛情は私にも伝わります。
でもこの子も、二十歳の後半に差し掛かり、授かった子を、
手放さなければ、ならない時が迫っているのですよ。
良子さんと、お互いに同じ痛みを味わった私です。
最初の子供を流産してしまい、春菜を授かった時には、
どんなに嬉しかった事か、良子さんもそうでしょ。
春実ちゃんを授かった時は、嬉しくて春菜の姉として、
迎えられたらと、思ったと思います。
今度は私が、良子さんの良き理解者になりますから、
春菜を好きな人の所へと、旅立たせましょうよ」。
その時、良子は俯いていたが、顔を上げて、「嫌だ..」と、躊躇った。
それを聞いた春実は、切れた。
春実、「いい加減にしろよ!バカやろ~#!!」と、
近くに有った灰皿を蹴ったら、周のギャラリーに緊張が走った。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。




