第五章、仕事2
卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル
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店に到着すると、そこはフランス料理だった。
店内に入ると、タクシードを着たギャルソンに、「いらっしゃいませ」と、
丁寧に頭を下げられ、「柿本様いつもの窓際の席で、宜しいですか?」と、尋ねられると、
良子は、「えぇ、そうして」と、答えた。
ギャルソンは微笑み、この四人はいつものテーブルに案内された。
すると先ほどの、ギャルソンがやって来て、「メニューをお持ちしましょうか?、
それとも今日お勧めの、白身魚を主に使った、ヘルシーメニューそれか、
鴨や羊を使った、こくの有るメニューなどですが」。
良子、「ヘルシーコースでどう?」。
皆さん頷いて、ギャルソンが、「それでは早速、ワインをお持ちいたします」。
そう言って軽く頭を下げて、立ち去った。
この方達は常連でも有るが、金に糸目を付けないので、
店側もワインの値段を、どうこうの言わないのであった。
普通はメニューを持って来て、品定めをするが、
やはり値段を見て決めないので、
余程その時に、特別希望したい ワインや 一品メニューが無い限り、
何時もギャルソン任せなのだった。
早速グラスが置かれ、その場で四人にワインが注がれた。
舌が肥えている客に、ワインを出す時は、ギャルソンは一々説明はしない。
注いでお客が口を付けてから、客の感想を聞いて、ワインの出所を言うのであった。
それはここの店の、方針だけだったが。
そして春菜の出番。
この人が一番、ワインの舌は肥えていた。
春菜は香りを嗅いだ後、グラスを回して一口飲んだ。
春菜、「ん~、フランスボルドー地方の ソーテルヌ地区かな?。
年代は1980年位の熟成ね..」。
ギャルソン、「流石ですね!、ボルドーまでは言い当てる方は、
いらっしゃるのですが、そこまで完璧に、言い当てる方は居ません」。
圭子、「誰かかさん、よく昔から『土地を買ってくれた御礼に』と、
春菜の家にワインを、プレゼントしていた様な気がするけど..」。
洋子、「舌を肥やさせて置いて、将来自分の相手を、させ様としたんだよきっと!」。
圭子、「ワインの知識のフォアグラね!、アハハハハ!」。
春菜、「もぉ~#!、皆んな私を小さい頃から、
今の会社に役立つ用に調教してぇ~#!」。
すると年配組は大笑いだった。
優雅なひと時を過ごせる人達は、一品目が出て来るのに、20分も待たされても、
話に華を咲かせて涼しい顔付で、ワインを楽しんでいた。
窓際と言っても、中庭の窓際には、観葉植物などが置かれ、
目にも優雅なひと時であった。
実はこのフロアー、昨年出来たばかりで、春菜が設計したお店であった。
その空間は、レトロ調の中にシンプルで、落ち着いた感じを持たす為に、
大理石やコンクリートを使わず、木製を生かした、
アバウトな木のカットラインを、壁や柱に用いて、アットホームな空間の中に、
ガラス製の棚を多く作り、そこに装飾品を飾り、明かりを付けると、
そのガラス製の棚が、全体に光る細工が施されていた。
広さを意識せずに、なるべく角を作らず、仕切られては居ないが、
一つの一つのスペースの広さを、ランダムにして、
仲間達がその日の気分で、好きなスペースを選べる方式を取っていた。
どのフロアーからも、中庭が見える様に、設計にされていて、
窓際の席とは、大きな窓が有る中庭全体が、見渡せる席を表していた。
すると前菜がやって来た。
綺麗な絵柄が書かれた皿に、ホワイトソースの上に、焼き色が付いたアマダイ、
ソースの周りには、茹でて細かく刻まれた、ほうれん草が散りばめられていた。
ブロッコリーを細かく刻んで、少々タイの上に乗せてあった。
その中心には、パセリが乗っていた。
パセリを春菜は、フォークですくい態とらしく、「パセリ~#」と、答えた。
洋子はクスっと笑い、「悪かったわよ、春実に話して..」。
圭子、「は?、どう言う事?」。
良子、「昔この子が、初めて私達と昼食を取りに、
卸本町の角の洋食屋行った時に、オムライスの皿の上に、
パセリが乗っていたのを、春菜がそれを摘んで、『ハーブ?』って言ったら、
洋子が、『パセリよ#!』って、怒ったのよ!」。
圭子、「アハハハハ!、それを洋子が春実に話した訳だ!」。
春菜、「この間、お姉ちゃんと、オムライス食べに行ったら、言われたの..」。
その頃、直子は..。
柿本オフィスで、一人でお弁当を食べていた。
直子、「しかし殺風景なフロアーね~、ガラ~ンとしていて」。
誰も居ないこの空間は、四角く細長いテーブルが有るだけで、
窓際に観葉植物が一つ、置いてあるだけであった。
ふと何となく向かい側のテーブルに置かれた、一般回線の電話の子機に目が行った。
椅子から立ち上がり、子機が置かれているデスクに行き、
充電機から子機を外したら、「やだ~、これも線が付いて無い..」と、嫌気がさした。
通じるのかと思い、携帯と同じく受話器が上がっている、
緑の絵柄のボタンを押し、子機を耳に当てるとプーと、音がした。
直子、「この世界は、何でもマジックみたいで、気持ちが悪いのよもぉ#」。
そしてフロアーの西側の、スタッフオンリーと書かれた扉に歩いて行き、
扉を開けて中に入ると、キッチンの横に置かれた、
自動煎茶機の注ぎ口に湯飲みを置いて、ボタンを押し続けると、
飲みたい分だけ、お茶が出て来た。
直子はお茶を注ぎながら、「これも何だか味気ないわね~」と、呟いたのであった。
お茶を注ぎ、フロアーに戻りお茶を飲んでいた。
するといきなり、このフロアーに男性が入って来た。
それは木村施工の幹部、木下だった。
木下はアレ?と、言う顔をして、「あ..あの~、社長の柿本 良子さんは..」。
このフロアー意外とアバウトで、
あるじが居れば、誰でも自由に入れたのだった。
直子、「今、食事に外へ出ているの、なんの御用でしょう?」。
木下はハッと、改めた姿勢で、「この間、届けて貰った施工図、
お客様からの要望で、もう少しお風呂を拡張して欲しいとの事で、
相談しに来まして、アポ無しで来てしまって、申し訳無いのですが..」。
すると直子は、ポケットから携帯電話を出して、春菜に言われた様に、
携帯を操作して、電話を掛けた、「あ~もしもし!、
あのね~、良子がこの間届けた施工図、え~と」と言って、携帯を一度耳から放して、
木下に、「え~とどちら様?」。
木下は、「木村施工の木下です」と、答えると、
又直子は携帯を耳に当てて、「木村施工の木下さん、お客様からの要望で、
もう少しお風呂を、拡張して欲しいとの、相談しに来たみたいだけど、
うん、うん、解った!」ピ!っと、電話を切った。
そして直子は、「大変申し訳無いのだけど、一時間後にそちらにお伺いするので、
そちらの会社でお待ち頂けますか?」。
木下、「あ..そうですか、解りました!」と、帰ろうとしたが、目が直子の胸元に行った。
そう単刀直入に言うと、巨乳なのだった。
木下得意の、下から始まり上までなめ回す様に、直子を見ていた。
鼻の下が伸びる木下。
木下、「き..君幾つ?」。
直子、「はぁ?」。
いきなり態度を変えて、のろける木下。
直子、「私?」。
木下、「うん!」と、頷いた。
直子、「25だけど..」。
木下、「ば..バストも幾つ?」。
直子、「......」。
躊躇った。
そして笑顔で直子は、「幾つだと思うん」と、色っぽく答えた。
木下、「ハアハア(;´Д`)え~と、95..」。
直子、「105よん」。
木下、「ハアハアハア..春菜ちゃん寄りもデカイね~」。
興奮してる様子。
完全にスケベ親父根性、発揮であった。
そして卑猥な事を、連発で聞いて来た。
するとスクっと直子は立ち上がり、木下の所に歩いて行き、
思いっきり、お稲荷様を握り締めた。
木下、「ぎょぉぉおおおおわぁ~~~!」と、苦しい声を出した。
直子、「う~ん、ちょっと私と型が合わないわぁ~、残念だけど..」。
木下はいきなりの直接攻撃に、玉らなくモトイ..、堪らなくなり、
このフロアーから逃げて行った。
直子は、「根性も無いわね~」と、呆れて又弁当を、食べ始めるのであった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。