第四章、思い出の続き
卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル
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次の日。
夜の事であるが、良子は商工会の役員と、料亭で会議であった。
直子は、僅かながらでは有るが、良子からお金を貰い、
良子が嘗て勤めていた、文具の問屋の社員達の、行き着けのスナックに出向いた。
春菜は春実と柿本家で、食事を共にしていた。
今日は春菜が大好きな、シンプルなオムライスに、コンソメスープ、
野菜サラダと、一般家庭の普通の夕食だった。
ただ、春実のオムライスだけは、相変わらずビックドームだったが..。
春実、「母良子は、夜遅く帰って来るであろうぞ!」。
春菜、「飲んで喧嘩して、役員掴み上げなければいいけど..」。
春実、「役員も昨日今日、知り合っ仲では無かろう!、
性格は知っておる、心配せんでも良い!」。
そう言いながら、オムライスを頬張る春実であった。
すると、春菜が春実のワイングラスに、赤ワインを注いだ。
春実も、春菜のグラスに同じワインを注いだ。
春実、「相変わらず、母良子は民とはかけ離れた、
ゴージャスな食事を取っておるのかのぉ?。
聞くまでも無いであろうが..」。
春菜、「結局、スーパー行くと、そうなるの..」。
春実はワイングラスを口に付け、一口飲んで、「ワインは良いが、
毎日フランス人や、イタリア人もたまげる様な、贅沢な食材で夕飯とは、
長生きはせんよのぉ~」。
春菜、「そのワインも、一本5万円だよ!」。
それを聞いた春実は、ワインを喉に詰まらせて、んんっと咽ながら胸を叩いた。
春実、「母はこれでも、毎日ディナーに飲める、リーズナブルのワインと、
思っているのかいな?」。
春菜、「お母さん、一般と 一桁感覚が違うから..」。
春実、「お他所で育った側に、言われてしもうたがな..」。
春菜、「お母さん、賢パパが他界してからは、これと言った趣味も無いし、
食べる事くらいしか、楽しみがないの..」。
春実、「しばらく実家での、母良子の私生活を伺ってはいないが、
この一本 5万もするワインを、毎日空けてしまうのかいな?、
どれだけ金の延棒が、家の下に埋まっておるのかのぉ~?」。
春菜、「でも、いつも5万のワインではないの、
その日の料理に合わせて、白だったり赤だったり、値段で決めてないの、好みで決めてるの。
そのワイン昨日の呑み残しで、一回開けて空気が大量に入ると、
どんどん味が落ちるから、5万でも10万でも飲んでしまわないと..」。
春実、「パパが生きていた頃は、こんなにも酒呑みでは無かったが、
喧嘩する相手も居なくなると、酒びたりになるのかの!」。
春菜、「そうだねぇ..」と、思いに更けたのであった。
して..直子は、では無く、その頃直子は。
街外れで細々と営んでいるスナックで、呑んでいた。
お客は直子を見て、呆然としていた。
このスナックのママが、「は..春菜と入れ替わりで、
今度は凄いのが、過去からやって来たね~」と、驚いた。
大野、「そ..それで、田口は何処へやら?って訳か..」。
実はここのママさんは、最初に春菜があの会社に、未来から降り立った時に、
春菜の耳元で直子の悪口を囁いた、あの年配の女性である。
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高齢で77歳、すでに仕事は昔努めていた人達の、
コミュニケーションだけの商いで、趣味で営んでいるに近い状態であった。
直子はカウンターで頬杖を付いて、「かえりたーい!」と、呟いたのだった。
何故なら、昔の同僚はすでに老けてしまっていて、
オジサン、オバサンだったからだ。
窪田、「俺は、あの会社では大人しくて、存在も薄かったが、
それでも直子に金貸していたからな..」。
ママ、「帰りたいだって!、春菜と言う事が逆だね~。
あの子は、あの会社に来た時、何も知らない世界に降り立った割には、
来ていきなり、仕事テキパキこなしたよ!」。
大野、「それもだよ!、あの当時、女性社員に聞いた所、
寮では美味しそうに晩御飯食べて、嬉しそうに一緒に風呂入って、
はしゃいでたらしいよ!」。
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美紀子、「そうよ~!、私が、『ねぇ春菜ぁ~、この時代の夕飯って質素でしょ?。
春菜の時代は、洋食ばかりなの?』って、言ったら、
春菜、『そう言う人も居ますけど、私今ダイエット中なので..』って言ってたわよ」。
するとここに居たお客達は、各々で昔の話を懐かしんでいた。
静子、「カロリーだの、ダイエットだの、メタボなど、
あの当時は、普段聞きなれない言葉ばかり並べて、最終的に私達が、
春菜に、『宇宙人?』って言ったら..」。
美紀子、「春菜は怒って、『私は宇宙人ではありません#!』って、
叫んでいたわね、アハハハハ」と、笑い出すと、皆な大笑いだった。
直子、「今日言ってたわよ明子が、『春菜は未来を教えた、
生き字引だから』って言ったら、
春菜は、『私は過去では、宇宙人で未来人だったけど、
現代では単なる普通の人です』って」。
大野、「今でも春菜は、未来人感覚だけどね、我々オジンオバンから言わせれば..」。
皆さん同時に、「確かに」と、答えたのであった。
久保、「そうだなぁ~、あの時は 小島 直子は、偉くよこしまな女だと思ったが、
今となっては懐かしい、生きたアルバムの様なもんだ!」。
美紀子、「その分、生き字引が未来を教えて、皆んな財を肥やして保てたから、
こうして皆んなで、楽しくやれてるからいいわよ!」。
静子、「我々からの借金や、借り物も帳消しよ!」。
窪田、「さて、奢ってやるから、好きな物頼め!」。
ママ、「間接的では有るけど、春菜に感謝するんだよ。
こうしてあんたを皆んなが今、慕ってくれるのは、
春菜の神様が、過去に降り立って、我々の幸せを案じて、
災難から逃れられる様に、導いてくれたからだからね!」。
その時、皆頷いた。
久保、「保々直接的だよ!、何故なら直子は、春菜が側に居なければ、
今頃とっくに良子さんの家から、追い出されていただろうから..」。
皆さん全員同時に、「そりゃ~そうだ!」と、言い放ったのだった。
やはり直子はその時、「帰りたい..」と、呟いたのであった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。