第三章、歯車
卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル
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会社も終わり、洋子と圭子は、「また明日」と、挨拶を交わして帰って行った。
春菜が過去に、タイムスリップした様な訳には、行かないのであった。
なにせ昭和44年の我の強い、わがままギャルが現代に、
来てしまったからさぁ~大変!。
昨日までの、良子にとっては都合の良い、
幸せな暮らしは閉ざされてしまった。
春菜が助手席に座り、良子がマイカーを運転する。
一つ何時もと違うのは、後部座席に厄介な女が座っていた。
直子、「ねぇ~あんた、さっき一度だけ、チェンジレバー動かしただけで、
ハンドルしか動かして無いけど、つまらない車ね~!」。
この直子さん、オートマチック車を知らなかった。
二人はこの人に、どこから説明して良いか、返答に困った。
春菜、「直子さんから見て、40年後はクラッチを踏まなくても、
アクセルとブレーキだけ踏めば、走るのです」。
直子、「だいたい、女がこんなデカイ車運転するなんて、おかしいわよ!。
大富豪の社長の奥様気取りなの?」。
春菜はその時、慌てた。
何故なら良子は、爆発寸前で有る事が、以心伝心で来たからだった。
春菜、「良子さんは、あなたが失踪して直ぐ結婚して、旦那さんと二人三脚で、
事業を起こして成功して、今が有るのです」。
直子、「よほど物好きな男ね!、こんなキツイ女を、好きになるなんて..」。
良子、「私に気を使わなくて良いわよ#!春菜..。
この女の言う事には、慣れてるから..」。
直子、「良子、この子あんたの娘なの?。
よく出来た娘ね~、あんたに忠実で」。
春菜の方が、いささか怒れた様で、「直子さん#!、これ以上暴言吐くと、
強制的に路上に、放り出しますよ#、良いですか?」。
その時、直子は素直に、「ごめんなさい..」と、謝ったのであった。
良子はその時、「フッフフフフ」と、不気味に笑い出したのであった。
春菜、「お母さんも直子さんに、これ以上暴言吐くと、
一生、隣のベッドで寝てあげないから#!」。
良子も自省した様で、「ごめん」と、春菜に呟いたのであった。
まさか春菜は三年後に、現代に帰って来て、
我の強い旧昭和44年組みの、面倒を見る羽目になるとは、
思わなかったので、ため息を付いたのであった。
(これも役職かぁ~)と、心の叫びは、確実に良子に、以心伝心されたのであった。
自宅に着くなり、車からリモコンを操作して、車庫のシャッターが開くと、
直子は驚いて、「ちょっとあんた!、旦那はスパイ映画の俳優なの」と、叫んだ。
春菜と良子は、何も言えなかった。
車を車庫に入れると、自宅の玄関のドアロックキーの暗証番号を入れて、
目の網膜確認と指紋確認を行い、ロックが外れると、自宅の玄関のドアを開けた良子。
確かに現代人から見ても、この家はスパイ映画かと思うくらい、
ハイテクセキュリティーの塊であった。
自宅に戻ると居間に行き、更に驚いた直子、「ここ誰の家なの?」。
良子、「誰が他人の家に、帰って来るバカが居るのよ#!」。
直子、「あんたの家?」。
春菜、「申し訳無いのですが、良子さんの40年後は、
あの寮生活とは、かけ離れた生活になってしまいました」。
直子、「ねぇあんた、その若さであの寮の事知ってるの?。
と、言う事は逆にあんたが、過去に行って戻ってこれたと言う事でしょ?」。
春菜、「そうです。40年前の過去に行って、二ヶ月後位に突然この現代に、
戻っされて急に、知り合いばかりになりました」。
直子、「二ヶ月後に戻れるのね!」。
良子、「保証は出来無いわよ!。
私達が40前から今まで、あんたの安否を、確認出来ていないのだから..」。
直子、「え~..、じゃあ私は行方不明のまま?」。
良子と春菜は同時に、「そう!」と、強く念を押した。
良子、「あんたは田口君と43年前に、
失踪したと言われていて、それから今まで、
私達の前に現れていないの、だから25歳のあんたではなくて、67歳のあんたが、
この現代に存在確認されていなければ、私達はこれから未来でのあんたは、
どうなるか解らないのよ#!」。
直子、「ふ~ん!」と、軽く答えて、「それはそうと、お風呂入れてよ入りたい!」。
良子と春菜はコケタ。
春菜、「お風呂なら、24時間入れますよ!」。
直子、「あんたの家、こんなに立派なのに、お風呂付いてないの?」。
良子と春菜は、やはり同時に、「は~?」と、首を傾げた。
直子、「銭湯に入りに行け!って、言ってるのでしょ?」。
かなり時代の感覚が、ずれていた。
春菜は一つ咳払いをして、「え~とですね。
この家のお風呂は、ろ過装置が付いていまして、
24時間、いつでも綺麗なお湯の、お風呂に入れる訳です」。
直子やはり、「ふ~ん」と、軽く答えて、「その前におトイレ行きたい!」。
やはり、良子と春菜はこけた。
春菜は、「案内します!」と言って、直子をトイレに連れて行った。
良子はのソファーに座り、「あの女、相変わらず気紛れで、
わがままなんだから#!」と、腹を立てていた。
<作者:相変わらずって、昭和44年から、直接43年後に飛んで来たので、
性格はそのままですが。>
春菜は直子をトイレに連れて行き、詳しくトイレの使い方を教えていた。
春菜、「いいですか!、ここに付いているボタン類を、
決して押してはいけません!、済ませたら、
この水を流すボタンをだけを押してください!。
それ以外は決して、手を触れないで下さい!。
ここにトイレットペーパーが有りますので、
これを使って下さいね!」と、やはり念を押して、
直子が笑顔で、「了解!」と言って、春菜がドアを閉めた。
そして居間に戻って来た。
かなりご機嫌斜めな良子を、目の当たりにした。
何しろ良子さん、ここ三年間は春菜と、穏やかで充実した毎日を送っていたので、
最悪な女が舞い込んで来てしまった為に、精神の歯車が狂い始めていた。
春菜は良子が座っている、
隣のソファーに座り、「最初の一ヶ月間だけは、お母さん我慢して。
人の事言えないし生意気だけど、
お母さんに私、拾われてから取引先の伝もあるの。
だから、あの人の仕事を、関係先に見繕って貰うから、
住居も格安中古物件2~3件が有るの。
『気に入らないっ!』て、あの人に言われたら、
新築マンションの宛なら、賢パパの知り合いの不動産関係者から、
『入居者紹介して欲しい』と、せがまれているの。
だからこちらが自腹切て、あの人の気に入るマンション買うつもりだから」。
良子、「元城町の牧田さん?」。
春菜、「植松町の余田不動産の旦那さんの、甥っ子の窪田君が独立して、
入野町で不動産開業したの。
新築格安マンションの物件、私に複数紹介してくれて、入居者紹介頼まれたの。
私も大分紹介して上げたけど、まだ大分残っている状態で、
言えば大分安く、優遇してくれそうなの」。
すると良子は急に泣き出し、「春菜は優しいね~」と、鼻をすすった。
お約束の展開だが、いきなり廊下から悲鳴が聞こえた。
悲鳴と言うより、擬音に近かった。
「ぎょわぁ~ ぎょえ~ ぎょぎょぎょ ぎょぅぅうう、ぎゃ~!」。
<作者:やっちまいました。>
春菜がソファーから立ち上がり、廊下に出て 一目散にトイレに駆け込んだ。
すると股を閉めた直子が、「乾かしてくれたみたい..」と、呟いたのであった。
春菜は呆れて、「ヤレヤレ..」と、呟いたのであった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。