第一章、 日常
卸本町の蜃気楼、パターン2(過去からの訪問者)オリジナル
http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1515515.html
この物語は、パターン1からのその後の続きを描いています。
最初にパターン1を読んでから、この物語を読んで下さい!
卸本町の蜃気楼
パターン2
過去からの訪問者
原作:Shiny Pastel Moon
良子が運転する、高級外車の中で。
春菜はビジネススーツに身を固めて、
助手席で書類に目を通していた。
そして運転している良子に、「社長..」。
良子、「.....」。
春菜、「社長!」。
良子、「.....」。
春菜、「お母さん!」。
良子、「は!..」と言って、振り向いた。
春菜、「葵町の、大村施工事務所の木下さんが、
この間、頼んで置いた、『鍛冶町の最上階のマンションの部屋の施工図、
出来たかどうか、良子さんに聞いて欲しい』と、言ってたけど..」。
良子、「あ~、あれ..、え~とねぇ、家の仕事場に置いてある」。
春菜、「完成しているの?」。
良子、「出来てるわよ!」。
春菜は携帯電話を、ポケットから取り出して、電話を掛けた。
春菜、「もしもし、柿本デザイン クリエートですが、はい、春菜です。
この間のマンションの施工図の件ですが..、はい、木曜日ですか。
解りました!、午前中までに届けますので、はい、あ~、アハハハハ、
あ~、へ!、今ですか..?、良子さんが運転して、車の中ですが。
あ、はい、解りました、失礼します」と、電話を切った。
以心伝心中!。
転送が完了しました!。
良子、「あのスケベ親父#!、今度春菜に変な事言ったら、ぶっ飛ばす#」。
春菜、「こう言う時、以心伝心出来るのは、都合が悪いんだから..」。
良子、「それよりも春菜ぁ~、もう時期お誕生日ねぇ~、幾つになるの?」。
春菜、「もう、祝って貰う歳でもないけど..、28ですよ」。
良子、「そうかぁ~、大きくなったわね~」。
春菜、「成長はとっくに止まってるけど..」。
車は自社に向かっていたが..。
良子、「ねぇ、この間のペット屋の、アメリカンショートヘアー、
可愛かったわね~」。
春菜、「会社の近くのペット屋に居た、生まれて間もない、あの猫の事ですか?」。
良子、「そうよ!、私に懐いているのよ、私を親だと思って、手をペロペロなめるの」。
猫にのろける良子67歳、今年で68歳なろうとしていた。
春菜、「良子さん、飼うとまた亡くなった時に、辛い思いをしますから、
見てるだけにして置かないとね..」。
良子、「解っているわよも~#」。
春菜、「解ってないから、あそこの交差点曲がらずに、今直進したのでしょ#!。
会社は、こちらでは無いですよ!」。
良子、「ヘイヘイ..」と言って、ペット屋の駐車場で、車の向きを変えて、
会社へと戻って行ったのだった。
会社は駅南の砂山町に在り、下は駐車スペースが有り、三階建ての事務所を構えていた。
車を置いて横の階段を上ると、玄関を通り事務所に入った。
四角形に木製の長細いテーブルが続いている、デスクが有った。
壁には収納スペースが付いていて、仕事に必要な物は、全てそこに収められているので、
事務所内はとてもシンプルだった。
そこには、60代後半の洋子と圭子が、自分のノートパソコンを見詰めていた。
洋子、「ちきしょ~#!、また株が下がってる!」。
圭子、「あら、この白髪の男性、シブイわぁ~」。
そして良子と春菜も、適当な所に置いてあった、キャスター付きの椅子に座った。
するといきなり、誰かが事務所に入って来た。
それは良子の長女、春実であった。
柿本 春実(32)。
その上には長男が居るが、長男は東京でサラリーマンをしている。
春実は2年前に離婚をして、今は一人で郊外に、マンションを買って住んでいた。
この会社の系列で、レトロな物は何でも扱う店を、浜北に構えていた、
そこのオーナーである。
春実、「お~!皆の者、相変わらず暇そうであるの、ワハハハハハ!」。
良子、「しょうがないでしょ#!、不景気なんだから..」。
春実、「春菜、食事は済ませたの?」。
春菜、「それがね!、商工会議所で会議が長引いて、
帰りにコンビニ寄って、ジュース飲んだら中途半端な、お腹の空き具合なの」。
良子、「空腹で二人でサイダー飲んだら、炭酸がお腹に溜まって、胃が変なのよ!」。
圭子、「一番最悪な、サイダーの飲み方ね..」。
洋子、「デリケートな腹だね..」。
春実、「春菜、ではお食事に参るぞよ!」。
春菜、「付きおうて、つかませ!って?」。
春実、「そう言う事じゃの!」。
そして、春実の車で外食に出た。
やはり外車の1600ccクラスの、赤いハッチバックで、
春実が運転で、「春菜、なに食べるぅ~?」。
助手席の春菜が、人差し指を顎に置いて、「さ~、どうしよう?」と、首を傾げると、
春実は、「オムライス~!」と、答えた。
春菜、「......」。
一路車は、街中の駐車場に向かった。
この物語はフィクションであり、登場する人物、建物などは実際には存在しません。