ハイブブルード解説 1
物語に登場する裏の主役、ハイブ。彼らは蟻や蜂に似た社会構造と生態をもつ昆虫型モンスターです。厄介なのは、人類を主食とし、宿主として増殖する寄生生命体であることです。
ハイブ社会には五種の構成員がいます。ハイブブルード、ブルードリング、ハイブリーダー、ハイブマインド、ブルードマザーといい、それぞれ決まった役割を担っています。
ここでは、ブルードリングとハイブブルードについてお話しします。
ブルードリング
ハイブは人間を捕獲すると巣に持ち帰って幼虫を植え付けます。幼虫、すなわちブルードリングは、体内に入って一日で宿主を支配します。この一日の間に宿主の目には薄い膜が張り、皮膚は昆虫のように硬いキチン質に変わり、動き方も昆虫に近くなります。ただ、まだ触角はなく元の姿を留めているので、だれであったか見分けるのはわりあい簡単です。
一日経って宿主と同化したブルードリングは、早速、巣の構成員として働き始めます。このとき、元の人間の記憶や意識はうっすら残っていますが、彼の意志で行動することは全くできません。彼はもはやブルードリングの操り人形なのです。
ブルードリングの状態なら、僧侶呪文キュアディジーズかキュアオールで寄生虫だけを殺し、宿主を助けることができます。それでもキチン質の肌などは残ってしまいます。
ハイブブルード
数日経つと、ブルードリングは5〜8時間の休眠に入ります。この間に外側の皮膚を落として完全なハイブブルードに成長します。一人前の成虫ハイブとなるわけです。
ハイブブルードになってしまうと、元の宿主らしさは一切合財失われます。目は複眼になり、触角が生え、ますます昆虫らしい姿になります。精神はもちろん、肉体的な能力や特性もほとんどの場合は消え去るため、宿主の身元の判別は容易ではありません。
彼らは武器でも攻撃してきますが、自前の爪と牙による攻撃も得意とします。面倒なのは噛みつき攻撃で、毒性のある粘液を敵に注入するのです。相手は、毒への抵抗に失敗すると麻痺してしまいます。物語でレスタトやGやセリフィアが倒れていたのは、このためです。
ブルードリングもハイブブルードも、ただ一つの目的のために働きます。それは「巣の保全と拡張」です。この目的は何においても優先されます。また、彼らは徹底して全体主義です。そもそも「個人」という考え方が存在しません。ちょうど兵隊アリや働きバチのように、自らを犠牲にしてでも盲目的に「巣=全体」に尽くすのです。
この働きバチたちにだれが指令を出すのか――。それはまた別な機会にお話ししましょう。