小さな願い
「行ってしまったね」
少年が行った後、草花たちが話し始めた。
リスなどの、小動物たちも、その声を聞き集まってきた。
その近くに落ちている、小石や、草花たちの上から、眺めている大木も、
みんな、その話を真剣に聞いていた。
みんな、少年を心配していた。
あの心優しい、少年のことを。
頭の良い、優しい眼差しを、どんなものであろうと、向けることのできる
優しい彼のことを。
みんな彼が、誰のために、なんのために、戦場に行くのかを知っていた。
みんな彼が好きだった。
いや、今でも好きだ。
全ての生き物が、彼が戻ってくることを、
彼が、生きて帰ってくることを。
またあの、彼の優しい顔を、見たい。
だから、みんな願った。
小さな生き物たちが、小さな願いを、夜なのに、やけに明るい
むこうの空に向かって、祈る。
小さな生き物たちの、大きな望み。
彼が、生きて帰ってくること。
村の、全ての小さな生き物たちの願い。
1人1人は、小さいが、彼を思う気持ちは、人間よりも強いかもしれない。
彼の歌を、もう一度。
そういえば、彼は、あそこに向かう前、ある歌を作っていたな。
そこに居た生き物たちが、みんな思った。
彼が、「自分たちのための唄」
といい、歌っていたな。
「自分たち」って、誰なんだろう。
あの、唄が聞きたい。
彼の声で。
彼を、前にして。
彼に、会いたい。
「覚悟の価値を決める場所」
「大言壮語もはいてやろう」
「ここが 僕の居るべき 戦場」
あの唄に、こんな言葉が混ざっていたな。
君が、居なきゃいけないのは、戦場だけでないよ。
君を必要とする人たちは、たくさん居るんだ。
早く戻ってきてくれ。
君を待っている。
僕たちは、ずっと。。。




