表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

男前すぎる幼馴染が、俺にだけ甘えてくるのは反則だろ

作者: Romanoff726
掲載日:2026/05/03


俺には、幼馴染がいる。


幼稚園の頃からずっと一緒で、気づけばそれが当たり前になっていた。


周りからはよく言われる。


「お前ら、もう付き合ってるだろ」


――違う。


少なくとも、俺はそう思っていた。


立花ミサキは、そういう対象じゃなかったからだ。


背が高くて、ショートカットで、男よりも男らしいなんて言われるやつ。


誰に対しても同じ距離で、特別なんて作らない。


……だから、俺だけが違うなんて思うわけなかった。


「コウ!!数学の答え!!」


教室のドアが勢いよく開く。


いつも通りのミサキ。


――のはずだった。


「立花さん、それ見ます?」


ピンク髪のクラスメイト、椎名アイリ。


その一言で、ミサキの動きがほんの一瞬止まった。


「……いい」


短い返事。


でも、明らかにいつもと違う。


その背中が、少しだけ固い。


(……なんだ、今の)


その違和感は小さかった。


でも――確実に残った。


放課後。


「これ、どうやるんだよ」


いつもの距離。


いつもの声。


でも、答案を渡した瞬間。


指が触れた。


「っ……」


ミサキが止まる。


ほんの一瞬。


すぐに顔を逸らす。


――耳だけが、赤い。


(……は?)


今まで、こんな反応一度もなかった。


昼休み。


「なあ、コウ」


「さっきの女、誰だよ」


「ただのクラスメイト」


「ふーん」


それだけ。


でも――


弁当をつつく手が、少しだけ遅い。


(……怒ってる?)


いや、違う。


もっと別の何かだ。


放課後、中庭。


「コウ」


息を切らして、ミサキが来る。


「……告白、されたんだろ」


「ああ」


「で?」


「断った」


間。


「なんで」


俺は、少しだけ迷ってから答えた。


「好きなやつがいるから」


「……誰」


視線がぶつかる。


逃げられない。


だから、言った。


「お前」


一歩。


ミサキが下がる。


それだけで距離が変わる。


「……バカ」


顔を逸らす。


耳が真っ赤だ。


「なんで今なんだよ」


小さく。


本当に小さく。


「……私も、ずっとそうだったのに」


心臓が、強く鳴る。


沈黙。


そして。


ミサキが息を吐く。


「じゃあさ」


「これから、どうすんの」


答えは簡単だった。


俺は、隣に立つ。


距離はもう、ほとんどない。


ミサキも何も言わない。


でも――そのまま歩き出す。


いつもの帰り道。


いつもと同じはずなのに。


少しだけ違う。


気づけば、ミサキは当たり前みたいに俺の隣にいた。


その日から――


俺たちはもう、“ただの幼馴染”には戻れなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ