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異世界の可能性

「ガブリエルよ、また腕を上げたな」

「光栄です、父上」


広々とした訓練場で、父クロードと兄ガブリエルが剣を交える。金属がぶつかる鋭い音が響き、観戦している騎士たちも思わず息を飲んでいた。


クロード・マルセルはこの国の有力な貴族であり、隣国からは**「剣聖」**と恐れられる存在だ。その血を継ぐガブリエルもまた、剣技の才に恵まれ、幼い頃から並外れた実力を誇っていた。


(いやはや、圧巻ですなぁ……)


レオンはカトリーヌに抱かれたまま、その様子をじっと見つめていた。


「はぁっ!」


ガブリエルの剣が閃き、クロードの防御を弾く。しかしクロードは動じず、次の瞬間、軽く剣を振っただけでガブリエルの体勢を崩し、あっという間に剣先を彼の喉元に突きつけた。


「まだ甘い。力に頼りすぎるな」


「……精進いたします、父上」


ガブリエルが悔しそうに剣を収める。


(これが異世界の戦闘か…すっげぇ!!これが異世界の力か!!まさに超人!!)


正直、どうやったら一個人が自然の猛威に立ち向かうことが出来るのか困っていたが目の前で起こった出来事はその答えを教えてくれたようだった。





――――――――――――――――――――――


それからの僕の行動は早かった。人の目を盗んでは、来る日も来る日も力の正体を探った。


そして見つけた。


体内に荒れ狂うエネルギーの塊みたいなものがある。

これじゃね?

そのエネルギーの塊に集中してみると、徐々にその輪郭がはっきりとしてきた。


(これだろ!絶対!これあれだ!魔力とかいうやつだろ!)


そのエネルギーの塊を体全体に広げるように行き渡らせてみると、次第に体が熱くなったのを感じた。しかし、体調が悪い時の嫌な暑さではなく不思議と体は軽かった。


(今なら、歩ける気がする)


レオンはベッドの柵を支えに、生後半年以上初めて歩行を成功させた。


(これは足腰きちぃど!)


レオンは力の発見に夢中になっており人が近づいてきてることに気づかなかった。


ドアが開き、執事の一人が驚きの声をあげた。


「なんと!?レオン様が歩いておられますぞ!」


「まぁ、なんて早いのかしら!」


カトリーヌも目を丸くしながら駆け寄る。


(あれ?これまずいか?ふつうの赤子が歩き初める時期とか知らないし…)


しかし、クロードの反応は違った。

彼はじっとレオンを見つめ、何かを確かめるように言葉を発した。


「……レオン、お前、魔力を使ったな?」


(あっ、バレるもんなのね…)


クロードの目が鋭く光る。


「ほう……半年にして魔力を意識し、それを体に巡らせたか。なかなか興味深い。ガブリエルも八ヶ月で魔力を扱っていたが、よもやそれより早いとはな…」


(なんかすげぇ評価されてる気がする…)


レオンは無邪気な赤子を装い、ニコッと笑ってみせた。


「ふふ、可愛らしい笑顔だこと!」


カトリーヌは満面の笑みでレオンを抱き上げ、頬ずりしてくる。


クロードはしばらく考え込んだあと、ふっと笑った。


「レオン、お前も鍛錬を始めるとしよう」


(……ん?)


「あなた、レオンはまだ言葉も話せないんですよ?さすがに鍛錬は早すぎませんか?」


「半年で魔力を扱うならば、力の使い方を学ばせるのも早すぎることはない。」


こうして、レオンの貴族式英才教育が始まった。

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