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幼き頃からの夢

自分は物心がつく前から怪盗というものに憧れていた。


神出鬼没に現れ見る者を圧倒する鮮やかな手口で目的の物を奪っていくその姿が、宣言したことを見事やりきるその有言実行の姿勢が、夜を自分の庭のように自由自在に駆け回り、権力や武力を前にしても怯まず立ち向かうその自由が幼き日の自分の心を焼き尽くした。











――――――――――――――――――――――


しかし、僕の夢は21世紀の日本に置いては異端としか呼べなかった。

怪盗なんて小説や漫画内だけのもの、フィクションの中でしか存在できないもの。

そもそも科学技術がここまで発展した現代で怪盗なんかやっても直ぐに足がつき捕まってしまうだろう。捕まったら最後、法の元に裁かれて碌な未来が待ってない。

だから人はすぐに気づくだろう、物語と現実は違うと決して物語の中にあるものをいつまでも自分の夢にしてはいけないと。


しかし、僕は違った。


時が経つにつれ怪盗になるという夢は大きくなり続けた。憧れは止められない、、、


その衝動に突き動かされ、僕は立派な大怪盗になるためのトレーニングを初めた。華麗に人を騙すための見事な変装術や夜を自由に駆け回るための見事な身のこなし、あらゆる困難に対応するための見事な体づくり等、思いつく限りの怪盗に必要そうな見事な技術を片っ端から取得していった。


腕試しに様々な施設に潜入してみたこともあった。

某警備会社に見つかったこともあった。

泣きべそかいた。


そんな怪盗マスターになるための楽しい修業ライフ人生を送っていた時に事件は起こった。


いつも通り、崖を軽い身のこなしを鍛えるためひょいひょいと登っていたところ急に雨が降り始めた。風も強くなっていた。僕は思った。雨風程度で足を止める者が怪盗になれるだろうか?いや、なれない。なれるわけがない。僕の目指す怪盗は何者にもその歩みを止めることは出来ない。たとえそれが自然の脅威であっても。その選択が命取りだった。


突然体を浮かすほど突風が僕を襲った。なすすべも無かった。僕の体は宙に浮いてそのまま奈落へと堕ちていった。



「あぁぁぁ!!まだモナ◯ザ盗んでないのに!!!」



こうして、僕の1度目の人生は何も成せないまま終わっていった。

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