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プロローグ~王女様からメイドへ~+表紙絵

「はあ? ウィル神界に渡ってメイドをやれ?」

 

 対魔組織ウィザードの長官室で少女が、ウィザードの現長官でのソウ=シルフィーディアに向けて大きな声を上げた。対魔組織ウィザードは、中央警察本部のコンクリート造りの大きな建物の中に設置されている。長官室は、現代のオフィスそのものであり、奥に長官の机と回転椅子が置かれていて、手前に革張りのソファーがあった。その長官室の机に向かって座る少女が、カザナである。


 その発言は、生まれつきの王族である自分が潜入捜査にしろメイドなど出来ないという抗議の表れであった。カザナは、両親共に風の王家出身の純血種である。見た目は、月光を編んだような色合いのふわふわな髪に大きな勿忘草色の瞳が印象的な可愛らしい美少女だ。性格はおっとりとしたのんびりな性格だが、天空族の少女らしく気が強く仕事ではしっかりテキパキとしている。


 14歳のシルフィーディア王国の第一王女カザナ=シルフィーディアは、シルフィーディア王家に籍を置いてはいるが、叔父のソウ=シルフィーディアの養女である。現在は、シルフィード国の国立シルフィード大学付属中等部の中学二年生であり、対魔組織ウィザードで働く神器風の杖に認められた神器使いだ。王女らしくあれと厳しく育てられたが、風の王家女王であった母親が亡くなり、その後を継いで風の王家の王となった父親が実に女性にだらしなかった。女王が亡くなり、すぐに18歳の高位貴族の少女と再婚した。その18歳の継母と折り合いの悪いカザナは、実の叔父であるソウを頼って12歳でシルフィード国に渡り、ソウの養女となった。

 

「仕事ばかりで家事が行き届かなかったパパたちの荒れた生活を立て直してくれたじゃないか! カザナ! 潜入捜査でメイドなんてお手のもんさ!」

 お願いだと両手を組んで頭を下げる養父ソウは、義理の娘であるカザナに頭が上がらない。

 カザナは冷たい視線をソウに投げかける。


「そうよね、ウィザードきってのやり手で美形な長官ソウ=シルフィーディアと、そのパートナーで法曹界で美貌のプリンスと言われる弁護士ティム=スミス! 実は汚部屋に住んでいて、今は二人の家事を義理の娘がやってるんだもんね!」

 実に王女と育って12年間、侍女やメイドに身の回りを任せていた王女生活から家事の出来ない義理の父たちの身の回りを世話することになった。そのお陰か、カザナの家事能力はこの2年間で格段の成長を遂げていた。


「それでその能力を見込んで、パパの昔の部下の息子の警護をお願いしたいんだ」

 いつもは仕事の出来る長官として振舞うソウが、カザナに低姿勢でお願いのポーズを取る。

「!」

 カザナは目の色を変えて、ため息を吐いた。


 養父のかつての部下は、現在ウィル神聖王国で現ウィル王の正妃をしており、また光の杖の神器使いであるヒカル=ウィル=カーライルだ。ウィザード時代養父ソウの部下であった。ソウとヒカルは実の兄妹のように仲が良かったと伝え聞いていた。


「ウィル王家の王子の警護なら断れないじゃない……」

 額に手を当ててカザナは唸る。でもでもだからって何で風の王家の第一王女である自分がメイドなんぞやらなくちゃいけないのだとカザナは文句を言いたくて、ソウを睨みつけた。


「カ、カザナ……」

 蛇に睨まれた蛙とはこのことだ。可愛い姪であり、養女であるカザナに嫌われれるのは避けたいソウがカザナにひたすら謝り倒したのは後の話である。


挿絵(By みてみん)


読んでくださってありがとうございました

また、表紙絵はSKIMAにてらぎ様に有償依頼しました。著作権等は絵師様にありますので、勝手にご使用等はおやめ下さい。

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