プロローグ
「ぼっちゃま ぼっちゃま どこですか ぼっちゃま先生が来て待ってますよ」
屋敷中を3名のメイドがアイルを探して部屋を見て周る
「捕まるものかよ」
2階の窓から颯爽と飛び降りて西の山へ向かう
ハイゼン伯爵家二カ国の国境に位置して幾度と無く領土を守り抜いてきたために広大な領地を有する
伯爵家の中でも軍事力が高く砦2つを所有 公爵家と同等の兵士を有しているとまで言われている
屋敷の中に庭園2つと狩猟用の山がありアイルはここ最近冒険と称して山の探索をしていた
アイルは5歳の献呈儀で神から何も職業やスキルをもらえなかったので次男が家にいた半年間は虐められてきた。
アイル自身も剣を習い 勉強もしたが職業持ちには追いつけず挫折して遊んでいる
最近山に罠を仕掛けて野ウサギを取って食べるのが日常になってきている
いつも拠点にしている洞穴に行くと一人の青年が血だらけで座り込んでいた
「大丈夫ですか」
「すまないが何か食べるものを持ってないか 傷と空腹でここから出て行くことも出来ないんだ 持ってきてくれたら俺のとっておきをくれてやる」
アイルは青年の目を見ると引き込まれそうな感覚に陥り首を振って正気を保つ
「ちょっと待ってて」
アイルはなぜ自分が食事を持って行く約束をしたかわからないまま裏口から厨房に入り料理長へお願いする
「料理長ちょっとでいいから食べ物頂戴」
「アイル メイドが一生懸命探しているぞ 食事は勉強の後だ」
「そんな事言わないで僕を助けると思ってお願い また野ウサギや鳥をとって来るから」
いくら伯爵家といえど基本使用人は肉を食べる事が少ない クズ肉といわれる切れ端も1ヶ月に1度か2度賄いに入れられればいいほうだ アイルがとってきた肉は使用人にとってはありがたいものなのだ
「今回だけだぞ」
魔道具の氷冷庫から依然狩ってきて作ってくれたソーセージを焼いて皿に入れてくれた
「食え おいどこに持っていく」
俺は皿を持って洞窟に戻っていった
「はい 持ってきたよ」
持っていくと口が裂けて皿ごとソーセージを食べた
皿を口から出す 汚い
「もう少し足りないな坊主 鹿か熊がいるだろう捕って来てくれ生でいいから」
「え」 ムリだ今まで小動物しか狩ってこなかった 鹿とはいえ体当たりされれば子供の体では一撃で死ぬ事もあるのだから
「何もお前が捕って来いと言っていない さっきのお礼にこれをやるから使えば楽勝だ」
黒い指輪?
「指にはめて 影よ と言え」
指にはめると設えたかのようにぴったりフィット
「影よ」
指輪から三つの何かが飛び出し狼の形になる
グラ
どさ虚脱感と眩暈頭痛で膝をつき顔を歪める
「1体戻せ そう思うだけでいいから」
影が指輪に戻るとさっきの症状が消えた
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