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98.乙女の幸せ

ある事を思い付き急いで父の元に急ぐミーナ。

部屋の扉を開けると騎士が立っていて驚く。紳士な態度で騎士は何があったのか聞いたので、父様の部屋に行きたいと告げると、少し考え侍女を呼び先触れを出してくれた。そして騎士のエスコートで父様の部屋に向かう。

父様の部屋は近くエスコートなんて必要ないと思うが、漆黒の乙女は国王にとって重要な存在らしく護衛は必須らしい。すこし堅苦しさを感じていると父様の部屋に着いた。部屋に着くと少し顔の赤い父様が迎えてくれた。

どうやら寝酒をしていた様だ。普段あまりお酒を飲まない父様だが、今日は飲みたい気分なのだろう。

部屋に入りローテブルにあるお酒を端に寄せ、侍女にハーブティーを頼みソファーに腰掛ける。


「こんな遅い時間に何かあったのか?」

「はい。思う事があって…」


そう言い思いついた事を話した。酔って眠そうにしていた父様が目を見開き私の話を聞き考え込んだ。そして考え中の父様を待っている間に、香りのいいハーブティーを飲み言葉を待っていると、急に立ち上がった父様は便箋を取りに行き何か書きだした。そして封筒に入れ侍女を呼び


「明日朝一にバンディス侯爵家本宅の執事へ届けてくれ」

「?」


そして酔いが覚めた父様はソファーに座り真剣な顔をして


「ミーナの考察はあっているかもしれん。バンディス家当主が書き残した乙女の記録がある。漆黒の乙女は成人するまでバンディス家で預かり、数名ヤマトへ帰った乙女もいるが大半は王家に嫁いでいる。嫁いでからの記録は(侯爵家では)少ないが、読んだ感じでは幸せとは…」


父様は気まずそうに話す。そして殆どの乙女が嫁いだ王家は何かしら問題を抱えていて、国家の安寧の為に求められ王族と縁を持っている。

ヤマトを迫害したボルディ家が神の怒りを買い、ジョルノを愛するハナの慈悲で漆黒の乙女が渡りこの国を助けて来た。

しかし渡って来た漆黒の乙女の意思は尊重されず、ボルディン王家安寧のために利用されてきている。

唯一自分の意思でヤマトに帰った乙女の後の数代は、血の病は出る事は無かった。


「ミーナの考察が正しければ、異界を渡ったハナの子孫がこの世界で幸せであれば、神の怒りが収まり血の病が無くなるという事か」

「乙女と王族との縁組、そしてその時代のボルディン王国の情勢を調べれば、乙女と血の病の因果関係が分るかもしれません」


そう言うと父様の表情が明るくなる。アイーナの日記を読み非常…いや異常なユーリを知り罪悪感に苛まれていたのだろう。いつもの父様戻り安心し部屋に戻る事にした。

また静かな廊下を歩き部屋に戻ると、部屋が優しい香りに包まれていた。驚いて侍女に聞くと


「リアンド殿下の遣いが訪れアロマキャンドルをお届けになりました。殿下からメッセージカードも届いております」


そう言いカードを渡してくれた。すぐ開封して読むと…


『今日はお疲れ様でした。あの様な話をレディが耳にするのは耐え難かった事でしょう。そんな状況でも冷静に受け止められる貴女を敬愛致します。せめて夢見が良くなるようにアロマキャンドルを贈らせていただきます。ゆっくり休まれ明日またお会いしましょう』

「リアンド殿下…」


殿下のお心遣いに感謝し、優しい香りにゆっくり休む事ができた。


そして翌朝。早めに起床し身支度をしているとルイス殿下の従者が来て、朝食のお誘いを受ける。少し考えお受けする事にした。

本当は断りたいけど、昨日アイーナの日記を読み、殿下はかなり落ち込んでいたのを思い出し、心配になりお受けする事にした。


殿下のお部屋に着くと少し窶れたルイス殿下が迎えてくれた。


「おはようございます。ご招待いただきありがとうございます。昨晩はお休みになれましたか?」


そう言うと殿下は苦笑いをし席に案内してくれる。着席すると美味しいそうな料理が並びお腹が空腹を主張する。優しい眼差しを向けた殿下に食事を勧められ、温かいスープからいただく。昨日あんな衝撃な事があったとは思えないくらい他愛もない会話と食事を楽しんだ。話しながら気取らないルイス殿下に好感を持つ。


『初めて会った時は圧が強く苦手で、正直嫌いなタイプだと思ったんだよね… きっと今の殿下が本来の殿下なんだ』


そんな事を思っていたら、視線を落とした殿下は声のトーンを落とし


「私は漆黒の乙女を娶る事に囚われ、()()()()を見ようとしなかった。そして次期王のプレッシャーと、リアンドに負けたくない想いだけの嫌な男でした。こんな私が貴女の心を得れる訳ない」


きっと幼い頃から乙女を娶る事と王位継承を言われ続け、プレッシャーになっていたのだろう。今は冷静にご自分を分析されている。繊細で真面目なルイス殿下ならいい王になられるだろう。そんな殿下には支えてくれる妃が必要。でもそれは私ではない。私は身分主義のこの国は良く思っていない。だから…


『今、自分の想いを殿下に告げるタイミングかもしれない』


急に思い立って殿下にそれを伝えようと姿勢を正すと


「ミーナ嬢は分かりやすですね。でも今は勘弁してほしい。全てを知りお互い将来を考えてからにしましょう。私の想いをちゃんと伝える機会をいただきたい」

「…分かりました」


ここでお断りしようと思ったのに止められてしまった。少しモヤモヤしながら一旦部屋に戻り、父様の迎えを待つ。今日は(アイーナの)日記の残りそしてバンディス家当主の手記と王家の歴史を突合せ、私の考察が正しいか検証する。


『私が考察が合っているなら、私が望む選択をすれば、後世で血の病を発症する人は出なくなるかもしれない』


そう思うと尚更 ”この国を出て人に干渉される事無く自由に生きたい” という気持ちが強くなった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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