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82.遺言

ヤマトからのメッセージを翻訳する。これで全て知る事が出来るのだろうか…

ジン様が開いたページはヤマトの文字の一覧があり、それを使い翻訳してみる。本の横に布を置き見やすいように皺を伸ばすと…


「!」


驚いて思わず手がとまる。そして父様にその布を確認してもらうと…


「これは!刺繍ではない。どの様にして布に文字を移したのだ」


そう。文字は刺繍されたのではなく()()()()()()()()()のだ。布にインクで文字を書き残す事なんて出来ない。それにこんなに長い間消えないインクなどこの世界には無い。話しには聞いていたがヤマトの技術の高さに驚く。


固まる私達にジン様が解読を急かし一文字ずつ解読していく。見慣れない文字に時間がかかり、やっと読めるようになる。思ったより翻訳に長い時間かかったのに、皆さん待っていて期待する視線が痛い。


「では読み上げます…」


すると皆さん手帳を取り出し内容を書き残す。こうして皆さんの視線を受け緊張しながら読み上げる。


【いとしい  みな これがよめるころには あなたは うつくしいおとなの じょせいになって いるだろうね。 いまから はなすことは わたしたちの ごせんぞさまの はなし。

かなしいことも おおいから こころして よんでください】


「…」


この前置きだけで続きを読みたくなくなってきた。しかしヤマトの意思が書かれている筈だから避けて通れない。お茶を一口飲み喉を潤し再度読み出す。


書かれていた歴史は私達が調べた内容と同じで、次にヤマトの民が移り住んだ世界の事が書かれている。ヤマトの民は新しい世界で迫害など受けず順応し幸せに暮らしている。そして歴代の贄になった娘は養父母や他のヤマトの民に愛され、不自由することなく幸せに暮らしている事が書かれていた。それを聞いた父様が安堵の表情を浮かべる。

そして驚く事にヤマトの民はボルディン家の対し恨みは無く、早く神の許しが得られる事を願っていると書かれていた。


「と言う事はヤマトの民の呪いでは無いという事か」


ジン様がそう呟き唖然とする。この文から推察するにボルディン王家が神の怒りを買い、罰として病が発症したようだと言うと、両殿下の顔色が更に無くなり倒れないか心配になる。

やっと病の発症の原因は分かったが、何故癒すためにヤマトの乙女が遣わされるのかが未だ分からない。疑問に思っていたら父様が続きを読むように促す。


「…」


乙女が遣わされる理由を知り、改めてヤマトの民の慈悲深さを知り、自分がその民の血を引いている事を誇りに思う。


ヤマトの民が移り住んだ世界は、文化や技術がこの世界より進んだ世界。便利な世界だが厄介な病も多く、そのため医学が進歩し治せない病が少ない。則ちヤマトの住む世界は病に耐性があり自己治癒力が高い。

本来戒めるためにボルディン王家に病を齎した神だったが、病を患った子を持つ王妃(母親)が祈りを捧げ子供を助けて欲しいと懇願した。神はその祈りを受け慈悲を与える事とし、異世界移転してからも故郷を憂うヤマトの民の想いを受けヤマトの娘を渡らせる事した。何故ならヤマトの民の血は病に耐性があり、罹った者の薬となり病を治す事が出来るからだ。


そしてヤマトの民は神の神託を聞き入れ、ヤマトの娘を故郷の地へ送る事にした。そして神は慈悲をかけるだけでなく、罪を忘れぬようにバンディス家の娘を贄にした。こうして漆黒の乙女の召喚の儀が始まったのである。


漆黒の乙女と血の病は全て解明されたが皆さんの表情は複雑だ。翻訳した文はまだ残っているが、真相が分かり気が抜けた私は甘いお茶で一息つく。すると父様は翻訳文を手に取り読み、眉間の皺を深め私を抱き寄せた。そして


「ミーナがこちらに来た時から愛おしく思い、それは幼子故の庇護欲なのだと思っていた。しかしそれはジョルノの想いからなのだと分かったよ」

「?」


父様の言葉の意味が分からず父様の顔を見ていたら、ジン様が翻訳した紙を取り読み…


「ミーナ嬢はハナの血をひく娘だった。だからザイラも漆黒の乙女に心惹かれ求めてしまうのだ」

「ハナの…」


翻訳した文にはまだ続きがあり、私の血筋について書かれていた。私はどうやらヤマトの一族の長の直系でハナの子孫にあたる。そのハナは離れてもなおジョルノを愛し、もし祖国に有事があり手助けできる事があれば、手を差し伸べて欲しいと遺言に残した。そしてハナが亡き後、ヤマトの民はその遺言を守り代々ハナの血を引く娘をボルディンに送っていたのだ。唖然とする私にジン様が


「やはりハナの血を引くミーナ嬢が、この呪いを解くカギとなる様だ」

「わっ私が⁈」


そんな事を言われても少し前まで自分の出生すら知らなかったのに、呪いを解く方法なんて知る訳がない。皆の期待の眼差しに嫌な汗が滲む。そして…


「失礼致します」


誰かが部屋に来たようだ。ジン様が応対すると許可なく人が沢山入って来て…


「皆さま。登城の命が下った為、同行願います」


声の主に目をやると近衛隊が数名いた。どうやら今日の集まりが陛下の耳に入ったようだ。ジン様と父様が対応するが、罪人の様に強制的に馬車に乗せられ登城する事になってしまった。

お読みいただき、ありがとうございます。

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