表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
80/102

第3者

果たしてジン(教会)は真相を話してくれるのだろうか…

「お嬢様。そろそろご起床くださいませ」

「う…ん…」


眩しくて目を開けると侍女のアンが天蓋を開けていた。ベッドサイドの時計を見ると既に日が昇っている時間だ。昨晩寝るのが遅く起きるのが辛い。でも今日はジン様に会いに行く日でのんびりしている場合ではない。

すぐに身支をし食堂に向かうと父様が新聞を読んでいた。着席し朝食をいただくと父様が


「ザイラは本宅で書類の整理をさせている。最後の治療が終わるまで会わない方がいいだろう」

「そうですね…」

「?」


分かってはいるけど複雑だ。血の繋がりが無いと分かっても18年もの間弟だったのだ。数日で関係性を変えれる訳も無く、会えないのはとても寂しい。さりとて会って愛情を向けられても困ってしまうのも本音だ。私の考えている事が分かったのか父様が


「全てを知りミーナが行き先を決め、その道を歩みだし幸せになればザイラも理解し、自分の行き先を見つけるだろう。今は()()()ちゃんと()に戻る時が来るさ」

「父様…」


ザイラの想いに応える事は出来ないが、姉として彼の幸せを心から願っている。数年経ったら【姉・弟】に戻れるのだろか… そんな複雑な気持ちのまま朝食を終え出かける準備をし教会へ向かう。


教会へ着くとルイス殿下の馬車とリアンド殿下の馬車が既に着いていた。馬車を降りるといつも案内をしてくれる神官が待っていて応接室に案内をしてくれる。父様と手を繋ぎ静かな廊下を歩きながら話をしていると、向かいからルイス殿下が走って来て、ご挨拶すると殿下が手を差し伸べた。躊躇すると父様が私の手をルイス殿下に差し出した。

以前とは違い隣を歩く殿下は圧が無く話し易くなった。他愛のない話をしていたら応接室からディック様が出てきた。目が合いご挨拶すると微笑みを返し応接室の扉を開けてくれた。

部屋に入るとジン様とリアンド殿下がいらっしゃり、皆が席に着くとジン様が部屋の扉を施錠した。


「あれ?ハワード様は?」

「彼は来ないよ」


ルイス殿下がそう言いお茶を飲んた。どうやらハワード様は病が治り婚約者との未来が決まった今、真相を知る必要はないと判断し今日の集まりを断ったそうだ。私はハワード様がこの病に捕われずご自分の行き先を決められた事に安堵し少し気が楽になった。ほっこりしていたら咳ばらいをしたジン様が


「儂も忙しい。皆さんはこのおいぼれに何を聞きたいのだ?」


するとリアンド殿下が"血の病"の真相を話して欲しいと言うと、ジン様は顎髭を撫でながら父様に視線を送る。父様が頷くと


「儂が知っているのは”血の病”と”漆黒の乙女”の歴史のみじゃ。ボルディン王家とバンディス家の内情は儂は詳しくないし語る立場にない。そこは各々に聞きなさい」


そう言い外に控える神官に何かを指示し病いついて語りだした。ジン様が話した内容はリアンド殿下の書斎にある文献で読んだ事が殆どで目新しい事は無かった。少しすると先ほど指示を受けた神官が分厚い本を持ってやってきた。本を受け取ったジン様は本を開き皆に視線を向け


「色々調べていたミーナ嬢やリアンド殿下、そしてディック殿には知っている話が多いと思うが、事の始まりから話す故、最後まで聞いて欲しい」

「へ?」


リアンド殿下と私は分かるけどディック様も調べていたの? 驚いてディック様を見るとウインクされた。動揺している間にジン様の話はどんどん進んでいく。初めて聞くルイス殿下は身を乗り出し食い入るように話を聞き、ヤマト侵略の話になると青い顔をしてソファーに沈み込んだ。


そりゃそうだろう。今までボルディンは歴史も古く他国から一目置かれ、国力はこの世界の国の中でも5指に入る程だ。その血筋が過去に意に添わない一族を弾圧し、その上その末裔に酷い仕打ちをした来たのだからショックは大きいだろう。話しを聞いたルイス殿下が小さな声で


「ではこの病はヤマトの民の呪いなのか?」

「定かでは無いが教会もバンディス侯爵、そして陛下もそう考えおる」

「…」


ルイス殿下は唇を噛みしめて私を見て俯いてしまった。歴史から推察するにヤマトを迫害した後にこの病が発症しているのだから、ヤマトの民の呪いだと思うのが普通だろう。

どんどん部屋の空気が重く冷たくなっていく中ディック様が


「引き裂かれてバンディス家の嫡男とヤマトの娘。その二人の想いを叶えてやれば呪いは解けるのではないでしょうか」

「!」


ジョルノとハナ、ユーリとアイーナの話を聞いたディック様がそう考えたようだ。もしそうなら…


『私とザイラが結ばれるって事⁈』


唐突な話に頭が真っ白になり、思わず父様を見ると顔色が良くない。ディック様は続けてユーリとアイーナの話をし、愛する者同士が引き裂かれた呪いだと力説する。しかしジョルノとハナはボルディン家の横恋慕は無かった。ヤマトの領地が欲しいボルディン家が攻め入った事が原因だ。


『ディック様の説は間違いでは無いが、決定打ではない気がする』


それにユーリとアイーナの事を恐らくジン様は知っているが、陛下の許可が無い今は詳しく話す事ができず、かなり希釈して話している。今でも顔色の悪いルイス殿下が真実を知ったら卒倒するのではないかと心配になってきた。恐らくディック様も知れば安易にそんな事は言えないだろう。

部屋の温度がどんどん下がっていく中ジン様の話は終わる。


「教会が知り得る事は話した。質問はあるかね?」


するとリアンド殿下が静かに話し出した。何故かいつも温厚なリアンド殿下に不気味さを感じる。何と言うか怒りを内に秘めている様で怖い。


「教会が出来たのはボルディン王国建国後だと聞いております。建国前の事とはいえ非道な事をした王家に対し、神の教えを説く教会側は何もしてこなかったですか」


あくまで第3者的な立場を主張する教会に怒りをぶつけるリアンド殿下。確かに当事者では無いが召喚の儀式や治療を教会が担っている。それにジン様は国内で唯一陛下に意見できる立場にある。もっと早くこの状況を改善で来たのではないか。


まだショックを受けているルイス殿下と、いまいち全容が分かっていないディック様はリアンド殿下の発言の意図が分からない様だ。更に重くなる部屋の空気に窒息寸前の私。すると父様が休憩を挟む事を提案してくれた。すると無言でリアンド殿下が退室し、ディック様がリアンド殿下の後を追い退室した。まだショックから立ち直れないルイス殿下が心配で、部屋に入ってきた神官にお水を頼むと、父様がジン様と一緒に部屋を出て行った。


ある程度険悪になる事は想定していたが辛い。取りあえずルイス殿下が心配で付き添う事にした。

お読みいただき、ありがとうございます。

続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。


『いいねで応援』もポチしてもらえると嬉しいです。


Twitter始めました。#神月いろは です。主にアップ情報だけですがよければ覗いて下さい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ