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78.執着

突然のザイラの登場に驚きを隠せないミーナ。それに対し父は…

慌てて父様を見ると真っ赤な顔をして怒りを露わにしている。同席している両殿下も戸惑っているのが分かった。どうする事も出来ず固まっていると、父様が立ち上がり両殿下に一言断り退室をした。会話の内容は聞こえないが父様とザイラが言い争いをしているのが聞こえてくる。前に座る殿下達はばつが悪そうで私も居た堪れない。


困っていたらリアンド殿下が話題を変えてくれ


「最後の治療をお受け下さるとお聞きました。貴女の慈悲に感謝申し上げます」


するとリアンド殿下に続いてルイス殿下も謝辞を述べられ、ルイス殿下は私の手を取り病から解放される喜びを語った。事実を知った時には治療を拒否しようと思った事もあったけど、病から解放され喜ぶ彼らを見て思いとどまってよかったと思った。


「この指ですか?」


手を握っていたルイス殿下が左手の指先をマジマジ見ながらそう言った。そして労わる様に両手を包み込み改めて謝罪と感謝を述べられる。何故彼がそんな事を言ったのがその時は理解できなかったが、後で自分の指先を見ると、いつも針を刺す指の先の皮膚の色が変わり硬くなっていた。そこだけ見たら木こりのファブの手の様だ。

恐らく彼らも治療の度に体にメスを入れて、きっと同じ様に痕が残っているだろう。お互い先祖が犯した過ちで辛い目に合ってきた。そんな殿下達に私は仲間意識を持ち始めていた。


「大変失礼いたしました」


そう言い父様が戻ってきた。隣に座った父様に視線を送ると眉間の皺を深め首を振った。これは"今は聞くな"だ。視線を殿下に戻し会話に交わり話題を変えた。そして暫く他愛もない話をした後に、父様が殿下達を夕食にお誘いし殿下達と食事を共する。

食事は楽しく再会するまでルイス殿下を警戒していたが、ルイス殿下は思いのほか穏やかで前の様な悲壮感?必死さが無く自然に話す事が出来る。これなら一緒に真実を受け止めれるかもしれない。そんな事を思いながら食事を終えた。

そして夜も更け殿下達はお帰りなるのでお見送りをすると、ルイス殿下が戸惑いながら私の手を握り


「私はずっと貴女を妃に()()()()()()考えて来なかった。今違う道があると知りとても困惑しているのです。貴女は愛らしく女性として魅力的で心惹かれる。しかし貴女との未来が自分の本当の望みなのか分からない」


ルイス殿下の瞳は揺らぎ困惑が見て取れた。正直に気持ちを伝えてくれる殿下に好感度が上がる。そして


「私たちは真実を知らされず色んなものを背負って来ました。私たちの人生はこれからです。知った上で行く道を探しても遅くはないと思いますよ」


そう言い殿下の手を握り返した。その様子をリアンド殿下が微笑ましく見ている。すると父様が遅くなると帰宅を促し殿下達はお帰りになった。馬車が暗闇に消えてゆくのを見送り、父様に肩を抱かれ屋敷に戻る。そして父様は私を書斎に連れて行き、ザイラの事を話し出した。


「未だミーナに執着するザイラを成人の儀まで会さない様にして来た。そしてミーナの帰宅の報を受け国内の各領地に視察に出していたザイラに、新たに王都から一番遠いアイバス男爵へ私の親書を預けさせた。()()()往復すれば最後の治療の日まで戻れない事を見通しての事だ」

「ならどうして帰って来たの?」


理由を聞きザイラの機転の良さと父様の甘さを痛感する。親書を預かったザイラは直ぐに王都のアカデミーに通う男爵の令息の元へ行き男爵の所在を確認。すると男爵は商談で王都の町屋敷に滞在している事が分かった。それを知ったザイラは王都の町屋敷に親書を届け帰って来たわけだ。父様は私の帰宅が決まり、ザイラと会せないために急ぎザイラを遠くにやろうとしたのだが、男爵の所在まで気が回らなかったようだ。自分の確認不足に気まずそうな父様。普段から卒が無い父様にしては珍しいミスだ。そして父様は咳ばらいをして


「ザイラは恐らく先祖返りで、ユーリの様に"漆黒の乙女"ヘの執着心が強い。もしお前もザイラに想いがあったとしても、2人は結ばれるべきではない」

「ザイラには悪いけど弟よ。そんな気持ちにはならないわ」


そう返事すると父様は安心したのか表情を緩めた。それよりユーリの日記が気になる。改めてユーリの日記を見たいとお願いするが父様は苦い顔をした。そして内容は教えてくれるが見せる事は出来ないと言う。でも自分の目で確認したくて食い下がると、父様は大きな溜息を吐いて


「日記にはユーリの想いが書かれ女性レディに見せれる内容では無い。それにボルディン王家を呪う言葉が続き、読むと暫く(精神を)病んでしまうぞ」


父様の言葉に身震いした。ユーリの闇深さに恐怖し、そのユーリに似ているザイラも怖いと思ってしまった。病みたくないけどユーリの日記とルイス殿下が持っているアイーナの日記が真実を知る鍵になるのは間違いないだろう。その後もザイラについて父様と話し込んでいると、置時計が鳴り日が変わった事を知らせた。今日はここまでにし部屋に戻る。明日はジン様の元へ行くが、全て話してくれるのだろうか。一抹の不安を抱きながら眠りについた。

お読みいただき、ありがとうございます。

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