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77.日記

やっと王都に戻ったミーナ。やはりあの人が町屋敷に来ていて…

「あと少しで町屋敷に着く。カーテンを閉めなさい」


父様に促されカーテンを閉めると、外から賑やかな音が聞こえてきた。日は傾き人や馬車が帰りを急ぐ音がする。車内もカーテンを閉め薄暗くなってきたが、ランプを着けるほどではない。

程なく町屋敷に到着し父様が先に下りると、執事が父様に耳打ちをした。すると苦い顔をした父様が執事に指示を出すと使用人達が慌ただしく荷下ろし始めた。私は馬車を降りると、何故か外套のまま部屋に連れていかれ、部屋で待機するように言われる。そして扉前には侯爵家うちの騎士がいて物々しいく不安が芽を出た。そして部屋を見渡すと


『あ…だからか…』


部屋中に花が飾られ隅には沢山のプレゼントが置いてある。この時点でルイス殿下の訪問に気付く。恐らく鉢合わせしない様に父様が配慮してくれたのだろう。むせかえる花の匂いに気持ち悪くなり部屋の窓を開け換気すると、リアンド殿下とルイス殿下が中庭で話しをしているのが見えた。いつも顔を合わすと喧嘩になるのに今日は()()だ。とても珍しく上から眺めていると、私に気付いたルイス殿下が手を振った。

ルイス殿下の表情はとても穏やかで素直に手を振り返し2人を見ていた。すると父様が入って来て開口一番


「ルイス殿下がお見えでミーナに会いたいそうだ。どうする?」

「みたいですね。部屋の窓からいらっしゃるのが見えました。例の件でいらしたのですか?」

「…」


せっかくいい感じに思っていたのに嫌な予感がして来た。落ち着かせる為に深呼吸してから話を聞く。殿下は私が王都に戻ってくると聞き、会うために先触れも無く押しかけたそうだ。しかし先に到着していたリアンド殿下から()()()を聞き、ルイス殿下も真実を知りたいと仰り面会を求めたそうだ。


「ルイス殿下は陛下から何も聞かされていないの?」

「病状と治療に関する事だけでリアンド殿下程詳しくはない」


ご自分の病なのに知ろうとしなかった事に驚きを隠せない。すると父様は再度会うか聞いたので、リアンド殿下と父様が同席してくれるならお会いすると答えた。父様は侍女に何かを指示し、私の手を取り応接室へ。入室するとルイス殿下がリアンド殿下に詰め寄っていて


『喧嘩勃発!』


慌てて止めようするが様子がおかしい。ルイス殿下はリアンド殿下に"血の病"について色々質問をしていた。少し興奮気味のルイス殿下を見て私が早とちりをしたようだ。ルイス殿下の圧に押されっぱなしのリアンド殿下が私に気付き立ち上がり、遅れて気付いたルイス殿下も立上りご挨拶をいただく。そして着席するとリアンド殿下が


「ルイス殿下と話し合い、明日教会に赴きジン殿に会う事にしました。その際にミーナ嬢に同行いただきジン殿を説得するためにご協力願いたい」


リアンド殿下とルイス殿下がまともな話し合いができた事に感動。でも同行については父様の許可が必要な気がして父様に視線を向けた。父様は自分で決めるように言ってくれたので、両殿下の申出をお受けする事にした。そして和やかな雰囲気の中、他愛もない話をしていたらルイス殿下が


「私も幼い頃にこの病に興味を持ち調べようとしたのです。しかし陛下がそれを許してくれず、手元から資料や文献を取り上げたのです。何度も試みましたが叶わず、その内に大人になれば知る事が出来るのならそれでいいと思うようになり…」


ルイス殿下の話しでは陛下はルイス殿下を"血の病"から遠ざける様にし、病を治してくれる乙女の存在を明かし、ゆくゆくは国に安寧の為にその乙女を娶る様に言い聞かせていた。ルイス殿下はリアンド殿下への劣等感も相まって、立派な王となる為にその乙女を娶る事に固執して行ったのだ。


『陛下は意図して私に固執させ、ルイス殿下を"血の病"から遠ざけたんだ』


ルイス殿下の言葉に陛下への不信感が増すとともに、陛下が真実を明かしてくれるのか不安になってきた。思わず隣に座る父様の手を握ると


「陛下が二つ返事で真実を話す事は無いでしょう。何故ならそれはボルディン王国の闇。だがこの不幸を後世に残してはならない。私の愛する娘や家族をこの悲しみの連鎖から解放してやりたい」


そう言い私の頭を撫でた。その言葉を聞き両殿下は表情を曇らす。少しの沈黙の後、思い出したようにルイス殿下が私を見ながら何か言いたげだ。そして


「ミーナ嬢には不快な話ではあるのだが、重要な気がしたので話そう」


そう言い座り直し私と初めて会った日の事を話し出した。私と初めて会ったのが舞踏会。その日の遅くに陛下に呼ばれたルイス殿下は陛下からある物を渡される。それは…


「アイリーン嬢の日記⁈ そんな物が残されていたのか!」


父様は立上り鬼気迫る勢いでルイス殿下に詰め寄る。そしてルイス殿下に()()を読んだのかと聞くと、ルイス殿下は戸惑いなからまだ読んでいないと答えた。その返答に父様は力なくソファーに座った。そして私の顔を見た父様は深呼吸をし私に向って


「我が家には当主が受け継いでいるユーリの日記があるんだ」


私達の病の原因となった二人の日記が残されていると聞き動揺する私。恐らく陛下が話してくれなかったとしても、この日記を読めば大方の事が分かるかもしれない。血の病を調べてきたリアンド殿下は期待と不安に複雑な表情をし、ルイス殿下は必死で何が起きているのか考えているようだ。沈黙が続く応接室の扉を誰かが叩いた。


父様が返事をすると…


「父上、ザイラにございます。殿下がお見えだとお聞きしご挨拶を致したく…」

「ザイラ⁈」


確かザイラが居ては話ができないと父様が、辺境伯の元へ視察に向かわせたはず。何故ここにいるの?

お読みいただき、ありがとうございます。

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