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6.再会

父と喧嘩し気不味いまま治療の日となり…

夜が明けて暫くしたら侍女が部屋に来た。部屋に入るなり固まる侍女のアン。なぜかと言うと全て終わっているからだ。

私は湯浴みし着替えを終えベッドメイクまで終わっている。


「お嬢様?」

「早く目覚めたから自分でしたの」

「…」


アンは明らかに困惑している。

当たり前だが普通の貴族令嬢は身の回りの事などは侍女に任せる。しかしこの森の奥の別邸で育った私は令嬢らしくなく身の回りの事は自分でする。しかし掃除や片付け洗濯などは使用人に任せていた。


『これからは自分で掃除や洗濯は出来る様にならないと。だって1年後は外国で平民になるんだから!でないとナーシャのお荷物になっちゃう』


今日から平民になった時の為に父様に気付かれない様に準備をしていくつもりだ。まだ夜が明けたばかりで誰も来ないからベッドメイクもやってみた。こっそり廊下を出て階段を下の倉庫に入りシーツを取って部屋に戻り早速交換する。慣れないから時間がかかったが結構上手にできた。


アンは戸惑いながら部屋を見渡しベッド近寄る。心の中で初めてにしては上手に出来たと自画自賛中!

するとアンさん溜息を吐いて申し訳なさそうに


「お嬢様…頑張られたようですが…」

「うん!頑張った」

「シーツが逆さまです」

「へ?」


蚊の鳴く様な声で“失礼致します”と言い、シーツを取り敷き直した。知らなかったシーツに裏と表があるなんて…

あっという間に皺一つなく綺麗なベッドメイクをしたアンに感激し


「これから自分でも出来る様になりたいから、色々教えて欲しいの」

「お嬢様には必要ないかと…」


困った顔をしたアンはじっと私を見てくる。上手く誤魔化さないと!


「使用人の皆さんのお仕事面白そうだからやってみたくて…趣味!そう趣味よ」

「趣味?でございますか?」


支離滅裂な言い訳をしてアンを無理やり納得させた。父様にバレたら止められるから内緒にして欲しいとアンにお願いする。


「お願い!父様にバレてもアンの事は絶対言わないし守るから信じて!」 


困った顔をしていたけど了承してくれ家事の先生が出来た。

平民生活に一歩踏み出しテンションが上がる。機嫌のいい私にアンが


「それよりお嬢様。今日は教会に行く日でございます。朝食は如何なさいますか?」

「昨晩夜食に置いてくれていたサンドイッチを食べたから要らないわ。出発時刻にはエントランスに行くからそれまでは一人にして欲しいの。父様にダイニングには行かないと伝えておいて」

「畏まりました」


さて…教会に治療に行った後に王都の本屋と部屋に籠る為にパン屋によってパンを買っておこう。巾着に皮袋に入れた金貨とハンカチ、それにメモ帳とペンを入れて準備OK!時間まで本を読んでいたらヴォルフが来た。


「ミーナお嬢様。旦那様がお呼びでございます」

「話す事は無いわ。出発時間になったらちゃんとエントランスに行きます」

「しかし…」

「ヴォルフ察して…話し合うのは今じゃないわ。今話しても感情的になるだけだから時間が欲しいの」

「・・・畏まりました。旦那様には私から話し致します」

「ありがとう」


こうして出発時間まで自室でのんびりして、時間になりエントランスに向かう。

エントランスには…父様とヴォルフそれに騎士のテッドがいた。


「ミーナ。お前の希望通り誰も付き添わない。が!どこに行くにも必ず騎士を伴いなさい」

「化粧室にもですか!」


まだ拗ねている私は悪態をついてみる。


「お嬢様!今のは冗談でも良くない。旦那様に謝って下さい!」


声を荒げた事のないヴォルフの大きな声に身が竦んだ。確かに悪ふざけが過ぎたと父様に謝ると


「そんな事はどうでもいい。自分の身を大切にしなさい」

「はい」


出発時間になり騎士のテッドのエスコートで馬車に乗車し教会に向かう。窓から見えた父様は悲しそうに見えた。少し言い過ぎたかもしれない。でも私はもう子供ではない。独り立ちしないと…一応父様とヴォルフに手を振り馬車は出発する。

暫く窓の外を見ていた。ふとまたあの痛みを受けると思うと気分テンションが急降下していたら、急に大神官のジン様の言葉を思い出した。


“あの方に治療に”


ジン様がポロリしたあの方って誰?私の血が誰かの治療に使われている?


『そんな訳ないか。病気の私の血を使ったらその人も病気になちゃう』


明確な理由は無いけどあまり考えない方がいい気がして無理やり他の事を考える。


今日を含めて後8回で治療が終わる。幼い頃は嫌でよく屋根裏や馬小屋に隠れたけど、何故か必ず父様に見つけ出され抱きかかえられて馬車で教会に行った。


『教会に一人で行くのは初めてかも…』


ふと向かいの席を見て父様がいない席に寂しさが増す。

家出して家族と訣別するつもりなのに、父様にはちゃんと愛情があるらしい。複雑な感情に支配され情緒不安定になってきた時に馬車が停まった。どうやら教会についたようだ。

扉が開きテッドが手を差し伸べてくれる。見た事のない神官さんが出迎えてくれジン様がいる治療室まで移動する。いつもは付き添いはしないのに、今日はテッドが何故か治療室までついて来る。


「教会内だし一人で大丈夫だよ」

「旦那様からひと時も目を離すなと言われております」


真面目なテッドに何を言っても無駄そうだ。溜息を吐き諦める。

気がつくと前を歩く神官はいつもと違うルートを歩く。知らない通路に嫌な予感がする。いつも教会内に来ないテッドは気付いていない。すると反対側から男性が歩いて来た。


「ミーナ嬢!」

『だれ?』


声をかけて来た男性は凄い美形で女性と言って分からないくらいだ。

『あれ?会ったことある?』


知らない人が来て警戒した筈のテッドか何故か固まっている。男性が目の前に来たら何故か前にいた神官が横にずれた。

男性は目の前に来て胸に手を当てて綺麗な礼をする。所作の感じから高位貴族なのが分かる。


「またお会いできて光栄でございます。先日の無礼を謝罪をさせていただきたい」

「えっと…どこで…あっ!歪みの森にいた人!」

「はい。嬉しいです。覚えていてくださって」


そう言い微笑んだ目の前の男性は数日前に“歪みの森”で注意喚起した男性だ。森は薄暗くはっきり分からなかったが、明るい所で見ると今まで会った中で一番の美形だ。暫定1位のディーン残念でした。


男性は私の手を取り手の甲に口付け微笑み


「リアム・マディスと言いリーガル公爵家の遠縁にあたります。お見知り置きを」

「ご挨拶ありがとうございます。バンディス侯爵家ミーナと申します。リアム様。何故あの日“歪みの森”にいらしたのですか」

「噂の森を見てみたく…いえ、貴女に会いたくて」

「私に?私は社交界デビューもしていないのに⁈」


美形だけど笑うと親しみやすい人だ。でもよく見たらこの国の人にしては変わった色をされている。異国の血が入っているのだろうか⁈

リアム様は金髪だが少しくすんでいて、瞳はブルーだがどちらかのブルーグレーだ。

そんな事を考えながらずっとリアムの顔を見ていたら頬を染めたリアム様が


「ミーナ嬢。そんなに見つめられると勘違いしてしまいます」

「へ?ちっ違います!変わったお色をしておいでなので、ご身内に異国の方がいらっしゃるのかと思いまして…」


リアム様は異国の血が混ざっていると話され、高貴な血筋故に光栄だと話す。外国の王族と血縁なのかもしれない。


「私よりミーナ嬢の“色”の方が美しい…」

「ん、私が?リアム様は目を患われているのね。こんな不気味な色を綺麗だなんて」

「はぁ…貴女はご自分の美しさをご存じない」

「?」


どうやら私が思っていたのと世間の評価は違った様で、不気味で嫌いだったこの“漆黒”は美しいそうだ。社交界では私は“闇夜の姫”と呼ばれているらしい。その事実に驚愕していたら、リアム様がぐっと身を寄せた。流石にテッドが私とリアム様の間に入り警戒し


「リ…リアム様。近うございます。紳士の振る舞いを…」

「騎士殿申し訳ない。ミーナ様の美しさについ…」


すると廊下の向こうからいつもの神官が走って来た。するとリアム様は私の手を取り口付けて


「またお会いしましょ!」

「えっ?あっはい」


リアム様は踵を返し颯爽と去っていった。気がつくと初めに迎えに来た神官は姿を消していた。

付き添いのテッドは険しい顔をしている。

意味が分からな過ぎてポカンだ!

再度ジン様の元に向かいながら、意地を張らず父様と来れば良かったと後悔した。父様と一緒ならこんな事にはならなかったのに…


いつもの神官さんが手違いが有ったと謝罪し、やっとジン様が待つ治療室に着いた。ジン様は大神官で忙しい。リアム様に会っていた事で時間が押しているらしく、気持ちの準備なくジン様に指を取られる針で刺される。


『うぇ〜ん!今日はいつもに増し痛い!』


「頑張りましたね。さぁ…控室にケーキを用意さましたよ。ゆっくり休んでお帰り下さい」

「はい。ありがとうございました」


今度はいつもの神官さんといつものルートで控室に向かい休憩します。

部屋に入ると直ぐに神官見習いさんがお茶とケーキを持って来てくれる。今日は扉の外にテッドが居て情報収集に行けそうに無い。

今日は諦めてゆっくりお茶する。


「お嬢様。お時間です。よろしいでしょうか?」

「はい」


帰る時間になりテッドが声をかけてくれ、テッドにエスコートされ馬車に向かう。


「帰り本屋とパン屋に寄ってね」

「旦那様から真っ直ぐ帰る様に言われております」

「絶対!寄ってね!」

「ですが!」

「ちゃんとフードを被り、時間はかけないから!お願い」


暫く考えたテッドは騎士を同伴する事で了承をしてくれた。街の本屋に向かう馬車の中でリアム様の事を思い出していた。

人見知りする私が緊張しなかった。きっとリアム様は人たらしいの才があるのだろう。

そんな事を考えていたら直ぐに本屋に着いた。下車すると反対側にさっき教会で会ったリアム様がお付きと一緒に歩いている。

テッドが警戒し私の前に立ち視界が無くなる。少し横にズレてリアム様を見ると、彼は気付いて無い…ん?


左手に包帯をしている。さっき会った時はしていなかった。

『そっか!彼も教会に治療に来ていたんだ』


「お嬢様。お早く!」

「あっごめん。欲しい本は決まってるから直ぐ済むわ」


こうしてテッドに急かされ本とパンを買い求め馬車に乗り屋敷に帰る。


『はぁ…もう少しゆっくり見て回りたかったなぁ…』


馬車から賑やかな街を眺めながら屋敷に戻った。

お読みいただき、ありがとうございます。

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