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52.治療拒否

やっと真実に近づいたがまだまだ疑問ばかりで

父様が来てくれた…嬉しい反面複雑な気持ちだ。だって私が治療を拒めはリアンド殿下とルイス殿下の治療が中断されてしまう。


「殿下達の治療の為に私のところに…」


今の私は穿った考えをしてしまい素直に喜べずにいると


「侯爵様を庇うわけでは無く第三者である私の見解です。たとえ血の繋がりがなくとも、確かに侯爵様は貴女を娘として愛しておいでですよ」

「ごめんなさい。衝撃的な事があったばかりでまだ…」


本当に疑心暗鬼で助けてくれたキーファ様に対しても、リアンド殿下の治療の為に優しくしてくれているんじゃ無いかと考えてしまう。何も言わずに優しく見守ってくれているキーファ様に


「私は今嫌な子で皆さんの優しや好意を素直に受け止めれません。だからもしかしたら次の治療の日はまた逃げるかもしれません。そうしたら私を軟禁しますか?」


一瞬驚いた顔をしたキーファ様は胸元から手紙を取り出し差し出した。受け取るのを少し躊躇しているとキーファ様は手紙をテーブルに置いた。そして立ち上がり


「ミーナ嬢には時間が必要なのは理解しております。慌てなくていいのです。気が向けばこの手紙を読んで差し上げて下さい」

「もしかして…」

「ご察しの通りです。ミーナ嬢これは嘘偽り無い殿下のお気持ちです」


そう手紙はリアンド殿下からだ。手紙を見つめていたら、キーファ様がバーバラさんに何か指示して退室して行った。

そしてバーバラさんは私に湯浴みを勧める。そして湯浴と食事をしてやっと一息つき、椅子を窓際に置いてぼんやり景色を見て過ごした。そしてこの日は何もせず誰も話さずそのまま就寝する。結局何もする気にならず、やっと人らしい生活をしたのは2日後だった。


朝、目覚めて窓を開けて潮風をいっぱい吸い込むと力が漲ってくる。


「やっぱり大地の恵みかなぁ…」


実は昨晩まだ気力ない私にルチアさんが


『これは庭師のトムが今朝収穫した芋を料理長がケーキにしました。トムは陽を沢山浴びた野菜がきっとお嬢様を元気にすると言い沢山の芋の中から選んだのです。トムは今は花壇の花よりお嬢様を元気にする為に野菜を優先で世話してるんですよ』


その言葉から屋敷の皆さんの優しさが心に届き響いたのだ。そして翌朝


「お嬢様。ご起床でございますか?」

「おはようバーバラさん!朝食まで時間があればに庭を散歩したいの」

「畏まりした。エミリオをお付けくださいね」


こうして6日ぶりに外に出る。迎えに来たエミリオさんは何故か涙目。そっか倒れた時に駆けつけてくれたのがエミリオさんだった。


「エミリオさん。色々ありがとう」

「お元気になられ良かったです」


私のペースに合わせてくれるエミリオさんと運動不足解消のために庭をぐるっと一周する事にした。そして畑に出たら庭師のトムと料理長?が畑で話し込んでいた。元気をくれたお2人にお礼を言いたくて駆け寄ると驚かれる。


「お2人のお陰で元気になりました。散歩してお腹を空かせたので朝食が楽しみです」

「やっぱりお嬢様さんは笑顔がいい。今料理長とサラダに載せるトマムをどちらにするか相談していたのです。ご自分でお選びになりますか?」


トムさんがそう言い畑を指差す。大きく真っ赤なトマムと小さく可愛いトマムが並んでなっている。2人は私に選ばせてくれ、小さいトマムを選び収穫を手伝う。嬉しくて沢山取り過ぎ焦っていると、お昼にソースにしてお肉料理にしてくれるそうだ。

こうして楽しく朝の散歩を堪能し部屋に戻り、朝食をいただき心もお腹も満たされる。そして食後ソファーでのんびりしながら


『このままじゃ…だめよね』


自分でも現実から目を逸らしても解決しないのは分かっている。辛くても知らなきゃ答えを出せない。だから


ベッドサイドのチェストからリアンド殿下の手紙を取り出し、ソファーに座り目の前に手紙を置く。でもやっぱりそんなに簡単に割り切れるものでも無く、暫く手紙と睨めっこしていた。そしてどの位経ったのだろう。意を決して開封し手紙を読み出す。


流石王族だけあり手紙からも品を感じる。そして本題に入り


『聡明な貴女ならあの本から真実に辿り着き、ショックを受けているだろう』


殿下の手紙には私を気遣う言葉と謝罪が並ぶ。そしてもう治療を受けなくていいと書かれていた。


「でも殿下は…」


『私は生まれて直ぐに高熱と呼吸困難で、5日も生きれないと医師に宣告されるも、母の祈りと医師の懸命な治療のにより生還した。しかしそれからも生死を彷徨う病に何度もかかり死にかけた。そして皆が1歳を迎えられないと諦めかけて時、母の祈りが神に届き貴女が来てくれたのだ』


そして殿下は私の血を受け病に罹らなくなり、5歳を迎える頃には普通の子供と変わらないくらい元気になった。


『病気に罹らなくなり立派な王になる為に体を鍛え帝王学を学び病の事など忘れていった。そして体が丈夫になるにつれ、治療回数が週2から2週に一度まで減っていった』


そういえば幼い頃は週2で傷が治ったと思うと、直ぐ次の治療でいつも指先に傷を負っていた。


『そして8歳になったある日。治療(痛いの)が嫌で逃げ出したのだ。教会の大きな木に登り身を隠していたら、綺麗な黒髪の女子が手に包帯を巻いて泣きながら教会から出て来た。その時はまだこの病の事を知らされておらず、私と同じ病で可哀想だと思い親近感を持って見ていた。そして…』

「あちゃー。そんな事があったんだ」


殿下はその日夜遅くまで隠れ治療を受けなかった。そして…


『治療を受けず数日後に見事に嘔吐と下痢をし寝込んだ。そして急遽教会に連れて行かれ治療を受ける事になった。そして数日後に見事に回復しジン殿から治療の重要さを説明され、それからは治療は必ず受ける様になったよ』

「そうだ。思い出した!」


確かにそのくらいの時に1度だけ予定にない治療を受ける事になり、泣いて嫌がって”いつもと違う!”と訴えた事があった。あれはリアンド殿下が治療をぶっちして急遽輸血したんだ。

私は自分の痛みしか頭に無かったけど、輸血される殿下達も当たり前だが痛かったんだ。


『私だけが痛い思いをしたと思っていたけどそうじゃないんだ…』


今まで気づかなかった事に気付きはっとした。そして殿下は最後にこうつづっている。


『貴女のお陰で成人を迎えられた。治療をしなくても十分だ。妃を迎え世継ぎを儲け血筋を残せる位は生きれるだろう。貴女に生かされて幸せだったよ。だから貴女は背負った荷を下ろし自分の人生を歩むといい。だが恐らくルイス殿下やボルディン側は全力で貴女を囲い込むだろう。だからロダンダが全力で貴女の味方をすると約束しよう。貴女が望むなら他国へ渡る手助けをし、新たな身分と生活を用意しよう。もしその気があるならキーファに伝えて欲しい』


てっきりリアンド殿下も婚姻を望み口説いて来ると思っていたから拍子抜けだ。なんとも言えない気持ちになりながら、手紙を戻しお茶を飲みまた窓辺に行くと、門扉に馬車が停まっている。遠目だがボルディン王家の馬車だ。

バルデスさんの話では私が引きこもっている間も何度か訪ねて来て、お断りすると暫く門前で屋敷のは様子を窺い帰って行くそうだ。

苦笑いしながらふと自分の手が目に入る。


『私の”血”は他の人とは違うの?』


リアンド殿下が治療を1回受けなかっただけで直ぐ病気になったと書いてあった。私って何者なの?


お読みいただき、ありがとうございます。

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