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49.実姉

やっと父の手紙を読む決心がついて…

読むと決めたが中々開封できないでいる。すると気を利かせたルチアさんがポットに入ったお茶と茶菓子をサイドテーブルに用意し静かに退室して行った。ここの屋敷の使用人もうちの別宅のように気さくだが心配り出来る人が多くとても居心地がいい。やっとやる気になり深呼吸し


「さぁ!まずはやっぱり父様から」


ペーパーナイフで開封し早速読み出すと、冒頭私の身を案ずる言葉がならび泣きそうになる。そして長い間真実を隠していた事を詫びていた。まだ困惑中の私は父様の謝罪の言葉を素直に受け止めれない。そして次の言葉に父様の苦悩がみて取れた。


『神託を受けお前を預かり王家の為とはいえ苦痛に涙し嫌がるお前を見るのが辛かった。しかし我が侯爵家は王家に忠誠を誓うボルディン貴族。拒む事は出来ない』


確かに私が拒めば唯一の王位継承者のルイス殿下の命が危ぶまれるのだ。父様が拒む事なんて出来る訳ない。でも18年間も森に隔離する必要があったのだろうか⁈10歳も超えれば体も丈夫になるし怪我もしなくなる。学校くらいは通えたのではないのか⁈


「森での生活は仕方ないとして、学校くらいは行きたかったし友達も欲しかったよ』


そんな事を考えてながら読んでいたら次の文が目に留まり固まってしまう。


「病の真相だけでも衝撃的なのにまだあるし。これ以上の事を聞いたら私ショック死するんじゃないの?」


そう父様の手紙の続きには私にまだ明かしていない出生の真相について書いてあった。もちろん母様ステラの子ではない事と本当の年齢は20歳である事。そして実姉がいる事が書いてあった。何とも言えない気持ちになり思わず手紙をテーブルに置き、カップにお茶を注ぎ窓まで行き海に沈む夕日を見ていた。


「本当は成人しているんだ」


何故歳を誤魔化す必要があったのかは書かれていなかった。これにもまだ何か理由わけがあるのだろう。


『今はいいや…聞ける精神状態ではないし』


溜息を吐いてお茶をゆっくり飲み静かな海を見いていた。

日が沈み部屋がどんどん薄暗くなっていく。私の心と同じだと思いながらランプに明かりを灯した。そして父様の手紙の続きを読む。


『ミーナが心配で今すぐにでも迎えに行きたい。だが恐らく今は誰の言葉もミーナの心に届かないだろう。一人で真実を受け止める時間が必要なのではないか?

リアンド殿下のご厚意でそちらの屋敷の滞在をお許しいただいた。そこに居れば会いたくない者から護ってもらえ、考える時間もとれるはずだ。気にせず好きなだけゆっくりすればいい』


リアンド殿下もボルディン王家の血筋故に”血の病”を患い、幼い頃から私の血を輸血されてきたんだ。そう思うとまた複雑でなんとも言えない気持ちになってくる。


「うわぁ…」


父様の手紙の一文に気分テンションが地の底まで落ちてしまった。その内容は1か月後の採血は必ず受けて欲しいと書かれていた。後3回の輸血で病に苦しむ未来ある若者を救えると書いてある。

つい先日まで自分の治療だと思っていたからあの痛みも我慢できたけど、他人の為にあの痛みを受けろと言われても素直に受ける気にはならない。


「何かこの世の終わりの様な気分だわ」


そう呟き父様の手紙をしまった。まだ手紙は3通あるが読む気力が無くソファーに寝転がる。そして暫く何も考えず薄暗い天井を見つめていた。すると誰かが部屋に来てノックする。返事をしたらバーバラさんで許可すると入室して来て


「ミーナ様?夕食はいかがなさいますか?」

「要らない…」

「召し上がらないとお体に障りますよ。軽食をこちらにお持ちいたしましょうか?」

「ありがとう。そうして下さい。あと、早めに寝みたいから湯浴みの準備をお願いします」


バーバラさんは返事をして部屋のランプを灯し退室して行った。今日は凄く疲れた…もう何も考えたくないから眠りたい。そして暫くしたらルチアさんが軽食を持って来てくれ、バーバラさんが湯浴みの準備ができたと知らせてくれる。重い体を引きずり浴室に向かい湯あみ後すぐにベッドに直行し寝み、怒涛の家出2日目を終えたのでした。


翌日から数日は気分の浮き沈みが激しく感情のコントロールができず、ただ何もせずに過ぎていった。そしてこちらにお世話になって4日目。やっと残りの手紙を読む気になり今日は手紙と対峙する。


「おはようございます。今日も食事はこちらになさいますか?」

「いえ。今日から食堂へ行きます。このまま引きこもっていてもね…色々ありがとございました」


バーバラさんにお礼を言うと微笑みを返してくれる。こうして少しだけど前向きになった私はエミリオさんに付き添ってもらい食後に散歩する事にした。

ここ数日引きこもっていたので散歩はとても気持ちいい。少し気分テンションが上がって来て、まだ見ていない屋敷の裏手に足を延ばす。するとそこは菜園があり庭師さんが野菜を育てていて、丁度昼食につかう野菜を収穫していた。


「あの…ご迷惑でなければお手伝いさせていただけませんか?」


急に声をかけ驚いた顔をした庭師さんは少し考えて、無言でポケットから手袋を差し出してくれた。彼は無口で何も言ってくれないが瞳はとても優しい。手袋を受取りはめたら庭師さんがハサミとカゴを渡してくれ、教えてもらいながら実った野菜を収穫する。無心で美味しそうな野菜を収穫し心穏やかになる。収穫が終わり手袋とハサミを庭師さんにお返しすると庭師さんはハニカミながら


「元気になられようございました。ここの野菜は陽を沢山浴び栄養満点です。きっとお嬢様の心も元気になりますよ」

「ありがとうございます。また手伝いに来ていいですか?」


庭師さんは頷いてくれ嬉しくて口元が緩む。後で聞いた話だが、こちらに来てから食欲がない私の為に、料理長と庭師さんが食材を相談し色々用意して下さっていたそうだ。

本当にこちらにお世話になってよかったと心から感謝した。そしてこの後の昼食は完食しバーバラさんが喜んでいた。

昼食後は栄養満点の野菜で少し元気になり、やっと残りの手紙を読む事にした。

先ずはジン様から。私の身の心配をし私が人を救って来た事に感謝をのべ、そして後3回の採血を受ける様に書いてあった。この言葉にやっと前向きになれたのにまた少し凹んでしまう。ジン様の立場上致し方ないのかもしれない。

またダメージを負わない様にジン様の手紙は直ぐに片づけ、気を取り直して幼馴染の手紙を読む。2人とも私の心配と頼って欲しかったと書かれていた。これについては少し申し訳なく思うけど、状況的に仕方ないし多分2人には今の私の気持は理解してもらえない。


「気持ちに整理がつくまではごめんね…」


2人に心の中で謝り手紙をなおし、またすぐに来る採血について考えていた。自分の治療では無いと知り、正直な気持ち受けたく無い。でも殿下達は受けないと治らないのも事実。

色んな思いが溢れ出て困惑していたら、書庫から借りて来てまだ読めてない本が目に留まる。


「そうだ。ちゃんと”血の病”を調べて知れば、このモヤモヤも晴れるかもしれない」


そう思い本を読み”血の病”を知る事から始める事にした。そして本を手に取るとある事に気付く。この本はボルディンで書かれた本で、もしかしてロダンダでも同じ様な本があるかも知れない。色んな見解を知りたくて書庫で探す事にした。

そしたら…


「やっぱりロダンダ版もあった!こうなったら徹底的に調べてやる!」


こうして数日部屋に籠り病を調べ出したのだ。


お読みいただき、ありがとうございます。

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