41.お年頃
親友の事情を聞き驚く事ばかりで…
「だからミーナは私達の事を気にせず自分の事を考えればいいよ」
「ありがとう。でも驚く事ばかりで困惑だよ」
そう言い苦笑いすると、ディーンが今後の事を聞きてきた。私は色々ありすぎて頭の整理に時間がいると告げると、2人は慌てなくていいと言ってくれた。2人の言葉に少し安心したらふと疑問が
「2人は私の事どこまで知っているの?」
「俺は”漆黒の乙女”でロダンダ、ボルディンの国王と同等からそれ以上の存在であると言われたよ」
「私もディーンと大体同じだけど、病のミーナが治療を拒まない様に精神的に支える様に命を受けたわ」
ロダンダもボルディンも国の安寧の為に乙女である私の健康が大切なんだ。だから父様は真実を知っても治療だけは最後まで受けろと言ったんだ。父様に言われた事を思い出していてまた疑問が
「父様は治療を終えたらどこに行ってもいいって言ってくれたの。でも教会も国王も国に留まって欲しいって。王家に忠誠を誓っている侯爵の父様が、そんな事言ったら国王に背く事になるんじゃないの⁈」
そう言うと2人共困惑した顔をして黙ってしまった。
「確かに王家に忠誠を誓う貴族なら王命は絶対だ」
「建前はそうだろうけど、おじ様の言った事は娘の想う親の本音でしょ?」
「「「…」」」
今まであまり深く考えた事なかったけど、父様の考えが全く分からない。
こんな精神状態で真実を冷静に聞く事ができるのだろうか⁈考えが纏まらず黙っていると
「数日後に治療でしょう?そんな精神状態で大丈夫なの?」
「うん…多分。あっ次は周期的に(血を)多く採る日だわ。調子が良くないと気分悪くなるのよね…」
そう不定期だけど年に1、2回いつもより多くとる時がある。今までのタイミングだったら次辺りが多く採るはず。いつもは1本の指から採るのに、多く採る日は2本刺され激痛なのだ。考えるだけで胃が痛くなってくる。
私とナーシャの話を黙って聞いていたディーンが
「接触禁止にっなったとは言え、求婚者がこれで引き下がるとは思えない。我が君も簡単に諦める方ではない。長年ミーナを想われ…」
そもそも求婚する理由が”漆黒の乙女”だからでは無い気がする。リアンド殿下は私と似た病みたいだし、ルイス殿下も私の病の事で何か知ってそうだし…
「あのね…父様が成人の儀の前に全て話してもいいと言ってくれたの。但しどんな衝撃的な内容でも、治療だけは最後まで受ける事が条件だって」
「それはミーナの体を心配して…」
「分かってる。でもそれだけじゃ無い気がして…」
2人に話しているうちに、父様が真実以外にも何か隠している様な気がして来た。不安になって来たら部屋に誰か来た。返事をすると
「姉上。ザイラです。ディーン殿とナーシャ嬢がお見えだとお聞きしたのでご挨拶を」
何も考えず入室許可を出すと2人は途端に険しい顔をする。そして不機嫌な顔をして入って来たザイラは、私元にきていつもの様に微笑みハグをして頬に口付けた。そして貴族らしくディーンに挨拶をし、ナーシャには手を取り他の令嬢にする様に手の甲に口付けた。そして2人に冷たい視線を送り
「もう夕刻です。私が戻ったので姉は私が守りますのでお帰りを」
「ちょっとザイラ!私の友人に失礼だわ」
すると苛立った口調で
「姉上はこの2人に騙されていたのですよ。親友のフリをして両殿下の命で友人を演じていただけだ」
そう言い2人に胸に手を当て頭を下げて
「お役目を終えられた偽物のご友人は領地にお帰りを。そして二度と姉に接触無きよう。忠告しましたぞ」
「ザイラ貴方ね!」
ナーシャがザイラに食ってかかるとディーンが制止し、真っ直ぐザイラを見据えて
「侯爵様からは何も聞いておりません。ザイラ様の発言は侯爵様のご意向でしょうか?そうであるなら私どもは従います」
「!」
「そうよ!2人の素性が分かっても私の友人よ」
ディーンは胸元から懐中時計を取り出し時間を確認してナーシャに視線を送り
「確かにお暇する時間になっておりました。我々はこの辺で失礼いたします」
そう言うザイラと私に礼をした。そして扉まで行き振り返り
「ミーナ。治療の日は同行するよ。また話をしよう」
「勿論私もね」
2人はいつもの様に笑ってくれる。そしてディーンはザイラに毅然とした態度で
「ザイラ殿。貴方はまだミーナの弟だ。嫉妬で全てを失わない様に想いは自重された方がいい。これは年長者からの助言です」
「つっ!」
帰る2人を見送ろうとしたらザイラに止められた。2人は見送りはいいと言い手を振り部屋を出て行った。私の代わりにメルに2人をお送りする様に言い、ザイラに注意しようとしたら抱きつかれた。ザイラは私より大きいのに幼い子の様に拗ねているのが分かる。
恐らく姉をとられた気がしてやきもちを妬いているのだろう。小さい頃にした様にハグをしてザイラの背をぽんぽんと軽く叩き宥める。
「父様の使いは終わったの?」
「…はぃ」
「じゃ!夕食は一緒ね」
そう言うと腕を緩め何度も頬に額に口付けるザイラ。少し前から姉にするスキンシップではなく、どうしたものかと悩んでいた。困っていたらルドルフが部屋に来て、入室許可を出すと入室するなり眉間の皺を深めた。そしてザイラに父様が呼んでいると言い執務室に向かうように告げる。舌打ちをしたザイラはルドルフを睨み執務室へ向かった。
「ザイラ様は領主の仕事を学ぶ忙しさと、お年頃で難しい時期でございます。ザイラ様と共になさる時は出来るだけ私をお呼び下さいませ」
「分かったわ。そう!難しいお年頃よねー」
「左様でございます」
「…」
忘れてたけどザイラにも思うところがあった。腹違いで血のつながりがある姉に恋愛感情なんて普通じゃない。それもお年頃なのだろう。ザイラの件も真実を知れば解決するよね…
考える事が多く心が追い付かずますます心が乱れていく。今日は頭が回りそうにないから、治療を終えてから考える事にし、夕食まで本を読み時間をつぶす。
暫くするとメルが夕食の準備ができたと知らせに来る。今日は皆在宅しているので、夕食はいつもより早い。
ダイニングルームに行くと母様とザイラが既に着席している。いつも通りのザイラ安心していたら父様が遅れて来た。
あまりにもいつも通りの家族団欒に違和感を感じ気味がわるい。そして食事を終えると父様が
「ミーナ。明日午後からイルハン殿の元へお礼に伺うからそのつもりで」
「はい」
するとザイラが身を乗り出し何か言おうとしたら、父様が手でザイラを制した。不機嫌に座り直したザイラに母様が
「ザイラは明日私がご招待受けたマーデラス公爵家のお茶会のエスコートをお願いね」
「申し訳ございません。明日は迷いの森の資料を纏めたいので…」
そう言い同伴を渋った。恐らく表向きはお茶会だがお見合いなのだろう。不快な顔をするザイラに父様が、母様に付き添うように言う。当主である父様の命に歯向かえる訳も無く、可哀想にザイラは明日お見合いをする事になった。相手は格上の公爵家だが、ウチは王家より”迷いの森”を任され公爵家に引けをとらない家柄である。高位貴族はウチと縁を持ちたいのだろう。
ザイラの成人は来年。いい令息とは早くに仮婚約しておきたいのだろう。
『侯爵家嫡男だから仕方ないわよね…』
ザイラはいい子だから気立のいいお嬢さんが嫁いでくれれば、ザイラも落ち着くだろうし私も安心だ。そんな事を考えながらダイニングルームを後にした。
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