32.フルーツケーキ
リアンドとお茶することになり、疑問をリアンドにぶつける事に…
殿下を見ていたら頬を染めた殿下が、ケーキをもっと用意させようと従僕を呼んだ。これ以上は食べれず断ると美しい微笑みを向けられ恥ずかしくなってくる。
そしてみずみずしいフルーツをいただきながら殿下の様子を見ていた。でもずっと見ているだけで何も話さない殿下。身分を隠した訳や妃に望む理由を話してくれると期待して応じたのに…
ロダンダに来てから困惑する事ばかりで、少しでも情報が欲しい。でもこのままだど殿下に愛でられて終わりそうなので、とりあえずリアンド殿下に疑問をぶつけてみる。
「ロダンダの王子が何故私を知っていて、私を妃に望むのですか?」
「それは貴女は救世主だから」
「救世主?」
「貴女が来なければ俺やルイスは生きれなかった」
「生きれない?」
また訳の分からない事を言い出した。もしかして殿下が教会で治療を受けていたのは私と同じ病気で、私が治療を受け病状が安定し殿下も治療法が分かって病気が治ったとか?
『でも、リアンド殿下は教会で治療を受けていたのは知っているけど、ルイス殿下も病気もち?』
ここでまた疑問が出てきた。一つ解決するとまた一つ疑問が出てきていつまで経ってもスッキリしない。
全貌はやはり成人の儀を迎えて父様に聞かないと分からなさそうだ。でもこのモヤモヤのままあと数ヶ月を過ごすのは嫌だ。だから少しでも情報を引き出そうと
「お答えにくい事をお聞きして申し訳ございません。繊細な事柄なので無理にお答えいただかなくていいです。リアンド殿下がジン様の元に通われているのは、私と同じ病気なのですか?」
すると殿下は足を組み替え少し考えて
「同じではありませんが、貴女と病と似ていると思います。だから貴女が受けてきた辛さはよく分かります」
「やっぱり!何度か教会でお会いして同じ病かもしれないと親近感持っていたんですよ」
同士がいて少し嬉しくなったけど殿下は違う様だ。
『そうだよね…病気を喜ぶ人はいないし、同じだと言われて嬉しい訳ないよね…』
軽率な発言に後悔した。そして殿下に謝罪すると反対に
「貴女に比べれば俺の痛みなんて大した事ないですよ。そしてそれも後数回で終わるんです」
明言されないけど殿下も私と同じ病で間違いないだろう。そして殿下は何故かモジモジしだして
「俺の妃は貴女がいい。しかし初めて会った時に貴女は王族は嫌だと言ったので、正体を明かせなくなり結果貴女を騙してしまった。初めは貴女に会ってみたくて歪みの森に向かいました。貴女に会えたら陰から貴女の幸せを見守るつもりでしたが、ルイス殿下が貴女に近付き貴女が嫌がったので俺がその…」
またモジモジが増す殿下。
「私の相手に?」
「はい。貴女はロダンダに興味を持っていたし、ロダンダに来てくれればと…」
確かにルイス殿下の妃にはなりたくないし、(ボルディンの)貴族にも嫁ぎたくない。だってボルディンの貴族社会は身分重視で私の性格に合わない。だから選民意識の薄いロダンダに行く事を決めたのだ。でも…ロダンダでも王太子に求婚されてしまった。
『折角ディーンの伝手があるからロダンダに決め安心していたのに、また行き先を捜し直さないといけない。この数ヶ月が無駄になってしまった』
そう。ロダンダは言葉や習慣通貨が同じな上に気候や宗教も同じであり、移り住んでも大きな変化はない。しかし他国に行くとなると言葉の習得をし準備期間を必要となる。
「今から間に合うかなぁ…あっ」
思わず心の声が漏れ出てしまった。驚いた顔をして私を見ている殿下。ヤバい!他に国に逃亡しようとしているのがバレたかも!だってロダンダに家出するのをリアム様に暴露してしまっていたのだ。すると少し考えた殿下が
「貴女は今ロダンダ以外の国に行こうと考えているのですか?」
「えっと…ナンノコトデショウ?」
上手く躱せず片言になってしまう。すると殿下は真面目な顔をして
「貴女が他の国に行くというなら私は貴女との縁は諦めます。だから他に国にいかずロダンダに居て欲し」
急に求婚をしないと言い出した。また意味の分からない状況に完全にキャパオーバーしている。フォークを持ったまま固まっていると殿下は、私が他に国に行き苦労すると心配し、そうなるなら求婚しないと言い出した。
「(求婚)を諦めてくれるのですか?」
「はい。あ…でも貴女が成人するまではチャンスを下さい。そして貴女が成人しやはり俺の求婚を受け入れられないのなら、俺は諦め他の女性を妃に迎えます。だからロダンダに来て欲しい」
「何故そこまで私にロダンダに来て欲しいのですか?」
「俺は貴女を幸せにし貴女から受けた恩を返す義務がある。だから俺の手が届く所にいて守らせて欲しいんです」
「また意味が分からない…」
“義務と恩”?またまた迷宮に追い込まれた。なんなの?ロダンダに来てからずっとこの調子で頭がこんがらがってモヤモヤ続きだ。
「私は殿下に何もしてませんけど」
「そこは俺の口から言えないんだ。成人の儀の後に侯爵から話があるまで待って欲しい」
「結局すべて成人の儀までは知る事が出来ないんだ。何で?当事者の私だけが知らないなんて…」
自分の知らない所で話が決まっている事を不快に感じ泣きそうになってきた。すると殿下が立ち上がり横に来て跪いて手を取り
「きっと何も知らされず御不安でしょう。しかしそれは侯爵が貴女を護る為に秘密にされて来たのです。あと数ヶ月で貴女は自由になり、何者にも囚われず自由を手にする。だから待って欲しい。そしてそれまで不安な気持ちが少しでも和らぐように俺に頼って欲しい」
「殿下に⁈」
頷き微笑みを向けてくれる殿下。他の女性なら王太子や沢山の男性が想いを向けてくれたら嬉しいのだろうが私は違う。自分の存在があやふやで人の想いを受ける余裕がない。
『やっぱり出生の秘密を知り自分のルーツを知らないと何も始まらない』
「ミーナ嬢?」
「ごめんなさい。全て知らないと何方の心も受ける事が出来ません」
しれっとお断りの言葉を言ったのに何故かいい笑顔を向ける殿下。そして掴んでいた手の甲に口付けを落として
「聡い貴女はやぱり素敵だ…」
そして甘い雰囲気を醸し出したら
「リアンド殿。その手を離しなさい」
「!」
声のする方を見たら氷の様に冷たい表情をしたルイス殿下が仁王立ちしていた。そして立ち上がったリアンド殿下はルイス殿下の前に行き対峙し睨み合いに…。そしてルイス殿下が冷たい声で
「ミーナ嬢はボルディンの【漆黒の乙女】だ。乙女がロダンダに心を置く事は無い」
「そう思われているのは其方だけだよ。ミーナ嬢は選民意識の強いボルディンを嫌っている」
「え!ちょっと!」
確かにリアンド殿下の言った事は間違っていないけど、この後帰るまでルイス殿下と共にしないといけないのに、気まずくなる事言わないでよ!思わずリアンド殿下を睨んでしまう。するとルイス殿下は勢いよくリアンド殿下に肩を掴み払いのけ私の元に来て手を引き無言でこの場を去ろうとしている。
「ルイス殿下!帰るにしても最後にリアンド殿下に退城のご挨拶をさせて下さい」
「あんな無礼な男に礼は必要ない。私が許す」
「こんな不敬な事をしたら父に叱られます」
「っつ!」
父様の名を出した途端態度を軟化させたルイス殿下。手を緩めは挨拶するように私に促す。淑女の礼をし退城許可を受け帰ろうとしたら
「ミーナ嬢。次の治療の日に会いに行きます。俺も治療の受けるので」
「あっはい」
やっぱり殿下も治療うけるんだ。あの痛みを耐える同士がいる事に不謹慎だが嬉しくおもう。しかし横にいるルイス殿下の機嫌が急降下し帰りの馬車が怖い。
そして立ち去ろうとしたらリアンド殿下の後ろに控えていたキーファ様が私を呼び止め箱を渡してきた。
「何ですか?」
「先程のフルーツケーキです。ナーシャ嬢と召し上がって下さい」
「わぁ!ありがとうございます。ナーシャが喜びます」
先程いただいたケーキだ。フルーツがみずみずしく美味しかった。思わず顔が綻ぶとリアンド殿下が手を引き抱きしめた。そして耳元で
「あまり可愛いいると…口付けたくなる…」
「はぁ⁈」
恥ずかしく事を耳元で言われケーキを落としそうになる。
「リアンド!失礼だぞ!」
ルイス殿下がそう言いリアンド殿下を引き剥がした。私はケーキが崩れてないか心配になり思わず箱を開け確認してしまう。するとケーキを気にする私に気づいたリアンド殿下が笑っている。そして笑っているリアンド殿下に苛立つルイス殿下。
「ルイス殿下。このケーキを早く食べたいので、ホテルに戻りたいです」
ルイス殿下の機嫌を取るために柄にも無くデレてみる。また微妙な表情のルイス殿下は私の腰に腕をまわしエスコートしだした。
こうしてやっとホテルに戻ることになった。
馬車に乗り城を出て城下を走る。疲れきって窓から街並みをぼんやりと見ていたらふと疑問が…
『なんで私が身分社会が嫌いなのをリアンド殿下が知ってるの?』
そんな話殿下にした記憶が無い!あれ?何処かから情報漏洩してるぞ!
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