27.観光
やっとロダンダに入国したが…
「あの…」
「お気に召しませんか?」
「いえ…反対に場違いな気がして」
そう港でロダンダの宰相様からのご挨拶をいただき、殿下はそのまま王城へ向かい私とディック様は宿泊するホテルへ。
それが予想以上の高級ホテルで腰がひける。入口には従業員が整列しお出迎えされている。そうここはザカリー公爵家が経営するホテルだった。総支配人がディック様に丁寧なご挨拶をしている。そして目立たない様にこっそりディーンの後ろに隠れていたのに、ディック様に引っ張り出され総支配人からご挨拶いただく事になった。
「ようこそお越しくださいました。心から歓迎いたします」
「ありがとうございます」
「お疲れでございましょう⁉︎さっそくお部屋へ」
こうしてディック様のエスコートで部屋に案内される。部屋はホテル最上階…って言っで3階だけどワンフロアー切りで私の希望でナーシャは同室してもらった。部屋にはすでに荷物が運び込まれ、ウチから来た侍女が荷解きしてくれている。
ナーシャに呼ばれベランダにでると海が一望でき眺めは最高だ。水平線に日が沈み綺麗な夕日に来て良かったと改めて思う。
ナーシャがお茶入れてくれソファーで一息つくと、ディック様がお見えになった。
「お体は大丈夫ですか?」
「はい。ありがとうございます」
「では夕食に参りましょう」
こうしてディック様とレストランへ向かう。残念だが従者のナーシャとディーンは同席叶わず正直に寂しい。でもウチの騎士のティモンとリカドが同行してくれるから少し安心かなぁ
ディック様と話しながら歩いていると、向かいから歩いくる貴族令嬢らしき女性がディック様に秋波を送っている。
『ですよね…』
ディック様は王家の血を引く筆頭貴族で殿下に負けず劣らず美丈夫である。ボルディン王国でも令嬢達の憧れなのだ。そしてすれ違う彼女達の会話が耳に入り
「お聞きになりました?殿下は今回の成人の儀では婚約者の発表ははさらないそうよ」
「慣例では成人の儀で発表ではない?」
「歴代の王子の中でも異例ですわね」
「もしかしたらまだお決めになっておられないなら、私達にチャンスが⁈」
『どこの国でも女性は噂話が好きなんだなぁ…』
とぼんやり聞いていふとディック様を見上げると口元が緩んでいる。
その笑みの意味が分からないが触れない方がいい気がして視線を外す。
そしてレストランに入り個室に通された。個室は大きな掃き出し窓があり、そこは海に面していて岬の灯台の明かりが良く見える。
「ミーナ嬢は森で過ごされ海のものを食された事ないでしょう。苦手な物は残して下さい」
「ありがとうございます。好き嫌い無いので多分大丈夫です」
着席したのに中々給仕がされず待たされていると誰かが来た。
「遅れて申し訳ございません」
「イルハン様?」
そう殿下と王城に向かったイルハン様が来たのだ。てっきり殿下と王城に泊まるのかと思っていたら違うようだ。イルハン様は滞在中は私に付き添ってくれ宿泊もこちららしい。殿下には側近のティム様が居るので付き添う必要がないそうだ。ただ…
「ロダンダの対応が気に入らない殿下の機嫌が悪く、心配で王城まで付き添っておりました。やっと殿下も落ち着かれ歓迎の晩餐に出席されましたので戻って参りました」
「イルハン様も大変ですね」
「仕事ですので…」
仕事と言いながら疲れの色が濃く殿下の癇癪の大きさが分かる。でも何で王子が出迎えない位でそんなに怒るの?
確か友好国ではあるが力関係はボルディン王国の方か大きく、ボルディン王国の王子や王女がロダンダに輿入れしていると家庭教師から学んだが
『それにしても殿下の怒り方は異常だ』
そんな事を考えていたら思わず心の声が漏れて…
「イルハン様。殿下がなぜあそこまで腹を立てられるのですか?」
「「…」」
黙り込む2人を見て聞いてはいけない事なのだと理解し、話を変えようとしたら
「ロダンダのリアンド王子と殿下は昔から馬が合わないのです」
「へ…」
「ですからで出迎えが無いのは軽んじられたと怒りを感じたのでしょう」
「そんな事で?」
困った顔をするイルハン様。そしてその横で半笑いでディック様が
「出迎えないと怒るのに、いざ出迎えされると衝突される。意味が分かりませんよ。殿下にはもう少し大人になっていただかなくてはね」
そう言い私にウィンクするディック様。
「私に振らないで下さい」
「ね!短気な殿下では無く私になさい」
「あーこのサラダ美味しい!」
そう言い無視を決めるとイルハン様もディック様も楽しそうに笑う。それより殿下が居ないといは言え、あけっぴろげに王族の悪口言ってもいいの?不敬にならない?一人焦っているとディック様が大丈夫だと笑い飛ばす。
そして食事は美味しく楽しく進み。最後のデザートになりイルハン様が
「明日は王都から離れたファムスへ参りましょう。職人が住む町で工芸品が多く土産品を買い求められるでしょう」
「はぃ!ガラス工房があると本で読みました。嬉しい」
こうして明日の予定も決まり早めに部屋に戻って休む事になった。部屋まで何故かディック様では無くイルハン様が送ってくれる。そして他愛もない話をしていたら、部屋の前でイルハン様が
「この旅で良い事も悪い事も沢山見聞きするでしょう。ですが素直に受け止めて下さい。貴女なら出来ますよ」
「何かその言い方は怖いですよ」
「では、よい夢を」
こうしてイルハン様が戻られ、部屋から出たきたナーシャと部屋へ。部屋にはディーンもいて3人で寝るまでの間、今日あった事は話す。ディーンもナーシャも騎士や侍女や従僕と仲良くなった様で楽しそうだ。
「ミーナが食べた物ほどでは無かったけど、夕食が美味しくて感動したわ。私達は森育ちじゃなぃ⁈川魚は食べたことあっても、貝なんて食べたことないから食べ方が分からなくて焦ったわよ。でも最高に美味しくてミーナに感謝だわ」
「良かったね。明日も(食事は)期待できるね」
気が付くと日付が変わる時間になっていてディーンが慌てて部屋に帰って行った。急いでナーシャと交代で湯浴みをして日が変わった頃に就寝した。
「ミーナ!起きて!海がすごく綺麗だから」
「もぅ朝?」
ナーシャに叩き起こされベランダに出ると朝日に海面がキラキラ光りとても綺麗だ。歪みの森の湖の湖面も綺麗だが、海は波があるからまた違う美しさだ。2人ではしゃいでいたら侍女が朝の支度に来た。
今日は昼過ぎから建国祭がありそのまま晩餐会となる。そして明日は王子の成人の儀と夜会があり、今日も明日もディック様は朝から王城へ向かわれ明後日まで帰ってこない。
その間はイルハン様が同行してくださる。
用意が終わってお迎え待ちしていたらナーシャが侍女のメリッサと朝ご飯を予想し楽しそうだ。そしてメリッサが
「今日も明日ディーンは叔父さんのところに行くんでしょ?寂しいわ…いいわねナーシャの婚約者いい男で」
「そう?小さい頃から一緒で分かんないわ」
どうやらメリッサはディーンに惚れているようだ。一応ナーシャの相手になってるから、話を合わせておく。するとナーシャが
「今日は買い物するからディーンがいない方がいいのよ。いても役立つのは荷物持ちくらいだしね」
「ディーン可哀想よ」
そんな話をしていたらイルハン様が迎えに来てくれた。護衛騎士と共にレストランへ朝食に向かう。
やはり公爵家のホテルでの食事は何も食べてもおいしい!
「ミーナ嬢。ファムスは少し遠いので直ぐ出発しますが大丈夫ですか?」
「はい。元気いっぱいです」
「でしたら支度が出来ましたらロビーへ。ウィル卿。ミーナ嬢を頼みますよ」
「畏まりました」
ウィル卿は王族専属騎士団の副隊長を務める凄い人である。ルイス殿下の意向で今回同行する騎士は実力者で小隊長クラスの方々で申し訳ない。
ウィル卿は寡黙で少し気まずく緊張しながら部屋に戻り、メリッサとナーシャに手伝ってもらい準備をする。そしてロビーに向かい2台の馬車で出発!
私とイルハン様2人に対し騎士が王家騎士団から5名とウチの騎士団から5名の大所帯だ。
馬車は私とイルハン様。もう一台がナーシャ達使用人が乗っている。ナーシャが一緒が良かったけど、イルハン様がいるから仕方ない。こうして順調に進みお昼前にファムスに着いた。大きくな街で活気に溢れて心躍る。街は建国祭と王子の成人のお祝いムード一色だ。
馬車を降りてナーシャとイルハン様と買い物に出かける。イルハン様は私達の買い物に嫌な顔せず付き合ってくださる。
「レディ達。そろそろランチに致しましょう」
「はぁーい」
ホテルではナーシャと一緒に食事出来ないので、イルハン様が気を利かせてランチは一緒できる事になった。イルハン様はウチと同じ侯爵家だがウチよりは格上。
なのに気さくで平民のナーシャにも優しい。
ランチはかしこまったレストランでは無く、平民も入るレストランに入った。初めは緊張していたナーシャだが、気さくなイルハン様に慣れて楽しい食事になった。
「やはりレディとの食事は楽しいですね」
「私も美味しいし楽しかったです。誘ってくれたイルハン様とミーナとに感謝!」
イルハン様の眼差しは優しく父様を思い出し少しホームシックになった。
「食後もう少し上の方へ行ってみましょう。上には願いが叶う滝があるそうですよ」
「「行きたい!」」
こうして昼から願いが叶う滝に観光に行く事になった。そしてレストランから出て馬車に向かっていると、小さい籠を持った女の子が近付きて来た。騎士のウィル卿が前に立ち警戒する。
ウィル卿か大きくて見えなくて少し横にズレて少女を見た。どうやら物売りのようだ。
歳の頃は7、8歳位で大きな騎士を目の前にして恐怖で動けず泣き出しそうだ。
「お嬢ちゃんは何を売ってるの?」
「ミーナ様!」
「いいの!私が興味あるんだから」
そう言い少女の前に行くと表情を緩めた。そして籠を見せて買って欲しいと言ってきた。
「貴族のお姉ちゃん”願いの滝に”行くって言ってから買って」
「何これ?」
籠には変わった色のガラス玉が沢山入っている。買ってあげるのはいいけど、何故か気になり屈んで少女と目線を合わすと
「このガラス玉はね、あの滝に続く川底から拾ったの。このガラス玉を持って行って、滝に漬けると自分の未来が見えるんだって」
真剣に話す少女にウィル卿が溜息を吐き相手にしない様にいい、少女を遠ざけようとする。しかしウィル卿をイルハン様が止めてくれ、何も言わずに見守ってくれる。
「ミーナ。買う気?嘘っぽいよ」
「嘘じゃないもん!おばあちゃんが言ってたもん」
嘘っぽいけどガラス玉が気になり…
「分かったわ。じゃー1つ…やっぱり14個もらうわ」
「えっ!そんなにも!お姉ちゃん有難う!」
こうしてガラス玉を買い3ゼヨを払うと少女は抱きつき頬にキスをしてくれた。
後ろでため息をつくウィル卿とナーシャ。
嘘でもこれはこれでいい思い出になるもん。
口を出さず一部始終見ていたイルハン様が
「それをどうされるつもりですか?」
「皆んなに配ります。はい!イルハン様もどうぞ」
そう言い騎士や侍女メリッサと皆んなに配り、一番最後に残ったガラス玉を掴みポケットへしまう。そしてハプニングはあったが滝に向かった。
滝に向かう馬車の中。密かに何か起こりそうでワクワクしながら窓の外を見ていた。
そしてそのワクワクは現実となり不思議な体験をする事となる。
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