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21.実弟

ロダンダに行く事を許され行く気満々!でもまだ問題もあり…

寝不足で目覚めた朝。またヘレンのマッサージを受けながら小言を沢山もらい大人しくしている私。やっと身支度が終わりダイニングに向かい家族と朝食をいただく。

今日は特にする事もなくリンを走らせに行く。遠乗するつもりもなく一人で出掛けようとしてらしたら何故か乗馬服に身を包んだザイラが厩舎の前にいた。


「あれ?父様の手伝いはいいの?」

「今日は急ぎのものも無く自由フリーです。ですから姉上のお供をさせて下さい」

「?」


断る理由も無いし二人で近くの湖畔まで行く事にした。現地に着くとリンの手綱を離し自由にさせる。今日は他の馬も自由にさせて楽しそうだ。騎士たちがシートを敷き、瓶に入った果実水と茶菓子を出してくれる。澄んだ空気の中で食べる菓子は最高!


ザイラはずっと湖を見ている。その横顔は父様そっくりで凛々しい。そして私の視線に気付いて微笑んでくれる。たった今弟がモテ男なのを確信した。弟の成長を実感し


「来年はザイラが成人の儀だね。想う人はいるの?いるなら早めにアプローチしないと、他のひとに取られるわよ」

「そうですね…そろそろ本格的にアプローチしていかないといけませんね」

「え!想い人いるんだ⁈」


この後どこの誰でどんな女性が聞いたが、内緒だと教えてくれない。ただひとつだけ教えてくれたのが、とても素直で愛らしい女性ひとって事だけだった。


『そんなの女性は皆んなそうじゃん』


「言える時が来たらお姉ちゃんに教えてね」

「…」


また微笑んで誤魔化された。この後ザイラから王都事情と本宅の様子を聞き、自称祖父母が母様に会いに来て、別宅での対応に文句をぶつけ、また大酒を飲み酷い絡み酒だったと話してくれた。

どうやら家督を譲り徐々に影響が無くなって鬱憤が溜まっているのだと母様がボヤいていたそうだ。


嫌な話を聞き寒気がしたらザイラがショールで包んで抱きしめてくれる。

ザイラの腕は逞しく温かい。長く会っていない間に立派な紳士になり、知らない男性みたいで少しドキドキする。


『実弟にこんな気持ちおかしいわ…私』


視線を感じて見上げるとザイラの綺麗な顔が近付き…


『へ?キスされる?』


思わず身が強張るとザイラは額に口付けて


「そろそろ帰りましょう。風邪をひくといけない」

「うっうん」


ザイラが腕を解き立ち上がり手を差し伸べてくる。いつもと違う弟に戸惑いながら帰り支度をして笛でリンを呼び帰る事にした。


別宅に戻ると昼食が用意されていてザイラといただく。食べ終わりザイラとお茶をしながら雑談していたらヴォルフが父様がお呼びだと知らせに来た。立ち上がろうとしたら目の前に手が…

どうやらザイラがエスコートしてくれる様だ。今までに無い行動に戸惑う。


「家の中だしエスコートなんて仰々しくていいよ」

「令嬢をエスコートする練習に付き合って下さい」

「う〜ん…そういう事ね」


そう言いザイラの手に私の手を重ねた。一瞬ぎゅっと掴まれ驚きのザイラを見ると、やけに視線が色っぽくて変な感じ。するとヴォルフが溜息吐きザイラに何か耳打ちをしている。帰って来てからのザイラが少しおかしいと思ったのはこの時からだった。


「父様?ミーナです。お呼びですか?」

「入りなさい」


父様の執務室に入ると知らないが男性がソファーに座っていて、私を見るなり立ち上がり名乗られ礼をされる。慌ててカーテシーをしご挨拶する。

この男性は王太子殿下の側近のティム・ワーグナー様でワーグナー侯爵家の御嫡男だ。

エスコートして来たザイラに下がる様に父様が言ったがザイラは同席を求めた。しかし父様は同席を認めずヴォルフと共に退室していく。


唯ならぬ雰囲気に逃げ出したい私。そしてティム様が胸ポケットから手紙を取り出し私の前に置いた。そして


「王太子殿下が心酔されておられるのがお会いして理解できました。とても神秘的なお色をされ愛らしい。ぜひ我が主君の伴侶となっていただきたい」

「えっと…ご覧の通り淑女教育も受けておらず、不作法者の私は王太子殿下の妃は務まりません。殿下にもお断りしております」


苦笑いをしたティム様はまずは手紙を読んで欲しいと伝えお茶を飲み微笑んだ。

父様を見ると読むよう促された。開封し読み出すと冒頭から愛情表現が炸裂し読んでいて恥ずかしくなって来た。そして本題に入り


「これ…」

「はい。殿下はロダンダ同行のみを希望されておられ、決して公式な場での同伴を望んではおられません。ですから従者を付けロダンダでは自由にお過ごし下さいと」

「それでは一緒に行く意味が…」

「殿下はずっと森から出る事を許されなかったミーナ様に、旅を楽しんでいただきたいのです。殿下の貴女様を想うお心でございます」


そう。殿下の手紙にはロダンダでの行動は自由とし、殿下と共にする必要は無いと書かれていた。もちろん宿もだ。しかし最終日1日は城下の散策を共にして欲しいと書かれていた。公式の場を共にしないなら妃候補と見られないかも…


『返事をする前に父様にも見ていただいた方がいいよね』そう思い


「ティム様。私はまだ未成年で最終判断は保護者である父です。手紙を父に見せて問題はありませんか?」

「はい。貴女様のお心のままに」


了解をもらい父様にも読んでもらう。父様の眉間の皺が気になったが、一読した父様はティム様に近日中に返事をすると述べ、ティム様はお帰りになった。

玄関でお見送りしそのまま再度父様の執務室へ。執務室には何故かザイラが居て父様が苦笑いしている。そして父様が


「ミーナの率直な気持ちを聞きたい」

「殿下の提案は私には最良で是非ロダンダに行きたいです。でも…」

「私は人見知りします。だから殿下が手配した従者だけでは心休まらないし気を使います。だからウチからも連れて行きたい」

「分かった。その点は希望として殿下にも伝え対応いただこう。お前とロダンダに行きたい王太子殿下なら聞き入れて下さるだろう」


ここで父様に提案してみる。ダメもとだけどね…


「出来ればナーシャとディーンを連れて行きたい。友達と一緒なら楽しめるし、気が楽だもん。流石に平民の二人を従僕や侍女は無理だろから、下男下女でもいいの」

「分かった。但し二人にも都合が有るだろうから、了承してもらえたらの話だ」

「ありがとう!父様!」


嬉しくて父様の隣に移動し抱きつく。父様は抱きしめてくれ、心が穏やかになっていく。


「父上。姉上のロダンダ行きに私も同行させていただきたい。姉上は私が守ります」

「其方の同行は認めん」

「何故ですか!二人が会えば全て…」

「ザイラ!」


突然頭上で父様が怒鳴り心臓が止まりそうになる。そして更に強く抱きしめて


「ミーナ。私はザイラと話があるからヴォルフと共に部屋に戻りなさい」

「父様?」

「そして殿下に返事の手紙を書くように。それから今日は遅いから明日にでもナーシャとディーンの元に行き、ロダンダに同行できるか聞いて来なさい。勿論二人の父君に了解を得るように」

「はい」


腕を解いた父様はヴォルフに私の手を預け、私はヴォルフに連れられ退室する事に。

青い顔のザイラと明らかに怒っている父様に困惑しているとヴォルフが


「大丈夫ですよ。お二人ご意見が合わなかっただけです。ちゃんとお話になれば理解し合えますから」

「ならいいけど、私の事で喧嘩しないでほしい」

「お嬢様はお優しいですね」


こうして部屋に戻り殿下に返事をしたため、ロダンダのガイドブックを読みながら、明日ナーシャとディーンに会えるのを楽しみにしてこの日はのんびりと過ごし、久しぶりに早く就寝し熟睡したのでした。


翌朝。快眠し絶好調の私に安堵の表情のヘレン。連日の寝不足に今朝もマッサージをしに来てくれたが、私の調子が良いのを確認しアンに任せて退室していった。

身支度し朝食に向かうがザイラは来るだろうか?

昨晩は食欲が無いと夕食に顔を見せなかった。父様と何かあったのか心配し父様の様子を見ているがいつも通りだった。朝も来なければ部屋に様子を見に行こうと思っていたら、廊下の反対からザイラが歩いてくる。そして私に気付いて足早に来て挨拶してハグをしてくる。


『よかった!いつものザイラだ』


「昨晩はご心配おかけしました。父上に注意を受け落ち込みまして…私はまだまだですね。早く父上の様にどんな事柄からも姉上を守れる様にならなければ」

「?分からないけど元気になって良かった」

「さぁ!昨晩食べてないので空腹です。朝食をいただきに参りましょう」


ちょっと意味が分からなかったけど、とりあえずザイラが元気になったのなら良し。美味しい朝食を食べに向かった。食後はナーシャの手土産を準備し父様の元へ。


「昨日話していた通りナーシャとディーンの元へ話に行って参ります」

「分かった。口煩いが騎士は同行させなさい」

「はぁ〜い!行ってきますね」


そう言い父様にハグをしたら額に口付けを貰い、上機嫌で父様の執務室を出て厩舎に向かう。厩舎に着いて待機する騎士を見て違和感が


「あれ?モリスは?」

「隊長は…」

「!」


どうやらモリスは私の護衛の任を解かれて本宅の母様の護衛に変わったそうだ。代わりにルークが責任者になるらしい。

ルークに何故か聞いたら口ごもり黙り込んだ。しつこく聞くと


「お嬢様に対して越権行為があったからだと聞いています。ですがご理解いただきたい。隊長は常日頃からお嬢様を実妹の様に思われておられました。その上での事で…」

「…」


恐らくディーンの事を父様の許可無く調べた事だろう。私の為だと分かっていても、やはり知らない所で何かされるのは気持ちがいいものでは無い。でも今まで見守ってくれた事には変わりなはないから、手紙と妹君のお祝いは贈ることにした。

複雑な気持ちでナーシャの元に向かう事になり、楽しい気持ちが半減してしまった。しかしモリスの感が当たっていた事を知るのはまた先の事となる。


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