18.姉?
祖父母の突然の訪問に揉める事を覚悟し夕食に向かうが…
食卓にはおじぃとおばぁがいて既にワインを飲みほろ酔いで嫌な感じ!
着席するとキミ悪い微笑みを浮かべながら
「ミーナの病気があるから中々会いに来れず、心配していたのだよ」
「早いものね〜もうすぐ成人の儀なんて。ステラが張り切って衣装の準備をしていたわよ」
「はぁ…」
おべんちゃらは要らないから早く帰ってほしい。無言で食べていたら眉をひそめたおじぃが
「せっかく祖父母が訪問したのにその態度はなんだ。目上の者を敬えんのか⁉︎」
『はぁ?祖父母?名だけのね』
鬱陶しくて無視を決め込むが酔ったおじぃはタチが悪く絡んでくる。
おばぁは我関せずで只管ワインをガブ飲みしている。見かねたヴォルフが話題を変えようとしてくれているが、おじぃのからみ酒は終わらない。何度『あんたの孫じゃ無い!』と言いかけたか。
全く味のしない夕食を食べ部屋に戻ろうと席を立つとおばぁが
「ミーナ。必ず王太子に嫁ぎなさい。私は娘3人に孫娘7人いるけど、王族に嫁いだ者はいないわ。初めは得体の知れない貴女を疎ましいと思ったけど、ケイミーでは王太子の気を引けなかったわ。貴女が”漆黒の乙女”だから我慢して来たんだから、育ててもらった恩は返しなさい」
「はぁ?」
「そうだ。王太子が嫌ならザガリー公爵家のディック殿でもいい。あの家は先先代前の王弟か臣籍降下した名門で陛下に影響力もあるからな」
何なのコイツら!それにケイミーって誰よ!もう我慢限界で深呼吸し反撃に出ようとした時
“バン!”
凄い勢いで扉が開き息を切らした父様が入ってきた。足早に私の元に来て抱きしめてくれる。父様の体は熱く額にはお大粒の汗が…
父様の香りに怒りが鎮火し代わりに安心し涙が出てきた。父様は額には口付けて手を取り私をヴォルフに預けて
「ミーナ。部屋で待っていなさい」
「うっうん」
「スティーブ!儂らはまだミーナに話が終わって…」
「私がお聞きします。ヴォルフ!」
ヴォルフは私の手を引き部屋を出た。
不安になりヴォルフを見上げたら微笑みをくれ
「旦那様がちゃんと治めて下さいますからご安心下さいまし」
「うん…」
部屋に着いたらヘレンがいて温かいミルクティーを入れてくれる。
父様が来てくれた。もう大丈夫なのは分かるけど不安な気持ちは消えない。
それにケイミーて誰なの?初めて聞く名に胸騒ぎがして落ち着かない。
どの位経っただろう…時計を見るともう直ぐ日が変わってしまう。
“コンコン”
「はい」
「私だ。入るよ」
父様が来てくれた。立ち上がり駆け寄り抱き着いた。頭を撫でてもらい少し安心する。
ソファーに座るとヘレンが父様にはブランデーを私にはホットミルクを入れてくれた。
「不快な思いをさせたね。あの方々には明日朝一お帰りいただくから安心しなさい。もう顔を合わすこともないだろう」
「あの人達何なの?一度も会った事ないのに祖父母面して偉そうに王太子に嫁げなんて!」
父様は苦笑いしてブランデーを一口の飲み
「書面上は一応祖父母だから仕方ない。ステラを見ていたら分かると思うが彼らは身分主義だ。より良い家との繋がりしか頭に無い。利用出来るものはなんでも使うのさ。だがミーナの事は関与させない。キツく釘を刺しておいたよ。ミーナは気にせず自分の行先は自分で決めていい」
「本当に?」
「あぁ…但しどのような決断をしても必ず私に話して欲しい。勝手に居なくならないで欲しい」
「うっうん…」
勝手に出て行こうとしていて、目の前の父様を真っ直ぐ見れず気不味い。
父様は何も言わず優しい微笑みをくれる。
「あの人達が来たのが夕暮れ近かったから、父様が来るのは明日だと思っていたわ」
「王太子殿下の妃候補になった時点で、ミーナに会わせろと何度も手紙が来ていてね。断り続けてきたんだ。その内強硬手段に出るのは分かっていたから、監視させていたんだ。そうしたら案の定私が居ない隙を狙いこちらに向かったと連絡を受けてね」
流石父様。冷静な判断し対策されていたんだ。父様の娘で本当に幸せだ…
「明日の朝一にあの人達と一緒に王都へ向かうよ。後5日程したらザイラと戻るから」
「分かったわ。体に無理のないようにね」
安心したらあの事を思い出して深い意味なく聞いてみた
「父様。ケイミーって誰ですか?親戚?私名も知らないし会った事も無いと思うんだけど」
「どこでその名を!」
「えっ!自称祖母のご婦人が」
「・・・」
あれ?父様の表情が険しくなりブランデーを一気飲みした。あれ?”ケイミー”ってNGワードだった?もしかして…実母の名前なの?
天井を仰ぎ黙り込んだ父様にどうしていいか分からずあたふたする。
「姉だ…」
「へ?姉?私の?」
無言で頷く父様。この状況で冗談を言える雰囲気では無いし、真面目で実直な父様が嘘を言う訳も無い。なら…
「私に姉がいるんですか?」
「正確にはいただ」
「?」
父様は私の横に移動し抱きしめゆっくり話し出した。
今まで全く知らなかったけど、”ケイミー”はバンディス侯爵家の第一子の長女で1歳を迎える前に亡くなったそうだ。
勿論ケイミーは母様が産んだ子。ケイミーが亡くなった直後に私がバンディス侯爵家の次女して迎えられている。
「あっははは。母様が私を愛せない理由がやっと分かったわ。娘を亡くした直後に妾の子が来るなんて…」
「ミーナ…治療が終わり成人の儀が終われば約束通り全て話す。今話したケイミーの事は今お前が思っている事態と違うんだ。私は誓ってステラにもお前にも不誠実な事はしていないんだ!信じて欲しい」
真剣な父様の表情に嘘を言っている様には見えないが、聞いた人全員父様を酷い男認定するだろう。しかし私は父様の言葉を信じれる。やも得ない理由があるのだろう。
「産みの母様の事も話してくれる⁈」
「全て話そう」
再度父様を見据える。やっぱり父様は嘘はついていない。あの老害に対峙し疲れが見てとれる父様に微笑んで
「信じる。だからその時が来たら話してね」
「誓うよ」
疲れている父様にヴォルフが夜食を持ってきた。夕食もまだ召し上がっていなかったのだ。お酒ばかり飲んでいる父様に夜食を勧めると
「遅くに食べるとお腹が出でカッコ悪くなるから要らない」
「ダメですちゃんと食べないと倒れるわ。父様はカッコいいから1日くらい大丈夫よ」
「なら食べるから付き合ってくれ。1人は寂しい」
「喜んで!」
眉尻をさげお願いする父様を愛おしく感じ、遅い夜食を食べる父様の話し相手をし、久しぶりの父様との会話を楽しんだ夜となった。
昨晩遅く起きるのが辛かったけど、父様をお見送りするために頑張って起きる。
エントランスに行けば名ばかりの祖父母に遭遇するとヘレンに止められ部屋で父様を待っている。眠くて目がしょぼしょぼするけど頑張って起きてると父様が来てくれた。
あんなに遅くに休んだのに朝からカッコいい父様。もし夫にするなら父様みたいな人がいいと改めて思った。
「断れない殿下の逢瀬を今調整中だ。ミーナに負担が無いようにしている。本当は無しにしたいがすまん」
「父様のせいではないわ。適当に返事した私が悪いの。だから謝らないで」
父様は柔らかく抱きしめ額には口付けくれる。そして一人で行動しないように注意し部屋を後にした。
大きくなったけど父様と離れるのは寂しい…
こんなんじゃ家出して1人で生きていけるかなぁ…
眠い目を擦りながら窓を開けてると馬の嘶きと馬車が走る音が聞こえて来た。
父様が行ってしまった。5日には帰って来ると自分に言い聞かせ二度寝する為にベッドに潜り込んだ。
お読みいただき、ありがとうございます。
続きが気になりましたら、ブックマーク登録&評価をよろしくお願いします。
『いいねで応援』もポチしてもらえると嬉しいです。




